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2020/8/15 17:00

ケンウッド初の360°ドラレコ「DRV-C750」(プロト版)をレビュー! あおり運転対策に使えるか?

社会問題化している“あおり運転”。そんな不安に答えてくれるとして人気急上昇中なのが「360°撮影対応型」ドラレコです。このタイプのドラレコは既に各社から登場していますが、ケンウッドも満を持してついに「DRV-C750」で初参入。8月下旬に発売することになりました。今回はそのプロトタイプのインプレッションレポートをお届けします。

↑ケンウッド初の360°撮影対応ドラレコ「DRV-C750」、実売想定価格4万3010円(税込)。ガラス面に密着させて取り付けるため、走行中のブレもほとんど発生しない

 

運転中、駐車中、クルマのまわり前後左右360°見守ります

360°撮影対応ドラレコは、超広角レンズを下向きにセットすることで、一台で前方・左右に加え、車室内から後方の録画が可能。そのため、併走車による幅寄せをはじめ、万一発生してしまった車内でのトラブルに対しても映像で捉えることができるのです。まさに昨今のあおり運転対策として、活用価値が一気に高まっているのがこのタイプのドラレコと言えるでしょう。

 

とはいえ、念頭に置くべき注意点もあります。1枚のセンサーですべての撮影領域をカバーするため、一部分を切り出すと当然ながら粗い画像となります。ケンウッドが発売するDRV-C750はこうした弱点を、同社が培ってきた映像技術で克服。360°撮影をしても十分な解像度と画質を確保できるドラレコとしているのです。

↑DRV-C750の本体サイズは、W74mm×H86.1mm×D32mm。画面はモニター上で2分割表示した状態。右側には本体右サイドにあるスイッチに対応したアイコンが表示される

 

テストでは、DRV-C750を運転席側に取り付けることにしました。なぜかと言うと、一般的にドラレコは視界を妨げないようルームミラー裏側に取り付けることが多いのですが、360°撮影対応であれば運転席の様子も捉えられるようにしないと意味がないからです。ただ、車両によってはルームミラーなどが邪魔になってしまう可能性もあり、少なくともその辺りを考慮して、前方向と左右はきちんと撮影範囲に収まるよう、取り付けることに気をつけたいですね。

 

車両に取り付けたDRV-C750本体は、360°撮影対応ドラレコという割にかなりコンパクト。取り付けるアタッチメントが本体をガラス面に直付けするような格好となっており、これが全体をコンパクトに見せるのに効果を発揮しているのでしょう。さらにこのスタイルだと走行中のブレも抑えられますから、ダブルでメリットをもたらしていると言えます。

 

本体は2.4型モニターを備えた一体型で、カメラ部は本体下に水平360°を撮影する専用カメラを装備。撮影モードは360°を一画面に映し出す「ラウンドモード」のほか、前方から左右を低歪率で再現する「パノラマモード」、クルマの前後を上下2分割の「前後2分割」、クルマの前後左右を4分割する「前後左右4分割(マルチアングル)」の4モードです。どの表示がベストなのか迷うところですが、個人的には通常は前後2分割モードにしておき、必要に応じて「PinP(Picture in Picture)」でリアカメラを挿入するのがベストな使い方のように思えました。

↑ラウンドモードでは周囲を1枚の映像で表現できる

 

↑パノラマモードでは前方向と左右、車内を捉えられる

 

↑2分割モードでは前方向をパノラマで撮影し、車内と左右+後方を捉える

 

↑4分割モードでは前方向と車内、左方向/右後方の映像を分割表示する

 

このモニター上の表示、各モードは本体右サイドにあるスイッチで切り替えられますが、記録そのものはメニューで設定した録画モードが反映されます。ただ発売までにリリースされる専用アプリを使えば、パソコン上で各モードに切り替えが可能ということです。

↑DRV-C750のメインメニュー。全部で2ページしかなく、階層も浅いので分かりやすい

 

各設定は右サイドに並んだスイッチによって行います。メニューはケンウッドらしい分かりやすい構成となっており、階層も深くないので各種設定で迷うことは少ないと思います。静止画撮影ボタンや手動撮影(イベント撮影)ボタンも右側面にあり、思いついたときにすぐに押せるのは使いやすかったですね。またデフォルトでは、ディスプレイがONになると設定したモードで撮影した映像がモニターされますが、設定をOFFにすることも可能です。

↑DRV-C750の操作スイッチがある右側面。上からメニュー(電源は長押し)/画面切替/静止画撮影/手動イベント録画の各スイッチ

 

撮影した映像は「DRV-C750」だけでなく、パソコンのWindows Media Playerでも撮影したモードで再生できます。パソコン上で再生してみると、その画質の良さに驚かされました。とにかくその映像が自然なのです。正確には鮮明さという観点では前後2カメラのドラレコよりは劣ります。しかし、発色もきちんとしており、メリハリもあって目で見た雰囲気とそれほど変わらずに再現できていたのです。

↑パノラマモード表示中に手動でイベント記録。スイッチを押した5秒前とその後15秒間の映像を上書きされないフォルダに保存される

 

360°撮影対応ドラレコらしく、前方だけでなく左右もしっかりと捉え、車内は多少暗くなっても十分な明るさで映し出していました。解像度も先行車が遠く離れていなければナンバーもしっかりと視認できるレベル。ただ、この状態では後方の様子はほぼ確認することはできません。そこで、本機では別売りでリアカメラ「CMOS-DR750」を用意しました。

↑別売りのリアカメラ「CMOS-DR750」、実売想定価格1万1440円(税込)。リアガラスのスモーク処理に対応する「スモーク・シースルー」機能を備えた

 

このカメラは、リアガラスのスモーク処理に対応する「スモーク・シースルー」機能を備えており、このカメラを組み合わせることで、後方から左右に回ってくる車両の動きまでもつぶさに撮影できるようになるのです。カメラとしても低ノイズであることで、テストの結果、夜間であってもクリアに後方を撮影できていることが確認できました。

↑リアカメラCMOS-DR750でスモークガラス越しに撮影

※写真はナンバー部に一部加工しております。

 

テストにお借りした機材はプロトタイプであるため、「画質や機能面で不安定さがあるかもしれない」という条件が付いていました。しかし、トラブルはほとんどなく、何よりもこの画質の良さに360°撮影対応ドラレコに対する見方が大きく変わったというのが正直な感想。DRV-C750は“あおり運転”対策というだけでなく、日々の思い出を記録するドラレコとしてもドライブをしっかりとサポートしてくれることでしょう。

 

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