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2021/4/8 7:00

奥が深い!小田急新ミュージアムは車両以外にも見どころいっぱい【後編】

【展示ゾーン④】LSEのシミュレーターは臨場感たっぷり

◆ロマンスカーアカデミアⅡ(2階)◆

↑インタラクティブアートでは手をかざすと小田急沿線のさまざまな街の景色が現れる

 

2階のキッズロマンスカーパークの隣には「ロマンスカーアカデミアⅡ」と名付けられたフロアがある。ここにはまず「インタラクティブアート“電車とつくるまち”」というコーナーが。壁に手をかざすと、動きに合わせて線路が敷かれ、駅を中心に家や店、学校が浮かび上がり、街づくりが進む。

 

さらに運転シミュレーターのコーナーがある。「ロマンスカーシミュレーター“LSE(7000形)”」と名付けられたシミュレーター装置が用意されている。この運転シミュレーターもかなり凝っている。まず形は名称のとおりロマンスカーLSE(7000形)の2階にある運転室の部分を再活用したもの。

 

参加費は1回500円。当日抽選制で、券売機で抽選券を発券し、当選者のみ楽しめるシステムとなる。

 

使われる映像はLSEの運転台から撮られたものだ。流される映像は「秦野→本厚木」、「本厚木→町田」、「成城学園前→新宿」の3区間から選べる。レベルは「入門」、「初級」、「上級」と3段階から難易度を選べる仕組み。「入門」レベルは「成城学園前→新宿」の1コースのみだ。

 

◇運行終了日の新宿駅の様子が蘇る。さらにシミュレーター裏には?

↑LSE(7000形)の運転席部分を利用した運転シミュレーター。屋根上の運転室の正面や側面の窓周りがそのまま活かされた

 

↑LSEの2階運転席から見た眺望の良さを実感。この機器の裏側にはブルーリボンと音楽館のプレートが付く

 

今回、実物のLSE(7000形)の運転室がそのまま使われているという。限られた空間に設けられた運転室なので、一般的な大人の身長だと、天井に頭が届いてしまう。ただ、シートに座ると足を前に伸ばす構造になっているので、運転には差し支えない広さになっていることがわかる。

 

この運転シミュレーターには、2018年に運転を終了させた時の映像が使われていた。LSE(7000形)が新宿駅に到着すると、ホームに鈴なりになって待ち受けるファンの姿が見えてくる。2階の運転席から見た風景はより遠くまで望め、運転士はこうした風景を見て運転していることが改めて良くわかった。

 

このシミュレーター、裏側には1981年のブルーリボン賞に輝いた時に付けられたプレートと、その下に「音楽館」という楕円形のプレートが付けられていた。音楽館の鉄プレートは、車両に付けられている製造工場のプレートの形とほぼ同じ形のこだわりぶり。作った人はさぞや、鉄道好きな方なのだろう。音楽館? さて? 同シミュレーターを作ったのは鉄道ファンが良く知るあの方だった。

 

音楽館を率いるのは向谷実氏。フュージョンバンドの「カシオペア」のキーボード奏者であり、鉄道が好きなことを活かして鉄道シミュレーションゲームを生み出し、また駅の発着メロディを作曲するなど活躍の場を広げている。近年、音楽館では鉄道各社へ乗務員訓練用シミュレーターを開発して導入するなど、プロにも使われる本格的なシミュレーターの製作も行っている。

 

今回の報道公開時にも、小田急の現役運転士が操作見本を見せていたが、実車とかわりない本格的なものが、ここにも導入されたわけである。とはいえ、入門編を選べば操作はそれほど難しくはないそうで、たとえ初めてでも心配は無用なようだ。

 

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