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2021/10/23 6:00

今のうちに乗っておきたい!懐かしの鋼製電車が走る「西武鉄道」の3路線

【注目の車両&路線①】赤紺黄色のカラフル電車が走る多摩湖線

まずは、西武鉄道の多摩湖線を走る電車から見ていこう。多摩湖線では長年、鋼製電車の新101系が走っていたが、今年の2月22日で運行が終了している。国分寺駅にホームドアが設置され、このホームドアのドアの数が4扉車に合わせたものだったからである。新101系は西武鉄道に残る唯一の3扉車で、ホームドアのサイズに合わないこともあり、運行を終了したのだった。

 

とはいっても、新101系が西武鉄道から完全に消えたわけではない。今も走る線区は後述ということで、まずは現在の多摩湖線を走る車両9000系から見ていこう。

 

○西武鉄道9000系

西武9000系は1993(平成5)年から1999(平成11)年にかけて、西武所沢車両工場で製造された。西武所沢車両工場は所沢駅のすぐ近くに1947(昭和22)年に設けられた同社の車両工場で、メンテナンスはもちろん、西武鉄道の車両の新造を行う工場だった。他社へ車両譲渡を行うときの整備改造もこの工場で行った。

 

電車だけでなく、自動車整備や、大型特殊車両の製造を行うなど、さまざまな業務を行う工場だったのである。大手私鉄で、自社工場を持つ例は、東急(現在は異なる経営組織となっている)などをのぞき、非常に稀だが、高度成長期には、足りない車両を自社でまかなえる利点が最大限に活かされていた。

 

その後に所沢の再開発計画がおこり、2000年代となり同工場の役割は武蔵丘車両検修場(埼玉県日高市)に移された。その後も車両新造は一部行われたが、現在の西武鉄道の電車はすべて外部への発注となっている。

 

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↑黄色いオリジナル塗装の9000系。多摩湖線は途中、菜の花が咲くところが多く、春先には黄色い電車と黄色い花のコラボが楽しめる

 

実は9000系こそ、所沢車両工場で造られた最後の自社生産の新造車両だった。10両×8本、計80両が造られている。車両の特徴として外装は新2000系とほぼ同じで、普通鋼製で車体全部が黄色塗装とされた。新車ながら取り付けられた装備すべてが新製品というわけではなく、廃車された旧101系の電装品を再利用している。要は使い回しなのだが、所沢車両工場の効率的に電車を造るという〝得意技〟でもあった。ただし、9000系の制御装置は後の2000年代になって、全編成VVVFインバータ制御方式に取替えられている。

 

この9000系の最後の編成となったのが9108編成で、この編成が所沢車両工場の最後の新造車両となった。なお9108編成は今も多摩湖線を走っている。

↑レジェンドブルーという塗装で多摩湖線を走る9108編成。この編成こそ、西武の所沢車両工場最後の新製車両となった

 

最盛期には80両という大所帯の9000系は、近年、急激に車両数を減らしつつあった。そんな〝9000系ファミリー〟だったが、ホームドア設置で4扉車に揃えたい思いもあり、中間車を抜いてワンマン運転が可能なように改造され、4両編成で走り続けている。残るのは4両×5編成、計20両となっている。

 

車体カラーもオリジナル塗装の黄色だけでなく、イベント電車用に特別ラッピングの特殊色が残り、走っているのが興味深い。まず9108編成はプロ野球・西武ライオンズの球団カラーを生かした「L-train(エル・トレイン)」として走った車両で、現在ステッカー類などは外したものの、レジェンドブルーのままの塗装で走る。

↑10両で走った時には「RED LUCKY TRAIN」を名乗った9103系。鮮やかな赤い色が写真映えする

 

また9103編成は京浜急行電鉄とコラボした「RED LUCKY TRAIN」として走ったが、こちらもステッカー類は外されたものの、当時の鮮やかなレッド塗装のまま走っている。

 

そんな鮮やかなカラー車両が走るのも今の多摩湖線の面白さだ。ちなみに終日、赤・青・黄色のカラー電車が走るわけではなく、運用によっては黄色のみの日もある。また9000系に混じって新2000系が走っている日もある。このあたり、行ってみなければ分からない。赤色9000系に出会えたら、それこそ〝RED LUCKY〟なのかも知れない。

 

【注目の車両&路線②】レオライナーにはレトロ色も走る

さて多摩湖線の終点駅となる多摩湖駅だが、これまでたびたび駅名が変わってきた駅でもある。実は、つい最近も変更されていたのだ。今年の初頭は「西武遊園地駅」だったのだが、3月13日に「多摩湖駅」と変更された。この駅、なんと改名は4回目にあたる。

 

改めて確認すると、駅開設時は村山貯水池駅、1941(昭和16)年に狭山公園前駅、1951(昭和26)年に多摩湖駅(初代)、1979(昭和54)年に西武遊園地駅(2代)とされた。そして今年に多摩湖駅(2代)と名乗るようになった。西武遊園地駅の駅名が〝2代〟となっているのは、この名前が付けられる前に、「おとぎ電車」という軽便鉄道規格の路線(西武山口線:西武遊園地〜ユネスコ村間を結んだ)が走っており、そこに西武遊園地駅という駅があったからなのである。

 

ちなみに、2021年3月からは西武園遊園地が「西武園ゆうえんち」にリニューアルされ、多摩湖駅側の入口がなくなった。西武山口線の「遊園地西駅」を「西武園ゆうえんち駅」とし、こちらの駅前が西武ゆうえんちの入口となっている。

↑西武多摩湖線の終点駅・多摩湖駅。この3月までは西武遊園地駅という名前だった(左上)。駅構内で西武山口線と接続している

 

○西武鉄道8500系

現在の西武山口線に関しても興味深いラッピング電車が走り出している。紹介しておこう。

 

まずは西武山口線の概要から。西武山口線は多摩湖駅〜西武球場前駅間2.8kmを走る。愛称はレオライナー。新都市交通とも呼ばれる案内軌条式鉄道路線で、同方式を使う鉄道路線を運営するのは大手私鉄では西武鉄道のみである。同区間は村山貯水池の北側、ゴルフ場とはさまれた場所で、狭山丘陵内のアップダウンや、カーブが多いことから同方式が取り入れられている。

 

走るのは8500系で車輪は鉄輪ではなくゴムタイヤで駆動する。基本の塗装は白地に緑・赤・青の3本の帯色の「ライオンズカラー」だが、3編成のうち1編成は昨年9月から「SDGs×Lions GREEN UP!」プロジェクトトレインとしてグリーンに、さらに1編成は今年の5月15日からは、西武鉄道の1960年代に走った電車の車体カラーに模様替えして走っている。西武園ゆうえんちの1960年代をイメージした〝あの頃の日本〟の町並みを再現したコンセプトに合わせたそうである。

↑ライオンズカラーで走る西武山口線の8500系。今年の5月から1960年代の西武電車をイメージした車両も走る(左上)

 

この1960年代の西武電車のレトロカラーだが、筆者も実際に見て乗った世代で、同車両を見ると、何とも懐かしさがつのる。一方で、こんなにカッコよい電車ではなかったなあと思うのであった。色はこげ茶色とクリームの2色塗装なのだが、当時の写真はモノクロが多く、カラーが少なかったこともあり、実はもう少し地味だったようにも記憶している。

 

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