自転車、バイク、クルマなどタイヤの付いている乗り物で、重要なのはタイヤの空気圧です。タイヤの性能を発揮させるためには適切な空気圧を維持することが大切。自転車の場合は、空気圧が落ちるとパンクの原因になり、クルマやバイクの場合も燃費悪化の原因になるほか、ブレーキ性能など安全性にも影響します。
ただ、タイヤの空気圧を適正に保つのは、結構手間がかかるもの。手動のポンプで空気を入れるのは体力を使いますし、暑くなってきたこの季節は特に気の進まない作業でもあります。そんな作業を自動でやってくれるのが、“スマート空気入れ”とも呼ばれる電動で空気を入れるポンプ。そんなスマート空気入れの1つであるTrade FK Japanが販売する、その名も「KUKiiRE(クウキイレ)」を試してみました。
ロードバイクの高圧タイヤにも対応
筆者の家には自転車が家族の分も含めると7台、バイクが3台、クルマが1台あります。空気を入れておかなければならないタイヤが合計24本あることになるので、すべての空気圧を適正に保つのは至難の技。その点で、スマート空気入れは、指定の空気圧を入力してバルブに接続すれば、自動で空気を入れてくれるのでめちゃくちゃ便利です。
特にKUKiiREは本体サイズもコンパクトで、デザインもスマート。ドイツの国際的なデザイン賞であるレッド・ドットデザイン賞を受賞しています。バッテリーにはリチウムイオンを採用し、コンパクトながら4000mAhの容量を実現。ママチャリのタイヤなら約20本、高圧になるロードバイクのタイヤでも約10本、クルマのタイヤは約6本分の空気注入が可能とのことなので、かなり期待ができそう。
ホースの口は、クルマやバイク、一部の自転車に使われている米式と呼ばれるバルブに対応した形状。自転車のタイヤには、ママチャリなどは英式、ロードバイクなどは仏式と呼ばれるバルブが使われていますが、こうした形状違いのバルブには変換アダプターで対応できます。
自転車のパンクを防ぐ効果も
自転車の空気圧に気を配っている人は少ないかもしれませんが、実はとても重要な要素で、空気圧が低くなっているとパンクの原因になります。空気が抜けた状態で段差などを乗り越えると、段になっている部分とリムの間にチューブが挟まれて「リム打ちパンク」を引き起こします。また、空気圧が低い状態では、タイヤの中でチューブが動いてしまうため、表面が擦れて摩耗してしまうことも。自転車のプロショップでは「パンクの9割は空気を入れておけば防げる」と言われるほどです。
タイヤの細いロードバイクなどスポーツタイプの自転車では、走行毎に空気を入れることが推奨されていますが、ママチャリのタイヤよりもかなり高圧にしなければならないので、夏場の走行前は気の進まない作業です。まさしくスマート空気入れの出番なのですが、以前に試したことのあるモデルでは、規定の最大圧力まで空気圧を高めることができませんでした。KUKiiREでは、必要な空気圧を確保できるかも気になるところです。
接続すれば、あとは空気圧を設定してボタンを押すだけ。コンプレッサーの音がやや大きいですが、何もせずに空気が入っていくのはかなりありがたい。設定の空気圧に達すると自動でポンプは止まります。
80PSIはロードバイクとしては高い空気圧ではありませんが(100PSI以上のものもある)、問題なく入れることができました。カタログスペックでは150PSIまで対応しているとのことなので、ロードバイク乗りにもありがたいところでしょう。ちなみに、タイヤの適正空気圧はタイヤの太さや銘柄によって異なり、タイヤのサイドに記載されています。
クルマの燃費向上にも有効
続いては、クルマのタイヤにも空気を入れてみました。空気圧を日常的にチェックしている人は少ないかもしれませんが、ゴムは少しずつですが空気を通すので、1か月で5%程度空気圧が下がると言われています。空気圧が10%程度落ちると、燃費にも悪影響があるので、1〜2か月に1回は空気圧の調整をしておきたいところです。
ちなみにKUKiiREはPSI以外にBAR、KPA、Kg/cm2の表示単位に対応。また、クルマ・バイク・自転車・ボールの4つのモードがあり、それぞれに空気圧を登録しておけるので、1回ずつ空気圧を指定する必要がありません。
バイクのタイヤでもテスト
最後にバイクのタイヤでも試してみました。普段、乗る機会が少ないので、乗る前には毎回空気圧を調整する必要があるのですが、今回もやはり既定値をだいぶ下回っていました。バイクの場合、燃費だけでなくハンドリングやブレーキの効きにも影響するので、空気圧の調整は大切です。
ロードバイク1台、クルマ1台、バイク1台の合計10本のタイヤに空気を入れたところでバッテリー切れ。どのくらい落ちているところから入れるのかにもよりますが、これだけ持ってくれれば十分という印象です。夏の炎天下に、これだけの本数のタイヤに手動のポンプで空気を入れていたら、確実に熱中症で倒れていたでしょう(クルマのタイヤに手動のポンプで空気を入れる人はあまりいないと思いますが……)。
コンパクトで持ち運びもしやすいので、旅先に持って行ったり、クルマのグローブボックスなどに入れておくこともできます。それでいて、高圧のロードバイクにもきちんと空気を入れられる性能を持っているので、筆者のように複数台の乗り物を持っている人や、家族全員のタイヤに空気を入れたい人などは、1つ持っているとありがたい存在になるでしょう。
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