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2021/2/22 17:00

新型ルノー「キャプチャー」は何が進化したの? クルマ視点とモノ視点、2人のプロが語る超濃厚レポート

ルノーのコンパクトSUV「キャプチャー」が2代目へとフルモデルチェンジした。先代は全世界で170万台をセールスし、コンパクトSUVのパイオニアともいえるモデルだ。新型モデルは2019年から本国フランスをはじめヨーロッパで販売されており、こちらも大ヒット中! 2020年のヨーロッパ販売台数では、SUVではナンバーワンを獲得している(※1)。

※1:2020年1~12月 ヨーロッパ27か国におけるSUVモデルの販売台数。JATO Dynamics Ltd 調べ。

 

本記事では、2月25日からスタートする国内販売を前に、エクステリアデザイン、インテリアデザイン、走行&動力性能、使い勝手、先進技術の5方向から同車を解説。本サイト編集長の山田佑樹と、モータージャーナリストの岡本幸一郎さんによるダブルインプレで魅力を掘り下げていく。

 

【今回紹介するモデル】

ルノー

キャプチャー

299万円(インテンス)〜319万円(インテンス テックパック)

SPEC【インテンス テックパック】●全長×全幅×全高:4230×1795×1590mm ●ホイールベース:2640mm ●車両重量:1310kg ●パワーユニット:1.3L直列4気筒直噴ターボエンジン ●最高出力:154PS(113kW)/5500rpm ●最大トルク:270Nm/1800rpm ●WLTCモード燃費:17.0km/L

 

【新型ルノー キャプチャーのディテールをギャラリー形式で紹介!(画像をタップすると詳細が表示されます)】

 

新型ルノー「キャプチャー」の詳細はコチラ

 

【その1:エクステリアデザイン】

「360度全方位、スキがなくなった」(岡本)

「シームレスであり、ニューノーマルな一台」(山田)

新型ルノー キャプチャーでまず触れたいのがエクステリアデザインである。よりSUVらしいダイナミックさを獲得しながらも、洗練された都会的な佇まいはキープ。これについて岡本さんは「初代譲りのやわらかな面と、初代にはなかった鋭い線が織りなすボディパネルの面構成が絶妙。360度全方位、スキがなくなった印象」と解説。

↑ボディサイドは絞り込まれるような複雑な面構成をしていて洗練された印象を醸し出す

 

↑ボンネットにはプレスラインが入り、こちらも躍動感を感じさせる

 

山田もこのデザインは感銘を受けた模様。

「フォーマルもカジュアルもイケるデザイン。高級ホテルのエントランスでもサマになるし、オートキャンプ場でも絵になる。一方で、スーパーの駐車場に止めても溶け込みます。ひとつの要素をやりすぎず、すべてが調和しているから風景と調和。シームレスな存在であり、シームレスはニューノーマルの時代の重要な要素です」(山田)

 

より細かい箇所に関しては山田と岡本さんのミニ対談をご覧いただきたい。

山田「SUVでデザイン的な個性を出そうとすると、エグさというかやりすぎちゃうことありますよね」

岡本「ですね。奇抜なデザインも悪くないですが、キャプチャーはあくまでオーソドックス。わざとらしい感じがしない」

山田「それはどのあたりが肝になっていますか?」

岡本「結局、ひとつひとつの積み上げなんですよね。C型をした前後ランプ類のデザインで統一性を出す/フロントパンパーのダクトでクルマをよりワイド&ローに見せてアクティブさを出す/リアパンパーにもダクトパーツを装着して統一感を出すなど、すべてに意味があります」

↑Cシェイプのライトシグネチャー
↑フロントバンパーのエアディフレクター
↑リアのランプもCシェイプで、リアバンパーにはエアアウトレットの造形を採り入れている

山田「フレンチSUVは1日にしてならず、ですね」

岡本「ええ。しかも、フロントバンパーの機構はフロントホイールハウス部分を整流し燃費を稼ぐ効果もあって、ちゃんと機能も持ち併せています」

山田「機能美もあるということですね。ちなみに、モノ目線で言うと、オン・オフ問わないは最新のキーワードなんです。近年、スポーツブランドが次々とビジネスウェアを出していて、ジャージのような着心地のスーツが流行っています。オン(=ビジネス)なんだけど、オフ(=プライベート)もイケる。キャプチャーもまさにそんな感じ」

