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2020/12/10 17:15

話題沸騰のカロッツェリア「車載用Wi-Fiルーター」を濃厚インプレ! 実際にオン・オフで使ってみたら

カロッツェリアの車載用Wi-Fiルーター「DCT-WR100D」は、月額制で車内で4G(LTE回線)が使い放題になるクルマ用のアクセサリーであり、各所で話題になっている製品だ。

 

「話題になっている」というと、手垢のついた表現だが、本サイトで紹介した記事は2020年のアクセスランキングのトップ3に入るほど閲覧された(10月上旬の記事である)し、事実、発売メーカーであるパイオニアにも「相当数の問い合わせが入っている」というが、ついに発売となった。

 

で、前回の記事では機能面をさらうことしかできなかったが、今回はじっくり試用。その使い勝手と、クルマの中での過ごし方がどんな風に変わったのか? ワーケーションを兼ねた旅先で使ってきたので、オンとオフのシーンに分けてレポートしたい。

 

【今回紹介する製品】

カロッツェリア

車載用Wi-Fiルーター DCT-WR100D

希望小売価格2万7500円(税込)

NTTドコモの4G/LTE通信網を利用可能な車内向けインターネット接続サービス「docomo in Car Connect」に対応した車載用Wi-Fiルーター。2年有効なSIMカードが付属し、別途契約すれば定額でLTE通信を無制限で利用できる。

SPEC●対応通信規格:4G/LTE(NTTドコモ回線)●無線LAN:IEEE 802.11b/g/n(2.4GHzのみ)●最大同時接続台数:5台●動作保証温度:-10°C〜+60°C

 

本題に入る前に、本製品の概要について触れたい。下記にギャラリー形式でまとめさせていただいた。開通手順も設置も簡単で、数分で完了する。このあたりは、契約して端末が届くまで時間がかかるモバイルルーターとの大きな違いだろう。

【機能・概要ギャラリー(画像をタップすると閲覧できます】

※:実際の利用方法に関してはDCT-WR100Dの取扱説明書をご確認ください

 

【車載用Wi-Fiルーターが使える「オフ」のケース1】

高画質な動画に慣れきった我々を満足させてくれる

今年は自宅にいる時間が長かった。自宅はネット回線がつながっているから、気兼ねなくYouTubeの画質をフルHDあるいは4Kにして、これでもかというぐらい自宅のネット回線を酷使した。

 

結果、何が起こったかというと、外出先で動画をみるときに360pや480pでは満足できなくなってしまった。好きな俳優や女優が低解像度で映っていて、セリフを聞くのがメインになるような映像鑑賞では満足できなくなってしまったのだ。とはいえ、スマホの通信を使えばすぐにギガがいっぱいになってしまう。

 

でも、車載用Wi-Fiルーターがあればクルマの中では大丈夫、というのがこのパートで言いたいことだ。DCT-WR100Dは容量無制限で使い放題。エンジンオンかアクセサリーオン状態であれば、駐車後60分間は通信状態が持続する。だから、画質を1080pにしても怖くない。上の写真は、家族で行った旅行でのひとコマ。夕日待ちで周辺をひと通り探索したあと、やることがなくなったので各々生配信を楽しんだり、見逃したドラマを観ているという場面だ。

 

本当に気にいった配信や作品でない限り、映像コンテンツは何度も繰り返しは観ないもの。せっかくの作品を中途半端な映像体験でロスしてしまうことがなくなるはずだ。

 

取材車はレンタカーだったため、リアエンタメデバイスがなかったが、カロッツェリアのプライベートモニターやフリップダウンモニターを導入すれば、後席でも大画面でエンタメを楽しむことができる。同ブランドのプライベートモニターには、HDMI端子が搭載されているため、手持ちのスマホをモニターにつないで後席だけ別の映像を映すこともできる。この拡張性の良さはカロッツェリアならではだろう。

 

