【8月の大雨災害③】秋田県内の被害で貨物輸送に影響も
次は秋田県の不通区間に目を移そう。県北で不通になった区間が目立つ。
◇奥羽本線・鷹ノ巣駅(たかのすえき)〜大館駅(おおだてえき)間が不通
東北4県を南北に結ぶ奥羽本線は、秋田県北で不通となっている。被害が出たのは糠沢駅(ぬかざわえき)〜早口駅(はやぐちえき)間で、路盤流出が確認され、復旧工事が進められている。被害が出た同区間はちょうど米代川沿いに奥羽本線と国道7号が平行して走る区間で、JR東日本では「運転再開には時間を要する見通し」としている。
今回、不通となった鉄道路線のうち、奥羽本線は唯一、鉄道貨物輸送が行われる区間で、JR貨物の列車が1日に臨時列車を含めて9往復している。
日本海側を通る羽越本線、奥羽本線などの路線は日本海縦貫線と呼ばれる貨物輸送の重要なルートで、日本一長い区間を走る福岡貨物ターミナル駅と札幌貨物ターミナル駅間を結ぶ貨物列車も運行されている。奥羽本線の一部区間の不通により、8月6日から東北本線・東海道本線を迂回しての輸送を行う。さらに秋田貨物駅〜東青森駅間のトラックによる代行輸送を実施している。こうした重要な輸送ルートの不通により、貨物列車の運行遅延も多く発生している。
◇花輪線・鹿角花輪駅(かづのはなわえき)〜大館駅間が不通
秋田県北では花輪線の一部区間も不通となっている。被害が出たのは十和田南駅(とわだみなみえき)〜土深井駅(どぶかいえき)間で、路盤が流出した。ちょうど同区間も米代川に沿って走っているため、川の氾濫などによる影響が深刻だったようで、詳細調査中とされる。
ちなみに花輪線の鹿角花輪駅〜大館駅間の利用率の指標となる平均通過人員は2020年度の場合に524人だった。花輪線内では鹿角花輪駅〜荒屋新町駅間の岩手県境の区間の60人に比べれば良好だが、被害状況によっては今後の路線維持に関して問題視される可能性もありそうだ。
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【8月の大雨災害④】秋田の第三セクター路線にも被害が
8月3日からの大雨災害で被害が出た線区はほとんどがJR東日本の路線だったが、第三セクター鉄道の1線のみ不通区間が出ている。
◇秋田内陸縦貫鉄道秋田内陸線・鷹巣駅(たかのすえき)〜阿仁合駅(あにあいえき)間が不通
秋田内陸縦貫鉄道は秋田県の鷹巣駅(たかのすえき)と角館駅を結ぶ。この路線では米内沢駅(よないざわえき)〜前田南駅間で土砂流入等があり、復旧工事が行われている。同区間は、米代川の支流、阿仁川沿いに走る区間で、この川沿いの区間に被害が出てしまった。そのために鷹巣駅〜阿仁合駅(あにあいえき)間が不通となっている。
秋田内陸縦貫鉄道はその路線の名前のとおり、秋田の内陸部を走る。筆者は仕事柄、各地の鉄道路線を乗り歩くことが多い。秋田内陸縦貫鉄道には大雨災害が起こる直前の7月30日に訪れた。当日は天気が良く快適な旅を楽しんだが、そのちょうど2週間後の8月13日の大雨災害による被害が出てしまった。さらに記事を紹介した直後だっただけに心苦しい思い出となった。少しでも早い同線の復旧を願うばかりである。
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