岡本「なるほど」

山田「だから、フォーマルな場に連れていっても、カジュアルな場所に連れていっても映える。同時に、年齢もシームレスなんですよね。カップルやファミリー層にも合う、子育て卒業世代にも合う。ベースがエグくないから、使い方の色付けは、その人それぞれ、白紙のキャンバスみたいなクルマです」

↑ホイールの意匠もやりすぎない程度に個性を主張。タイヤサイズは前後とも215/55R18

 

【その2:インテリアデザイン】

「フライングセンターコンソールの素晴らしさ」(岡本)

「廃れることのないハンドスピナー」(山田)

新型ルノーキャプチャーで最も変わったのはインテリアだろう。運転席側に少しだけ向いたコクピット、肌に触れる部分に多用されるソフトパッド、ピアノブラックで引き締まったデザインのディスプレイ、デジタル化したメーターなど、見るべきポイントがたくさんある。

 

↑デジタルメーターは、運転モードや照明をカスタマイズできる「ルノー・マルチセンス」で表示を変えられる。写真は中央を速度計にしたもの

 

↑7インチ マルチメディア イージーリンク。スマホとつなげてApple CarPlayやAndroid Autoを利用できる

 

ただ、これらは、ベース車両となるルーテシアでも同じ手法で進化。新型ルノー キャプチャーではさらに、キャプチャーらしいこだわりが随所に仕込まれている。岡本さんが挙げたのは、シフトがまるで宙に浮いたような造形の「フライングセンターコンソール」だ。

 

「フライングセンターコンソールは見た目にも印象的なうえ、機能面でも実に合理的。SUVらしくアップライトなドライビングポジションにも合っています。ちょうど良い高さにシフトノブがあるので、運転時にわざわざ見なくても操作ができます」(岡本)

↑フライングセンターコンソール。シフト部分が宙に浮いたような造形が特徴的

 

↑シフト下の空間は小物入れになっており、ワイヤレス充電に対応

 

山田の感想はどうだろうか。

キャプチャーは触覚に訴えかける稀有なモデル。ソフトパッドの質感がとにかく気持ちいい。例えるなら、廃れることのないハンドスピナーのよう。ハンドスピナーは一時的なブームで終わってしまったが、こちらはずっと触っていたくなる。肌に触れるところが気持ちいいと空間全体の居心地がよくてずっと居たくなる」(山田)

↑ドアトリムやグローブボックス上部、肘掛け部分など肌が触れる場所に柔らかな手触りのパッドを配置

 

ここでも、より細かい箇所に関しては山田と岡本さんのミニ対談をご覧いただきたい。

岡本「いまやBセグメント(※2)でもアンビエントライト(室内の間接照明)が使われるようになったことに時代を感じます」

※2:プジョー208シリーズ、フォルクスワーゲン ポロ、国産車ではトヨタのヤリスやホンダのフィットが当てはまるコンパクトカーの分類

山田「そこから来ますか! 確かに、Bセグはあくまで実用車であり『演出する』というのは、二の次でした」

岡本「そうなんです。いま、フランスのBセグ車は『良い戦い』をしています。かつてBセグは、小柄なBセグのほうがよい人はもちろんとして、Cセグを買えない人が選ぶ意味合いが大きいクラスでした。ところが最近、大きくなり過ぎたCセグを嫌って、積極的にBセグを選ぶ人が増えています」

山田「なるほど」

岡本「それを受けて、各社がBセグに力を入れるように。際立つのがフランスのブランドです。ドイツ勢はどちらかというとCセグ以上がメインですが、フランス勢はBセグは譲らないとばかりに力を入れて、Cセグのダウンサイザーが購入しても不満に感じないよう、質感や装備を磨き上げてきました。そうして開発されたBセグのニューモデルがいま続々と市場に登場しています。なかでも、もともとSUVのベストセラーであるキャプチャーは、そのポジションを確固たるものとすべく、すべてにおいて進化を果たしたと感じています」

山田「それは走りの面や、使い勝手や居住性でも同じことが言えそうですね」

岡本「まさにそうです」

山田「私は、岡本さんも挙げてくれた『フライングセンターコンソール』が気に入っています。これは、キャプチャーオリジナルでルーテシアにはない。ベース車両があるモデルだと小手先だけのデザイン変更というケースも多いですが、圧倒的に違う。ルノーのこだわりが見て取れます」

 

新型ルノー「キャプチャー」の詳細はコチラ

 

