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2021/12/5 11:45

エニカで借りたヒョンデの燃料電池自動車「ネッソ」を試乗! 燃料電池車とSUVの特徴を融合した快適な走りを実感

韓国・現代(HYUNDAI=ヒョンデ)自動車の燃料電池自動車(FCV)『NEXO(ネッソ)』に日本で乗れる!そんな話をいただいたのは11月始め。個人間カーシェアリングを展開している「Anyca(エニカ)」がディーラー車の貸出車両としてネッソを登録しており、その試乗レポートの依頼でした。

 

ネッソは燃料電池車初のSUVとして誕生

私がネッソに最初に遭遇したのは2018年1月に訪れた米国・ラスベガスで開催されたCES会場です。当時はトヨタが『MIRAI(ミライ)』を発売した後、FCVについてはしばらく動きがなかった中での登場に驚きを感じたものでした。その後、ネッソは2018年3月に韓国国内で発売。そして、私は同年12月にはマレーシア・クアラルンプールで開催されたモーターショーで再び遭遇したのです。個人的にも興味を抱いていただけにこの話はまさに“渡りに船”。その場で試乗を快諾させていただいたというわけです。

↑個人間カーシェアリング「エニカ」で借りたヒョンデ自動車のFCV「ネッソ」。日本での発売は未定

 

FCVとは水素と酸素を化学反応させることで発生させた電気エネルギーで、モーターを駆動して走らせるクルマのことです。水素は燃焼させても排出するのは水だけなので、走行時に限れば世界的な課題として俎上に上がっているCO2や窒素酸化物などの大気汚染物質は一切発生させません。水素がある限り自分で電気を発生して走ることができるので、電気自動車(EV)のような充電は不要。その意味で環境に優しく理想に近いクルマというわけです。

↑ネッソのボディサイズは、全長4670×全幅1860×全高1640mm

 

そのFCVを採用したネッソは、FCVとして初めてグローバルで人気が高いSUVを形状に採用しました。トヨタのミライはフォーマルなスタイルの4ドアセダンであるため、スペースユーティリティでは明らかにネッソの方が有利。車内は広々とした空間が広がり、カーゴルームもフロア面はやや高めであるものの、SUVらしいスペースが確保されています。環境に優しく、クルマとしての使い勝手も高めた。ここにネッソならではの魅力があるのです。

↑カーゴルームはフロアが若干高めであるものの、SUVらしいたっぷりとした461Lの容積量を備えている

 

内装は品質が高く落ち着いた雰囲気

ネッソに試乗するためにキーで解錠ボタンを押すと、ドアの取っ手が自動的に手前に迫り出してきます。最近は空力特性を向上させるために。この手の「オートフラッシュドアハンドル」を採用するクルマが増え始めていますが、ネッソはいち早くこれを採用し、ここでもネッソは未来感に富んだコンセプトを持って開発されたことがわかります。

↑スマートキーで解錠ボタンを押すとアウタードアハンドルが自動的に迫り出してロックが解除される

 

運転席に座ると中央にビルトインされたコンソールと、正面の液晶ディスプレイに取り囲まれた先進的な雰囲気を伝えてきます。手で触れる部分は品質が高くしっとりした感触で、内装はグレー系でまとめられて落ち着いた雰囲気を醸し出しています。クルマからのインフォメーションは正面とダッシュボード中央の2か所に配置されたディスプレイが使われ、中央部の12.3インチディスプレイではエネルギーモニターやBGMとしてのイメージ映像、エアコンの作動状況などが映し出されます。

↑運転席周りは大型ディスプレイと共に近未来感にあふれている。ステアリングにはADAS系のコントローラーも備える

 

↑中央ディスプレイは12.3インチと大型でエネルギーフローやエアコンなどの動作状態がモニターできる

 

一方で、操作系では、中央コンソールにあるボタンが多すぎる気がしました。文字も小さめで、光の当たり具合ではその文字すら見えにくくなります。「HOME」ボタンがコンソール上に2つあるのも迷いがち。さらにミッションの切り替えスイッチもこのデザイン中に含まれており、少なくともこれぐらいはもっとメリハリのある別デザインにしてほしかったと思いました。

↑中央コンソールには数多くのボタンが並び、HOMEボタンも2つ。どれを操作したらいいのか迷ってしまうほど

 

↑シフトスイッチはこの4つのボタンを押して操作する。形状をもっとメリハリのあるデザインにして欲しいと感じた

 

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