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2020/10/6 21:00

新世代「アイサイト」の進化に感動! 新型レヴォーグで「プリクラッシュブレーキ」を実体験レポート

10月15日に正式デビューする新型「レヴォーグ」。その目玉は何と言っても最新版「アイサイト」搭載でしょう。すでに始まっている先行予約では、半数以上が「アイサイトX」をオプションとして装備していると伝えられており、新世代アイサイトに対するユーザーの期待値はとても高いことが窺えます。その新世代アイサイトのプリクラッシュブレーキを先行体験する機会がありました。今回はその体験レポートをお届けしたいと思います。

↑新型「レヴォーグ」GT-H(左)とSTI Sport(右)

 

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プリクラッシュブレーキに追加された2つの機能

スバルは2030年に死亡事故をゼロにするとの目標を立てています。そのために、まず事故につながらないための技術としてアイサイトを実装。そのアイサイトも今回で4世代目に突入しています。新世代アイサイトでは、オプションで機能を大幅に拡充する「アイサイトX」を用意したことに注目が集まっていますが、実はそのベースとなるアイサイトの進化も目を見張るものがあります。それがプリクラッシュブレーキに追加された新機能です。

↑新型「レヴォーグ」 GT-H

 

プリクラッシュブレーキといえば大半が正面にある障害物への衝突を回避・軽減する機能を指します。しかし、新世代アイサイトでは“前側方プリクラッシュブレーキ”と“前側方警戒アシスト”の搭載により、出会い頭の衝突に対するプリクラッシュブレーキを搭載したのです。この実現は2つの新たな技術によってもたらされています。

 

一つはアイサイトの視野角拡大で、二つめは左右側方の障害物を捉える77GHzミリ波レーダーの追加です。この二重のサポートで側方より迫ってくるクルマを早期に捉えて警告。さらに、衝突の可能性が高まっているのに進行を続けると自動的にブレーキを作動させます。これによって交差する車両との衝突回避/軽減を行うのです。

 

体験では新世代アイサイトを搭載した2台の新型レヴォーグを使って行われました。無線で合図を送るともう一台の新型レヴォーグが見通しの悪い交差点へ接近。自車がそろそろと交差点へと進入すると、近づいた新型レヴォーグを検知して警報音でそれを報知したのです。通常ならここで停止して事なきを得ますが、体験ではわざと進行を継続。すると今度は交差点から出る前に、強制的にブレーキがかかって衝突を回避したのです。

↑新世代「アイサイト」ではカメラの視野角拡大とミリ波レーダーを併用することで出会い頭での衝突を回避することを可能にした

 

↑左側方から車両が近づいていることを検知。まずは軽いアラーム音と共に、メーター内とカーナビ画面上(丸印)で知らせてくれる

 

↑左側方からの車両と衝突の危険があるとシステムが判断すると、激しいアラーム音と共に自動的にブレーキ制御が入る。停止後にブレーキを踏むとアラーム音は消える仕組みだ

 

このデモはこれだけにはとどまりませんでした。右折時に横断歩道を渡っている歩行者に対してもプリクラッシュブレーキを動作させたのです。交差点で右折をしようとして待っていたとき、交差するクルマが停止して行かせてくれることがあります。譲られた方としては、その感謝に応えようと急いで右折しようとしますよね。しかし、その先には同じように車が止まってくれたことで横断しようとしていた歩行者がいる可能性もあります。もし、この歩行者に気付かなければそれこそ大変な事態に陥ります。新しいアイサイトではこうしたシーンでも歩行者を認識して衝突を回避・軽減してくれるのです。

↑新世代アイサイトが歩行者を検知して自動的にブレーキ制御を作動させた時の様子。歩行者の動きも予測して認識できる

 

↑歩行者の存在をアイサイトが検知したとき、車内では警報と共に「前方注意」のアイコンをメーター内に表示してブレーキを自動的に作動させる

 

新機能“前側方プリクラッシュブレーキ”と“前側方警戒アシスト”

 

ただ、すべてのシーンで対応できるわけではありません。認識できるのはあくまでセンサーが人として認識した場合のみ。歩行者の場合は身長が1m未満の子供や腰の曲がった老人などは認識しにくいようで、もっと言えば傘を差していたりすると形状認識がどうしても難しくなってしまうそうです。システムに100%頼りっきりになるのではなく、これはあくまでドライバーのミスをサポートしてくれるシステムなのです。