【その3:動力性能&走行性能】

「トルクウエイトレシオが効いている」(岡本)

「セグメントの考え方を置き去りにする」(山田)

新型ルノー キャプチャーはBセグメントのコンパクトSUVというラベルを覆すようなしっかりとした、走らせて楽しい仕上がりになっている。このパートは、モータージャーナリスト視点で岡本さんに徹底的に語っていただこう。

 

キャプチャーのエンジンは1.3Lの直噴ターボエンジン。この排気量帯では3気筒を採用するメーカーも増えていますが、やはり4気筒のほうが好みです。エンジン音に安普請な印象がないし、振動が小さく不快感がありません。

↑最高出力は154PS(113kW)/5500rpm、最大トルクは270Nm/1800rpm。これは、ルーテシアに比べて、23PS、30Nmのアップ

 

1.3Lながら力強く加速し、体感的にも十分な速さを引き出しているのはたいしたもの。レッドゾーンの6500rpmまできっちり回ります。

 

スポーツモードにすると、よりアクセルレスポンスが増して盛り上がりのある加速をします。レスポンスがよく扱いやすいので、常時これを選んでおいてよいのではと感じたくらい。むしろ、アクセルをあまり踏まなくても加速するので、燃費もそれほど悪化しないはず。

↑スポーツモード時にメーター。中央のメーターがタコメーターになり、車両の反応もクイックに

 

ベースのルーテシアよりも100kgほど重くなっているのに、パワー&トルクが引き上げられたことで、それ以上に速くなったように感じます。パワーウエイトレシオ(※3)はもちろんとして、トルクウエイトレシオ(※4)が高いことが効いています。余力のある動力性能のおかげで、高速巡行が主体のロングドライブもよりラクに走れることでしょう。

※3:車両重量を最高出力で割った数値。数値が小さいほど加速力が高いとされる ※4:車両重量を最大トルクで割った数値。数値が小さいほど加速力が高いとされる

 

7速EDC(※5)はつながりをマイルドにして扱いやすくしていて、ダイレクト感をあえて落としている印象。ギクシャク感は小さく、シフトチェンジがおだやかで、機構的な負荷も小さくトラブルも起こりにくくなるはず。

※5:奇数段と偶数段の2つの軸に配されたギアを交互に切り替える仕組みで、瞬時かつシームレスなギアチェンジが可能な機構
↑シフト自体の造形もベースのルーテシアと異なっている

 

足まわりは、ストローク感があるけど適度にダンピングが効いて引き締まっています。ロールが小さく抑えられているので、コーナリング中にいまクルマがどのような状況にあるのか掴みやすく、ちょうどよい味付け。また、ステアリングギア比がクイックになったことで、より俊敏なハンドリングを楽しむことができます。

 

ルノー・日産・三菱のアライアンスで新設計されたプラットフォームは剛性が非常に高いです。サスペンションの取り付け剛性も十分に確保されているおかげで、足まわりが理想的に動いて仕事をこなしている印象。タイヤがしなやかに路面に追従してしっかり接地している感覚があります。

 

ステアリングの中立位置から微妙に切りはじめたところから正確に応答し、切った通りに車両が反応してくれます。このクラスでこの領域の動きがちゃんとできているクルマは少ないです。これにより修正舵が少なくなり、長時間のドライブでも疲労感が小さくなります。

↑任意のギアにするにはステアリング裏にあるパドルシフトを使用する

 

【その4:使い勝手】

「ファミリーカーとしても十分」(岡本)

「Boseがあるおかげで書斎にもなる」(山田)

新型ルノー キャプチャー、室内の広さやラゲッジの広さはどうなのだろうか? 数字から見ていこう。フロントシートの座面長が15mm長くなり、よりサポート性がアップ。一方、シートバックの形状を工夫することで、後席乗員の膝周りスペースは17mm長くなって、221mmになっている。同時に初代から好評だった、リアシートの前後スライドも継続。前後に最大160mmスライドできる。

 

前席、後席とも初代よりも車内空間が広くなっているように感じました。このクラスでこの広さはなかなかありません。ファミリーカーとしても十分に使えます」(岡本)

↑後席にもエアコン送風口とUSB端子を搭載。広さだけでなく、快適に過ごせる装備も充実

 

また、インフォテイメントも充実。ここではデジタルデバイスに造詣の深い山田に語ってもらおう。

 

