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2021/11/28 6:00

展望車の登場でさらに魅力アップした東武鉄道「SL大樹」

【東武SLの旅③】新しい展望車はどのような客車なのだろう?

ここで11月から「SL大樹」に連結される展望車のディテールを見ておこう。

 

新展望車には前述した12系客車2両が改造されて使われている。まず、ぶどう色の客車が「オハテ12-1」、青色の客車「オハテ12-2」という車両番号が付く。それぞれ車両の約4分の1スペースを「展望デッキ」に改造し、側面を開けて手すりを設け、外気が直に感じられるようにした。

 

この展望デッキを設けた理由として、これまで乗車した人の声の中に「SLが吐き出す煙や、石炭が燃えたにおいを感じたい」、「SLのドラフト音が聞きたい」といった要望があったからだと言う。確かに現代の客車はきっちり窓が閉まることもあり、なかなかSL列車の特長が掴みにくい。

 

筆者の世代から上になるとSLが牽くローカル線の列車ではトンネルが近づくたびに「窓を閉めろ」と声が飛びかい忙しく開け閉めをした。そんな記憶や、石炭を燃やした煙の香りも頭の中にしっかりと刻み込まれている。そうしたSL列車の特長を肌で感じたいという世代も多いのであろう。

↑青く塗られた展望車オハテ12-2は11月13日から正式に走り始めた。「12系展望車就役記念乗車券」も発売されている(右上)

 

オハテ12-1は11月4日、またオハテ12-2は11月13日から「SL大樹」に連結され走り始めている。写真で展望車の特長を紹介しておこう。まずは展望デッキを横から見たところから。

↑オハテ12-2車両の展望デッキ部分を横から見る。上下すべて開いたスペースと上部のみ開いたスペースが設けられた

 

↑連結器側から見た展望デッキ。程よい高さのベンチと壁にはヒップレスト、スタンションポールが設置された

 

↑展望デッキには高さの異なるベンチを用意される。側面には手すりが付き小さな子どもたちでも安心して外の景色が楽しめる

 

↑オハテ12の客席はボックス席で真ん中にテーブルがある。テーブルの横には丸形フックが、座席の肩部分には手すりが付けられた

 

展望車の客席部分は4人掛けのボックス席で、ウッド風のテーブルを真ん中に設けている。上下2段のガラス窓は上のみ開くようにし、客室内でもSLが燃やす石炭の香りがほのかに伝わるように工夫された。

 

【東武SLの旅④】運転区間、運転状況を整理しておこう

展望車が連結されたことで新たな魅力が加味された「SL大樹」。現在どのような時刻、区間で運転されているのか整理しておこう。

 

運行パターンは7パターンがある。7つすべては書ききれないので、細かいところは「SL大樹」の公式ホームページを見ていただきたい。ここでは代表的な運行パターンを紹介しておきたい。

 

まずは平日に多い「運行パターンB」。運行パターンBはSL一両での運行となる。なお東武ワールドスクェア駅の発着時刻はここでは省略した(以下同)。

◆SL大樹「ふたら」71号下今市駅11時28分発→東武日光駅11時51分着
◆SL大樹「ふたら」72号東武日光駅12時33分発→下今市駅12時51分着・13時発→鬼怒川温泉駅13時48分着
◆SL大樹6号鬼怒川温泉駅15時37分発→下今市駅16時14分着

 

↑東武日光駅に到着した「SL大樹『ふたら』」。東武日光から下今市駅への運転はディーゼル機関車を先頭にバックする形で運転される

 

週末や祝日に運転されることの多い「運行パターンD」は次のようなダイヤだ。SLは1両での運行になる。

 

◆SL大樹1号下今市駅9時33分発→鬼怒川温泉駅10時9分着
◆SL大樹2号鬼怒川温泉駅11時10分→下今市駅11時45分着
◆SL大樹5号下今市駅13時発→鬼怒川温泉駅着13時48分着
◆SL大樹6号鬼怒川温泉駅15時37分発→下今市駅16時14分着

 

運転本数が多い「運行パターンE」の場合は次のようになる。「パターンE」の日はSL2両を使っての運行が行われる(時刻順)。

 

◆SL大樹1号下今市駅9時33分発→鬼怒川温泉駅10時9分着
◆SL大樹2号鬼怒川温泉駅11時10分→下今市駅11時45分着
◆SL大樹「ふたら」71号下今市駅11時28分発→東武日光駅11時51分着
◆SL大樹「ふたら」72号東武日光駅12時33分発→下今市駅12時51分着・13時発 → 鬼怒川温泉駅13時48分着
◆Sl大樹7号下今市駅14時55分発→鬼怒川温泉駅着15時32分着
◆SL大樹6号鬼怒川温泉駅15時37分発→下今市駅16時14分着
◆SL大樹8号鬼怒川温泉駅16時43分発→下今市駅17時18分着

 

さすがにSL2両を使って運行される日は本数が増え、かなり賑やかなダイヤとなる。

 

ちなみに、その日に運転されるSLが207号機か325号機かは、ホームページ上の「○月の運転日毎の編成予定はこちら」というコーナーで紹介されているので参考にしていただきたい。ディーゼル機関車が補機として連結されるかどうか、また国鉄色の1099号機か、青色の1109号機かまで分かるので大変に便利だ。

 

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