AIロボットや全自動運転、空飛ぶクルマなど、SFの世界がもはや現実になる時代。昭和生まれの少年少女が夢見た世界がすぐ目の前に来ています。そこで今回は、近未来感のあるデザインや最先端な技術など我々のライフスタイルが快適・豊かになるであろうモビリティを紹介したいと思います。
【その1】乗り降りしやすく、操作しやすい3輪BEV
トヨタ
3輪BEV「C-walk」
ラストワンマイルの一人乗り用モビリティが俄に注目されています。きっかけは電動キックボードの登場ですが、折しも警察庁は最高速度が20km/h以下のものについては、16歳以上に限り運転免許を不要とする道路交通法の改正案を国会に提出する方針でいることがわかりました。しかも、6km/h以下で走行できるモードを備えていれば歩道も走れるというのです。
「C-walk」は速度を2、3、4、5、6、10km/hの6段階で設定でき、設定するとそれ以上には速度が上がらず安心して走れます。中でも見逃せないのが「C-walk」は電動キックボードと違って3輪であることです。そのため、車体の幅は広くなりますが、走行安定性は抜群に高く、歩行者と一緒にゆっくりと走るといった使い方もできるのです。今のところ、公道ではなくイベント会場内での利用を想定しているとのことですが、法改正が認められれば、公道を走れるトヨタの新たなモビリティとして注目されそうです。
【その2】早く乗ってみたい! 2人乗り空飛ぶクルマ
SKYDRIVE
空飛ぶクルマ「SD-3」
地上から空へ。空飛ぶクルマの実現を目指すSKYDRIVEは、2025年に開催を予定する大阪万博において2人乗りでのサービス開始を予定しています。これは経産省と国交省が定めたロードマップに沿ったもので、電動化によって従来の飛行とは違って環境に優しい新たな乗り物となっていくものとして期待されています。
その中でSKYDRIVEは2020年8月に「SD-3」で有人飛行による飛行試験を成功させており、大阪万博では100km/hの速度で20~30分程度の飛行を想定。まずは2人乗りのアトラクション的な乗り物としてスタートし、会場内の移動に使われる見込みです。SKYDRIVEでは、これをきっかけとして公共交通機関へ発展させ、将来は個人ユーザーへの発売も視野に入れています。実際、「SD-3」ではそれを意識して、乗用車ライクな造り込みが光っていました。空での移動が身近になって誰でも自由に飛べる日が確実に近づいて来ています。
【その3】車椅子型自動運転パーソナルモビリティ
WHILL
次世代型電動車椅子「WHILL(ウィル)」
搭乗口を指定すれば自動で走り出す。そんな自動運転モビリティサービスが羽田空港国内線ターミナルで運用されています。第1と第2の両ターミナルに計24台体制で運用しており、ここまで大規模な運用は自動運転パーソナルモビリティとして国内最大です。この次世代型車椅子は電動シニアカーとして実績のあるWHILL社が開発したもので、前方を把握する2つのカメラと、周囲360度の状況を監視する2つのLi-DARによって自動走行します。
走行時は2.5km/hと歩行速度よりも少し遅い速度で走行しますが、これは緊急時に安全に停止できることや同行者が一緒に歩けることを配慮してのこと。背後には最大10kg程度の荷物が載せられるカーゴスペースも用意されています。このサービス、ハンディキャップのある人だけでなく、健常者にも提供されているのもポイントです。この成功によって、今後は様々なシーンで同様のサービスが広がっていくものと予想されます。一般ユーザー向けモデルとして、折りたためる軽量モデル「WHILL Model F」、段差や悪路が多い場所をよく走る方におすすめのモデル「WHILL Model C2」が発売しています。
【その4】トヨタの本気宣言! bZシリーズの第一弾
トヨタ
EV「bZ4X(ビーズィーフォーエックス)」
トヨタが2022年半ばに発売を予定するSUV型の電気自動車(BEV)が「bZ4X」です。「bZ」とは「beyond Zero(ゼロを超えた価値)」を意味し、名称の“4”はクラスを、「X」はSUV/クロスオーバーを意味すると予想されます。つまり、bZがBEVとしてシリーズ化され、今後は「bZ○○」という名称でのラインナップが揃うものと予想されます。
プラットフォームはトヨタとスバルが共同開発した「e-TNGA」を使い、既発表のスバル「ソルテラ」とは共同開発車となります。実車を見ると直線基調の中にも前後のフェンダーで脹らみを持たせるなど、写真で見るよりもはるかに上質でスタイリッシュに感じました。搭載バッテリーは71.4kWhで、航続距離(WLTCモード)は2WDモデルで500km前後、4WDモデルで460km前後とかなり“長めの足”を実現しています。折しもトヨタは2030年にBEVの350万台体制を発表しましたが、bZ4Xはその攻勢の第一歩となる重要な車種と見て間違いないでしょう。
【その5】“日常の足”レベルのBEVがいよいよ登場! 車名は「SAKURA」が有力
日産
軽EV「ニッサン IMk」(仮)
日産と三菱が共同で開発した軽自動車の電気自動車(BEV)を2022年度初頭に発売する予定です。ベース車両は東京モーターショー2019に出展された新開発のEVプラットフォームを採用し、「ニッサンIMk」との仮称を発表しています。最近になって「SAKURA(さくら)」との名前も噂されています。
ボディサイズは日産・デイズ並みで、補助金を加味した実質購入価格は200万円スタートとなる見込みです。バッテリーは総電力量20kWhで、日常の使用で十分な航続距離を確保し、EVバッテリーに蓄えた電気を自宅へ給電することも可能になるということです。これまでBEVは航続距離の長さを謳うことが多かったこともあり、BEVといえば高級車並みの車両価格となることがほとんどでした。あえて“日常の足”として割り切ることで車重も軽くなると見られ、それが結果として電力消費も抑えられます。その意味でこうした車種こそが低炭素社会の実現に相応しいと言えるでしょう。
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