「Apple CarPlayとAndroid Autoが使えるから、いつもの環境で地図を見たり、音楽を聞いたり、ストリーミングサービスを利用できます。これ自体は他のクルマでもできるので特筆することではないけれど、キャプチャーはここにBoseのサウンドシステムが加わるから、一気に特別な空間になります。イベントやライブがオンライン化していくなかで、より高音質な体験をしたい人は増えているはず。

 

自宅でプレミアムな音響システムを構築しようとすると、金額もうなぎ上りになるし、配線が増えて家族の同意を得ることも必要。だけど、キャプチャーなら標準装備。書斎としても活躍するでしょう」(山田)

↑超小型ながらBoseサウンドを鳴らす「Fresh Air Speaker」を搭載。サブウーファー、4つのウーファー、4つのトゥイターの合計9つのスピーカーから構成される

 

これ以外にも使い勝手の見所は満載。ミニ対談で余すことなくお伝えしよう

岡本「ラゲッジの広さに驚きました。同じくBセグでこの広さにはビックリ。ゲート開口部も広く、使い方に合わせてアレンジできるのも重宝します」

↑ラゲッジは6:4の分割可倒式。536L〜最大1235Lまで拡大する

 

山田「リアシートのスライドが絶妙にいいんですよね。このスペースにアウトドア用のテーブルがちょうど入る。キャンプやBBQは効率よく荷物を積めるかがポイント。隙間なく積めたらドライブも気持ちいいですし、積んだものが動かないので安心度も上がります」

↑リアシートはスライドが可能。上の写真に比べて後席を前にスライドさせている

岡本「アウトドアという側面でいえば、ドアがサイドシル下まで回り込んで開閉するおかげで、下から泥などが侵入しにくくサイドシルが汚れないので、ズボンのスソを汚す可能性が低いのがありがたいです」

 

新型ルノー「キャプチャー」の詳細はコチラ

 

【その5:先進安全技術】

「一気にセグメントのトップランナーになった」(岡本)

「文字通り、死角なし!」(山田)

次は、最近のクルマでは欠かせない先進安全技術面を掘り下げていこう。新型ルノー キャプチャーでは最新装備をカバー。代表的なものでいえば、アダプティブクルーズコントロール、歩行者・自転車対応の衝突被害軽減ブレーキ、360°カメラ、後側方車両検知、車線逸脱防止支援、車線逸脱警報、交通標識認識機能。インテンス テックパックにはさらに、レーンセンタリングアシストを装備し、車線の中央をキープしてくれる。

 

岡本さんの評価としては、「一気にセグメントのトップランナーになった印象です。日産とのアライアンスによる恩恵でしょう。なかでも、レーンセンタリングアシストと、レーンキープアシストといった、高速巡行時に役立つ機能が設定されたのは大歓迎。長距離ドライブでドライバーにかかる負荷を格段に引き下げてくれるでしょう」と高評価。

↑先進運転サポート系はステアリング左側の操作ボタンから行う

 

これは山田も同意見だ。

キャプチャーはエイジレスですが、ダウンサイジングして乗り換えるという面で考えると、50代以上のユーザーも少なからずいるはず。まだまだ元気な年齢ですが、肉体的な衰えも出てくる年代なので、運転サポート機能を満遍なく取り揃えているのは心強いです。アクティブだからこそ、そのアクティブを心置きなく発揮させてくれるクルマ。文字通り死角なしです!」(山田)

 

【まとめ】

「安グルマ」という印象はまったくありません(岡本)

ベースグレードがアンダー300万円の衝撃(山田)

ここまで新型ルノー キャプチャーを5つに分けて解説してきたが、最後に総括していこう。

「7年分の中身の大幅な進化はもちろん、初代でもウケのよかったスタイリングも持ち前のよさを大きく変えることなく、それでいて新鮮味もある、ちょうどよいデザインに仕上がっています。これほど内容が充実しながらも、価格設定も非常に頑張った」(岡本)

 

「インテンスグレードの価格は299万円。ベースグレードとはいえ、安全装備やBoseなどほぼ全部入りでこのプライスは結構衝撃的。実にお得です」(山田)

 

新型ルノー キャプチャーの発売は2月25日。デビューフェアは2月27日〜3月7日。ぜひ、ディーラーまで足を運んで欲しい一台だ。

 

新型ルノー「キャプチャー」の詳細はコチラ

 

撮影/茂呂幸正