 

この体験を終え、一連のシステムの開発に関わった方にお話を聞くこともできました。それによると、このプリクラッシュブレーキを実現するにあたっては従来のシステムでは対応できなかったというのです。それが従来の負圧式のブレーキブースターではなく「電動ブレーキブースター」を採用したことです。

 

シャシー設計部の佐藤 司さんは「今までのブレーキでは反応速度や制動力で限界があった。新世代アイサイトでは、交差点での出会い頭の事故や歩行者との衝突を避けることを目標としており、従来の負圧を利用したブースターでは満足できる性能が発揮できない。コストは上がるけれどもこの実現のために敢えて採用した」と、採用に至った経緯を明かしてくれました。

↑交差点でのプリクラッシュブレーキを実現するため、コストアップになっても電動ブレーキブースター(左)搭載に踏み切ったと話すシャシー設計部の佐藤 司さん

 

実はガソリン車でプリクラッシュブレーキを動作させる際は、ESC(横滑り防止装置)を使って制動力を発生させています。直線路では時間的にもわずかに余裕があって対応できますが、交差点では制動に必要な距離が短いことから素早い対応が欠かせません。しかし、負圧を発生しない電動車では電動ブレーキブースターが採用されていますが、ガソリン車などでは一部高級車で採用されるのみでした。とはいえ、センシングで認知できても事故につながらないようにしなければ意味がなくなります。新世代アイサイトではこの搭載がコストアップにつながっても、あえてこの採用を決めたというわけです。

↑運転席側ボンネット内に設置された電動ブレーキブースター。佐藤さんによれば負圧式と比べて形状が複雑で設置場所を生み出すのに苦労したそうだ

 

プリクラッシュブレーキを実際に体験

そして、最後のデモとして用意されたのが、「ぶつからないクルマ」としてアイサイトの存在を一躍知らしめたプリクラッシュブレーキの体験会です。この日は渋滞の最後尾を検知して自動停止するケースを想定して実施されました。新世代アイサイトではぶつからずに停止できる速度域を従来の50km/hから60km/hに引き上げていますが、それを実際に体験するものです。一般的に停止できるまでの制動距離は速度に2乗に比例して長くなりますから、多くのクルマがぶつからないで停止できる速度域を30km/h前後としていることを踏まえれば、この実力は相当なものであると言えます。

 

体験は新型レヴォーグが60km/hまでフル加速し、念のため、オーバーライドを防止するために指定された位置でアクセルを離してデモは進められました。同乗デモでは助手席に乗車して体験。ドライバーからは「仮想車両までノーブレーキで突っ込みますので、カバンなど手荷物はしっかり掴んでいて下さいね」と念押しされてスタートしました。

↑障害物をアイサイトが検知すると車内では、アラームと共にメーター内とカーナビ上に「前方注意」の警告が表示される

 

アッという間に速度は予定を超える65km/hにまで上昇。一瞬、これで大丈夫か? と思う気持ちをよそに目標物を見つけるとシステムは自動的に警報音を作動させ、ドライバーが対応しないでいると制動を効かせて急減速。さらに近づいたところでダメ押しともなる強力な制動力で無事に停止することができました。

↑時速60キロを超える速度でもぶつかることなく停止できた新型レヴォーグのプリクラッシュブレーキ

 

プリクラッシュブレーキの体験会

 

高速道路ではもっと速度域が高い可能性もありますが、警報を鳴動させることでドライバーに対して注意喚起ができるわけで、仮に間に合わずに最後尾の車両のぶつかってしまった場合でも速度を下げることでダメージを大きく引き下げられるのは間違いありません。

 

他にも新型レヴォーグでは、インプレッサにも採用された「歩行者保護エアバッグ」を標準で搭載しています。事故につながらない予防安全がアイサイトの役割ですが、それでも事故が避けられなかった時にそのダメージを最小限にとどめるべく徹底したこだわりをもって対応しているのです。“2030年の死亡事故ゼロ”を目指すスバルが新型レヴォーグでその目標に向けて大きな一歩を踏み出したと言えるでしょう。

↑インプレッサ、XVに続いて、新型レヴォーグにも歩行者保護用エアバッグが標準装備されている

 

↑助手席にはシートベルトの効果を高めるために座面にはエアバッグを組み込む。日本仕様では初採用となった

 
 

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