さて、クルマで外出すると、意外に待つ時間は多いし長い。典型的なのは、渋滞でやることがないという場面。ほかにも、ランチやディナーでの待ち時間。最近は入店人数を制限している飲食店も多くあり、人気店は待ち時間が長い。

 

さらに、withコロナの時代になって、プライベートな空間で移動できるクルマの価値が見直され、公共交通機関ではなくクルマで遠出する人も増えた。運転頻度が高くない人は、短時間の仮眠を伴う休憩をしたほうがより安心。15〜20分の仮眠中、家族が暇を持て余すというケースも多いはずだ。そんなときDCT-WR100Dがあれば大活躍。同乗者のメリットが大きいのが本機のウリである。

↑翌日行った離島でのひとコマ。離島はクルマごと乗船する場合でも、駐車場に泊める場合でも早めに到着する必要があるため、旅先で待ち時間が多い場面のひとつ。この時も、待ち時間に家族はスマホでエンタメを楽しんでいた

 

 

【車載用Wi-Fiルーターが使える「オフ」のケース2】

撮った先から動画を親や友だちにシェア

クルマのなかでサブスク作品を観たり、YouTubeの投稿を観たりというのは、車載用Wi-Fiルーターがあれば便利というのは理解できるはず。一方で、やってしまいがちなのが、旅先で撮った写真や動画をバンバン友人や親に送るケース。サイズと画質を自動で下げて送信するアプリが一般的なので、個々のデータサイズは大したことはないが、大量に送るとさすがにギガを圧迫する。追加のギガを購入して数千円の出費したのは何度だろう。

 

DCT-WR100Dが採用する「docomo in Car Connect」の利用料は1年プランで1万2000円。月あたり1000円だ。週末だけしか載らない人は1日契約プランもあるので、自分の使い方に応じてプランを決められる。ただ、こちらは500円なので、1年プランを利用したほうが得するパターンが多い。利用料金面でもハードルが少ないという点でも、DCT-WR100Dは持っていて間違いのないアイテムである。

※:上記価格はすべて税抜価格

 

ちなみに、DCT-WR100Dは端末は5台まで同時接続可能。ミニバンで定員近くまで乗らなければ、乗員全員が接続できる。家族や友だちと撮りあいっこしたデータを送り合う光景もよくあると思うが、それも宿泊先に戻らずにその場でできるのだ。

 

【車載用Wi-Fiルーターが使える「オン」のケース1】

ちょっとした書類やデータをチェック

ここからはオンでの活用方法についてレポートしていこう。クルマで移動しながら訪問先を回って、その合間に業務やメール対応している人は多いだろう。パワポやエクセルを開いて緻密な作業をするほどではないが、スマホだけでチェックするには心もとないシーン。

 

筆者の場合は、原稿のチェックや企画の確認などがそれにあたり、1日に10回以上。クルマ移動で業務する日の場合、その都度PCを開いて、スマホとPCをテザリングするか、モバイルルーターにつなぐ生活を送っていた。で、サクッとつながらないと結構イライラする。結果、「あとにしよう」というパターンに陥りがちで、後回しにすると上司や部下からせっつかれてストレスが溜まる。悪循環である。

 

でも、車載用Wi-Fiルーターがあると違う。立ち寄ったコンビニの駐車場や訪問先周辺のパーキングでさっと対応、さっと返信。DCT-WR100Dは走行中はもちろん、駐車後もエンジンオンまたはアクセサリー状態であれば、60分間は通信可能状態が持続するので、ちょっとした作業をするには十分。Wi-Fi環境が途切れないのですぐに作業に移れるのだ。

 

5〜10分の作業も1日10回以上あれば、1〜2時間に積み上がる。仕事効率がアップしたのを実感できるのと、「早く対応しなきゃ」という心理的プレッシャーから解放される。これがかなり大きく、運転中に別のことを考えられるのだ。別のことを考えられるから、クリエイティブな領域にも効果をもたらす。そのあたりは、次の項で紹介していこう。

 

