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2021/1/7 19:15

ブリヂストンの大充実ミュージアム「ブリヂストン イノベーションギャラリー」がオープン!見所を4つにわけて紹介

ブリヂストンが2020年11月21日「Bridgestone Innovation Gallery(ブリヂストン イノベーションギャラリー)」を東京小平市にオープンさせました。この施設はブリヂストン社の歴史をはじめ、タイヤに関する様々な知識や、同社が手がけるタイヤ以外のイノベーション、さらに将来へ向けた取り組みなどを紹介したミュージアムです。

 

ブリヂストンは将来に向け、この地に「Bridgestone Innovation Park(ブリヂストン イノベーション パーク)」の建設を計画しており、本ギャラリーはその最初の施設となるもの。今後は社内外の交流を促進する施設やテストコースなどを備えた総合的な施設へと発展させる計画です。リニューアルオープンは当初、2020年春を予定していましたが、新型コロナウイルス感染症の影響を受けこの日のオープンとなりました。

↑ブリヂストンが東京・小平市に計画している「ブリヂストン イノベーション パーク」の完成予想図。白いビルに今回リニューアルした「ブリヂストン イノベーションギャラリー」が入っている

 

ブリヂストンの誕生、現在、未来を4つのパーツに分けて展示

ギャラリーの入口に展示されているのは世界最大級のタイヤです。サイズは59/80R63となっていますが、ヨコにある説明によれば、直径:4022mm、幅:1459mmとなっていて、重量はなんと5223kg! とあります。これはダム建設用の巨大ダンプなどに採用されるタイヤなんですね。

↑ブリヂストン イノベーションギャラリーのエントランス。右側にあるタイヤは世界最大級の大きさで、東京工場のシンボルともなっている

 

ギャラリーは2フロアを使用しており、エントランスホールには企画展スペースとして利用することが可能です。たとえば「エコ絵画」の展示や近隣の小中学校の生徒を対象にしたワークショップなどの開催を想定しているとのことです。館内は大きく「WHO WE ARE〜挑戦の歩み」「WHAT WE OFFER〜モビリティ社会を支える」「HOW WE CREATE〜創造と共創」「WHERE WE GO〜新たなチャプターへ」の4つのゾーンに分けて展示されています。それではゾーンごとに一つずつ紹介していきましょう。

 

【その1】WHO WE ARE〜挑戦の歩み

ブリヂストンがこれまで挑戦してきた歴史やグローバル企業として躍進する取り組みなど、その歩みやDNAを感じられるゾーンとして構成されています。同社の創業者である石橋正二郎氏の生い立ちに始まり、ブリヂストンが純国産タイヤメーカーとして創業し、海外やモータースポーツへ進出してグローバル企業として成長するまでの過程が一望できます。創業当時のタイヤ(レプリカ)の他、ブリヂストン初のラジアルタイヤ、広告に使ったブリキ看板など展示物も豊富で、懐かしくもあり、興味深い展示となっています。

↑創業者の石橋正二郎氏を紹介するパネルと、右下にあるのは創業当時のタイヤ(レプリカ)。右上にあるのは当時のブリヂストンの広告

 

↑その昔、幹線道路には2キロごとにブリヂストンの取扱店を用意し、これが顧客の信頼性向上に貢献した

 

↑F1用タイヤを開発するために実際にテストで使用されたF1マシン。これが契機となってブリヂストンのグローバル化へと突き進んだ

 

【その2】WHAT WE OFFER〜モビリティ社会を支える

ここはブリヂストンのを紹介するコーナーです。タイヤの基本原料であるゴムなどの素材そのものからタイヤの構造などを学習でき、幅広い製品群も展示されています。同社が取り扱う自転車や乗用車用、航空機用まで様々なタイヤなどによって社会を支えていることがわかります。参加型の展示も多いのも特徴で、様々なゴム素材を引っ張ってその違いを知るコーナーや、上から落として弾性の違いを体感するコーナーなどを用意しています。空気が抜けても走れるランフラットタイヤの解説や、軽量化技術「ENLITEN(エンライテン)」など、タイヤの最新技術を知ることができるのも見逃せません。

