【東武SLの旅③】新しい展望車はどのような客車なのだろう?
ここで11月から「SL大樹」に連結される展望車のディテールを見ておこう。
新展望車には前述した12系客車2両が改造されて使われている。まず、ぶどう色の客車が「オハテ12-1」、青色の客車「オハテ12-2」という車両番号が付く。それぞれ車両の約4分の1スペースを「展望デッキ」に改造し、側面を開けて手すりを設け、外気が直に感じられるようにした。
この展望デッキを設けた理由として、これまで乗車した人の声の中に「SLが吐き出す煙や、石炭が燃えたにおいを感じたい」、「SLのドラフト音が聞きたい」といった要望があったからだと言う。確かに現代の客車はきっちり窓が閉まることもあり、なかなかSL列車の特長が掴みにくい。
筆者の世代から上になるとSLが牽くローカル線の列車ではトンネルが近づくたびに「窓を閉めろ」と声が飛びかい忙しく開け閉めをした。そんな記憶や、石炭を燃やした煙の香りも頭の中にしっかりと刻み込まれている。そうしたSL列車の特長を肌で感じたいという世代も多いのであろう。
オハテ12-1は11月4日、またオハテ12-2は11月13日から「SL大樹」に連結され走り始めている。写真で展望車の特長を紹介しておこう。まずは展望デッキを横から見たところから。
展望車の客席部分は4人掛けのボックス席で、ウッド風のテーブルを真ん中に設けている。上下2段のガラス窓は上のみ開くようにし、客室内でもSLが燃やす石炭の香りがほのかに伝わるように工夫された。
【東武SLの旅④】運転区間、運転状況を整理しておこう
展望車が連結されたことで新たな魅力が加味された「SL大樹」。現在どのような時刻、区間で運転されているのか整理しておこう。
運行パターンは7パターンがある。7つすべては書ききれないので、細かいところは「SL大樹」の公式ホームページを見ていただきたい。ここでは代表的な運行パターンを紹介しておきたい。
まずは平日に多い「運行パターンB」。運行パターンBはSL一両での運行となる。なお東武ワールドスクェア駅の発着時刻はここでは省略した(以下同)。
◆SL大樹「ふたら」71号 | 下今市駅11時28分発→東武日光駅11時51分着 |
◆SL大樹「ふたら」72号 | 東武日光駅12時33分発→下今市駅12時51分着・13時発→鬼怒川温泉駅13時48分着 |
◆SL大樹6号 | 鬼怒川温泉駅15時37分発→下今市駅16時14分着 |
週末や祝日に運転されることの多い「運行パターンD」は次のようなダイヤだ。SLは1両での運行になる。
◆SL大樹1号 | 下今市駅9時33分発→鬼怒川温泉駅10時9分着 |
◆SL大樹2号 | 鬼怒川温泉駅11時10分→下今市駅11時45分着 |
◆SL大樹5号 | 下今市駅13時発→鬼怒川温泉駅着13時48分着 |
◆SL大樹6号 | 鬼怒川温泉駅15時37分発→下今市駅16時14分着 |
運転本数が多い「運行パターンE」の場合は次のようになる。「パターンE」の日はSL2両を使っての運行が行われる(時刻順)。
◆SL大樹1号 | 下今市駅9時33分発→鬼怒川温泉駅10時9分着 |
◆SL大樹2号 | 鬼怒川温泉駅11時10分→下今市駅11時45分着 |
◆SL大樹「ふたら」71号 | 下今市駅11時28分発→東武日光駅11時51分着 |
◆SL大樹「ふたら」72号 | 東武日光駅12時33分発→下今市駅12時51分着・13時発 → 鬼怒川温泉駅13時48分着 |
◆Sl大樹7号 | 下今市駅14時55分発→鬼怒川温泉駅着15時32分着 |
◆SL大樹6号 | 鬼怒川温泉駅15時37分発→下今市駅16時14分着 |
◆SL大樹8号 | 鬼怒川温泉駅16時43分発→下今市駅17時18分着 |
さすがにSL2両を使って運行される日は本数が増え、かなり賑やかなダイヤとなる。
ちなみに、その日に運転されるSLが207号機か325号機かは、ホームページ上の「○月の運転日毎の編成予定はこちら」というコーナーで紹介されているので参考にしていただきたい。ディーゼル機関車が補機として連結されるかどうか、また国鉄色の1099号機か、青色の1109号機かまで分かるので大変に便利だ。