最近、バイクのような極太のタイヤを履いた乗り物を見かけたことはありませんか? 「バイク!?」と思って振り向くと、音もなく走り去って行くので「あれは何だろう?」と思っている人もいるかもしれません。その正体は電動アシスト付きの自転車。車種はいくつかあるようですが、元祖といえるのがSUPER73というアメリカ生まれのブランド。その日本向けモデルである「SG1」に試乗し、乗り心地などをチェックしてみました。
【SUPER73 SG1を写真で先見せ(画像をタップすると拡大画像が表示されます)】
バイクのようなルックスを信頼のパーツで構成
太いタイヤのほか、大きめのライト、ガソリンタンクの位置に装備されたバッテリーなど、SUPER73 SG1の見た目は完全にバイクです。それもそのはず、アメリカではSUPER73は“電動バイク”として売られているとのこと。現地仕様のものは、右手側にスロットルがあり、それを回すことでも走行できるようです。しかし、SG1は日本向けに電動アシスト自転車として売られているので、スロットルはなく、時速24kmでアシストが切れるなど、日本の法規に適合した仕様となっています。
SG1のディテールをさらに深堀り!
アシスト用のモーターは後輪の軸(ハブ)に一体化されています。アシストはeco、tour、sportの3段階に切り替え可能で、アシストを使って走れる距離は60〜70km(路面状況や走り方によって異なる)とのこと。バッテリーは車体から取り外して充電することができます。充電時間は3〜4時間。
SG1の重量は32kg。電動アシスト自転車としてはかなりの重量級です。最大積載量は125kgなので、乗り手+荷物くらいの重さは余裕ですが、自転車なので2人乗りはできません。ハンドル幅が63.5cmあるので、厳密には歩道を走れる“普通自転車”の枠は超えています。
そのデザインから、バイク乗りの人が近所の足として購入することも多いというSUPER73 SG1ですが、最近はルックスのインパクトに惹かれて購入するアパレル関係者や若い人も増えているとか。電動アシストがあることから、通勤に使っている人も少なくないそうです。電動アシスト自転車というとママチャリ的なモデルのイメージが強いですが、このデザインなら乗ってみたいという人も多そうですね。
街乗りで走行性能を体感
32kgという車体に太めのタイヤで、ちょっと重そうなSUPER73 SG1ですが、走行性能はどうなのか? 実際に街中を中心に走り回ってみました。またがってみると、着座位置は思ったより低く、ハンドルが高めの位置にあるので、バイクでいうとチョッパーというかボバー的なライディングポジションになります。身長175cmの筆者の場合、ペダルを回すときに結構ヒザが曲がる感じ。シートが後ろの方にあるので、ペダルに体重はかけにくい感じでした。
しかし、アシストをONにして走り出すと、ペダルを強く踏まなくてもスイスイ進むので、非常に楽です。アシストモードはecoだとペダルに少し重さを感じますが、tourにすると全く感じなくなり、sportではペダルを回しているだけでグイグイ走って行ってくれます。電動バイクのスロットル代わりにペダルを回しているような感覚ですね。坂道も登ってみましたが、立ち漕ぎの必要もなくスイスイ登れます。
太いタイヤのおかげでコーナーリングの感覚も独特です。自転車というよりバイクに近い感じ。リアタイヤの上にどっかり腰を降ろして、曲がって行く感覚ですが、タイヤが小径(バイクでいうところの16インチ径)なので、結構クイックに向きが変わります。これは楽しい!
乗っていてちょっと気になったのはシート。高さ調整ができないので、身長が低い人だとまたがるのが大変な場合もありそうです。逆に身長が180cm以上あるような人だと、ヒザの曲がりがキツくなりすぎるかも。オプションのシートに交換することもできるようですが、高さはそれほど変わらないとのことです。
街中を走っていて感じたのは、すごく目立つということ。バイクのような見た目と、太いタイヤの走行音で歩いている人がたいてい振り返ります。なかには2度見する人もいたり、子どもには指差されたりするので、目立ちたい人にはたまらないでしょうが、ちょっと気恥ずかしく感じる場面もありそうです。
販売しているのは東京都渋谷区にある「MAD BOLT GARAGE HARAJUKU」。カスタムパーツも充実しているので、自分好みのスタイルに仕上げていく楽しみもありそうです。ただ、人気が高いため、入荷するとすぐに売れてしまって、次回のロットは1月後半になりそうとのこと。ほしいと思った人は早めに予約しておいたほうがいいかもしれません。
MAD BOLT GARAGE HARAJUKU
東京都渋谷区神宮前6-11-1
撮影/松川 忍