ちなみに、営業車で毎回乗るクルマが違うとか、ファーストカーとセカンドカーの複数台持ちという場合も大丈夫。DCT-WR100Dはシガーソケットに接続するだけで利用できるので、非常に多くのクルマで設置できる。クルマを持っていないという人でもレンタカーやカーシェアのクルマでも使える。クルマの所有に関わらず、一台持っているだけで、活躍してくれるデバイスである。

 

 

【車載用Wi-Fiルーターが使える「オン」のケース2】

ビッグなアイデアを閃いちゃったとき

クルマとトイレと風呂は、「3大アイデアを閃きやすいスポット」だと個人的に思っている。集中している、狭い空間で余計なものが目に入ってこない、他の人に邪魔されないーー人間は制限されている空間では情報整理がしやすい。何かを閃いた場合、多くの人がまずやることはアイデアを書き留めることと、一旦ネットで検索することではないだろうか。

 

トイレや風呂で閃いた場合は、出てすぐに作業に取りかかればいい。スマホやタブレットを持ち込んでいる人も多いだろう。でもクルマの場合は、安全な場所に駐車して、スマホやルーターのデザリングをオンにして、メモアプリを立ち上げて、って、もう半分忘れかけている! 誰も考えたことがなくて画期的で社長賞も確定だったアイデアのタネが忘却の彼方へ行ってしまう。

 

というのは言い過ぎかもしれないが、とりあえずメモを書き留めたい場合、DCT-WR100Dがあると段違い。先ほども述べたが、本機は駐車後もエンジンオンまたはアクセサリーオン状態であれば、60分間は通信可能状態が持続するため、使用したい端末がWi-Fiにつながった状態にできるので、すぐにそのまま調べ物ができる。

 

筆者の場合、タブレットでノートアプリを開いてデジタルペンでアイデアをなぐり書きしたあと、参照したいURLをノートにテキストで貼るのがルーティン。ブラウザで開きっぱなしにしておくと、つい消してしまって「あのサイトどこいったっけ?」と二度手間になることが多かったためだ。

 

この流れ自体は、クルマ移動を伴う業種・職種だけの人に当てはまるものではない。夫婦共働き家庭でともに在宅勤務の場合、クルマで1人で集中するという使い方もできる。エンジン始動時からは30分で通信が切れるが、30分一本勝負で濃度を上げて作業することも可能だ。DCT-WR100Dは単にカーライフを充実させるのではなく、日常生活をも充実させる特徴を持っている。

 

【まとめ】withコロナ時代に合った製品である

DCT-WR100Dは、車内でも自宅やオフィスにいるような感覚で、躊躇いもなく通信ができるデバイスである。個人的には、この「躊躇なく」というのが意外に重要だと考えている。少し抽象的になるが、まとめとして語っていきたい。

 

withコロナの時代になって私たちは大なり小なり様々な制限を受けている。今回は旅ということで外出をしたが、どこかに出かけたり、外食をしたり、リアルなイベントに行ったりという選択肢に何らかの制限が出ている。

 

非常に細かい領域でいえば、マスクをすることで口が動かしにくいという身体的な制限も受けている。そして、これはしばらくは変わらないだろう。だから、自分の生活を縮こめすぎないよう、能動的に制限を取り払う行動をしていかないと、日常が充実していかない。

 

DCT-WR100Dは、ニューノーマルの時代にあって、リスクを下げる生活を送りながらも、クルマの中で自分のやりたいことができる価値を提供してくれているデバイスだと感じている。壮大な話になってしまったが、結論は買いである。

 

なお、今回は取材車両がレンタカーだったため、カロッツェリア製品との連携についてはあまり触れらなかったが、例えば、HDMIケーブルが挿せるナビやディスプレイオーディオがあれば、前席でAmazonのFire TV Stickを挿してAmazonプライム・ビデオの作品を視聴できる。

 

このあたりは、前回記事も参考いただきたい。

【最速インプレ】車内が「Wi-Fi繋ぎ放題」になる「車載用Wi-Fiルーター」がカロッツェリアから登場。使い勝手は? どんな人に向いてる?