乗り物
2016/9/17 13:30

アバルト 124スパイダーは買いか? ロードスターとの価格差は70万円以下だが…

10月8日より、新型「アバルト 124スパイダー」の販売が開始される。同車はマツダ・ロードスターのアーキテクチャーを基にデザインやメカニズム独自開発した兄弟車。本記事では、2人乗りオープンスポーツモデルとして注目を集める同車の歴史と性能を紐解いてみたいと思う。20160917_Y01

 

本車、当初はアルファ ロメオの名前でデビューすると噂されていたが、結局はフィアットブランドとしてのデビューとなった。しかも、日本へと導入されるのは、フィアット 124スパイダーをエキサイティングにモディファイした「アバルト」の名前が冠された上級モデルだ。

 

日本においてアバルトの名前は決してメジャーな存在ではないが、イタリア車ファンにとっては垂涎のブランドだ。1949年、カルロ・アバルトによって創業を開始したアバルト社は、コンパクトなフィアットをベースにチューニングを施し、排気量の大きなスポーツカーに後塵を浴びせるパフォーマンスを披露。その華麗なる手腕は、レーシングフィールドを中心に世界へと名前を轟かせることになる。

 

アバルトのトレードマークであるサソリのエンブレムは、カルロ・アバルトが蠍座だったことに由来するが、小さなサソリの毒針でライバルたちを凌駕する姿は、自動車ファンの間では伝説としていまもなお受け継がれている。その後、1971年にフィアット傘下へと吸収され、レーシング部門を担うことになるが、サソリのエンブレムは憧れの存在として健在だ。

 

操る喜びとオープンエアーを融合した元祖124スパイダーへのオマージュ!

この124スパイダーは1960年代にリリースされた同名モデルへのオマージュでもある。フロントエンドのラインやボンネットの膨らみ、六角形を基調としたラジエターグリルなど、ボディデザインの随所に当時の面影を巧みにデザインしているのは心憎い。

 

ロードスターとの兄弟車といっても、外装に手を加えただけのバッジエンジニアリングと思うのは早計だ。基本的な骨格は共用しているが、スタイングだけでなくパワートレイン、サスペンション、ステアリングフィール、インテリアデザインまでフィアットとアバルトの共同開発によるもの。マツダ・ロードスターとは似て非なるクルマとして仕上げられているのだ。以下の動画で内外装を撮ってきたが、それを見てもわかるはず。

 

 

ではアバルト124スパイダーとどんなクルマなのだろうか?

同車に搭載されるエンジンは1.4リッターのマルチエア4気筒ターボユニット。170PSの最高出力と250Nmの最大トルクを発揮し、0-100㎞/h加速は6.8秒(欧州仕様)と俊足さをみせる(なお、ロードスターは130PS/150Nmの1.5リットルNA)。また、オプションとしてエンジンの回転数に応じて排気経路を変更する「レコードモンツァ デュアルモードエキゾーストシステム」が用意され、攻撃的なサウンドを手に入れることも可能だ。

 

トランスミッションには6速MTと、6速ATの2タイプを設定。MTはショートストロークのクイックな味付けとなり、走る喜びを享受できる。また、センターコンソールに設けられたレバーによって「ノーマル」、「スポーツ」のパフォーマンスモードへと切り替えることができ、スポーツモードをセレクトすれば、アクセルレスポンス、パワーステアリングのアシスト量、スタビリティコントロール、トラクションコントロールの領域を変化させることで、サーキットやワインディングロードでの走りを積極的に楽しめる。

 

FRオープンスポーツの醍醐味である運動性能の高さは、重量物をアクスルの間に集中させ、エンジンをフロントアクスルよりも後方に置くことで絶妙なドライブフィールを実現。サスペンションにはフロントにダブルウィッシュボーン、リヤに5アームのマルチリンクを採用することでスポーティな走りにも対応してくれる。ボディは高い剛性感を保ちながらも、徹底的に軽量化を行うことで1130㎏(6ATは1150㎏)。さすがに、990〜1040kgにはかなわないが、現代のオープンスポーツとしては驚異的な軽さを誇る。重要な制動部分にはブレンボ製のブレーキシステムを採用し、フロントはアルミ製4ピストン対向キャリパーが与えられている。

 

また、同車の魅力はスポーツカーとしての走りの良さだけではない。エレクトリックスタビリティコントロールやトラクションコントロール、歩行者を守るアクティブボンネットなどのセーフティ装備を与えることで、快適いかつ安全なドライブを楽しむことができるのもセールスポイントとして評価したい。

 

 

さて、最後に価格。124スパイダーはMTが388万8000円、ATが399万6000円。ロードスターの最上級グレードが319万6800円なので、単純な価格差は69万1200円。数字にみると高いと感じる人が多いと思うが、このクラスの2人乗りオープンスポーツでは選択肢がない(メルセデスのSLCになってしまう)。純粋なライトウェイトスポーツ性能を求めるならロードスターを選ぶだろう。もりもりのスポーツ装備に、ラグジュアリーさと獰猛さを求めるなら、決して高くはないはずだ。

 

【SPEC】

全長×全高×全幅:4060×1240×1740mm ホイールベース:2310mm エンジン:直列4気筒マルチエア16バルブ+インタークーラー付きターボ 総排気量:1368cc 最高出力:170ps/5500rpm 最大トルク:250Nm/2500rpm トランスミッション:6速MT/6AT 0-100km/h加速:6.8秒 車両本体価格:388万8000円~