↑ブリヂストンが扱う様々な種類のタイヤを展示し、それらはどんな用途に使われているかを当てるクイズ形式で展示。裏側に答えが表記してある

 

↑タイヤの製造工程をタイヤの素材と共に順を追ってわかりやすく解説されている

 

↑様々な路面を再現したサンプル上で、最適化したタイヤの特徴を知ることができる。驚くのはその路面がホンモノと見紛うほどリアルに再現されていることだ

 

↑タイヤの表面を張り替えて繰り返し使う「リトレッド」について紹介。業務用途ではこの利用が常識となっている。左がすり減ったタイヤで、表面を張り替えて完成させたのが右

 

【その3】HOW WE CREATE〜創造と共創

ここではブリヂストンが手掛けるスポーツ製品や建築ソリューションなど、現在開発中のものも含めた、イノベーションが紹介されています。体験コーナーも多く、NVHソリューションシミュレーターでは騒音、振動、ハーシュネスの発生具合とそれを抑制する効果などを実際に体験。ゴルフのスイングフォームを録画して骨格の動きと体重移動の流れを解析するコーナーも用意されています。また、同社のアスリートやパラアスリートへの支援活動についても紹介されていました。変わったところでは、サイホン原理による新しい排水システム「スマートサイホン」のデモ装置で、同社が建築分野などにも幅広く進出している事業内容を知ることができます。

↑騒音や振動、ハーシュネスを座って体感できるNVHソリューションシミュレーター。NVH効果をON/OFFしてその効果を体感できる

 

↑オリンピック用に開発し、正式採用されたフルカーボン製自転車。車体重量は7kgにも満たないという

 

↑ゴムと樹脂を分子レベルで結びつけた世界初のポリマー「SUSYM(サシム)」を使って試作したタイヤ(コンセプト)

 

↑タイヤ作りで最も重要なパターンの元となる現場を再現した展示。映像と実物で手彫りする様子が解説されていた

 

【その4】WHERE WE GO〜新たなチャプターへ

ここは未来を感じさせてくれるコーナーです。映像が流れる通路を通過するとそこはブリヂストンが描く未来を感じ取れる世界。同社が誇る最新テクノロジーが紹介されていました。なかでも興味深かったのは、JAXAとトヨタが開発中の月面探査車(ローバー)用のタイヤの展示です。注目は金属で織り込んだ特殊な素材が使われていること。月面温度は昼夜の寒暖差が280度もあり、とてもゴム製タイヤでは対応できないとのこと。重量は1本300kgもあるとのことですが、重力は地球の1/6になるため50kg相当になるんだとか。展示からはそんな月面で活躍するローバーの姿が目に浮かんでくるようです。

↑JAXAとトヨタが開発中の月面探査車(ローバー)用のタイヤ。素材はゴムではなく、金属などの特殊な素材でできている。重量は1本で約300kg

 

↑インホイールモーターのEV(電気自動車)向けに開発されたタイヤで、走行中でのワイヤレス給電を可能としている

 

↑2017年のインディ500で優勝した佐藤琢磨選手のマシン(レプリカ)。ブリヂストン傘下のファイアストン・タイヤを履いている

 

ギャラリーを一通り回って感じたのは、クルマやタイヤに少しでも興味があれば訪れてみる価値はあるということ。とにかく資料や展示が豊富で、これらが無料で楽しめることも大きいです。子どもが楽しめるコーナーも用意してあるので、家族で訪れてもいいですね。知らず知らずのうちにタイヤをもっと身近に感じられるようになるでしょう。日曜/祝日はお休みですが、週末の土曜日ならOK。時間つぶし以上の収穫が得られると思いますよ。

 

「ブリヂストン イノベーションギャラリー」へのアクセス

JR山手線・高田馬場駅から西武新宿線に乗って30分ほどの小川駅東口から徒歩で5分程度で着きます。東京都心から少し離れた小平市にありますが、実際に乗り継いでいくとアクセスは比較的良い。入場料は無料。日曜/祝日と年末年始は休館日です。なお、クルマでの出掛けた場合は無料の駐車場が利用できます。

 

 

【フォトギャラリー(画像をタップすると閲覧できます)】