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2022/9/24 21:00

繰り返される甚大な「自然災害」−−不通になった鉄道を総チェック

【8月の大雨災害⑤】山形・新潟を走る米坂線の被害が目立つ

◇米坂線・坂町駅〜今泉駅間が不通

「8月3日からの大雨災害」は北東北だけでなく、新潟県・山形県の山間部と、福島県の会津地方にも被害をもたらした。大きな被害を受けたのが米坂線(よねさかせん)だった。

↑朝日岳などの山々を望み走る米坂線。写真は今泉駅近郊の白川橋梁で、同橋梁も米坂線の不通区間となってしまった

 

米坂線は山形県の米沢駅と新潟県の坂町駅の間を結ぶ。そのうち、かなりの区間に被害にあってしまった。

 

・山形県内、羽前椿駅〜手ノ子駅(てのこえき)間で橋梁倒壊

・今泉駅〜坂町駅間の複数個所で路盤流出・土砂流入等

 

現在、不通となっているのは山形県の今泉駅と坂町駅の間で90.7kmの路線のうち、3分の2の区間67.7km間となる。この3分の2にあたる今泉駅〜坂町駅間の複数個所で路盤流出・土砂流入等があった。被害箇所の把握に関してはすでに終了しているが、その後の被害程度に関しては詳細調査を実施中とされる。

 

2020年度の平均通過人員は米坂線の米沢駅〜今泉駅間は641人と多めながら、その先の今泉駅〜小国駅間は248人、小国駅〜坂町駅間は山形、新潟の県境区間で、121人と乗車率が低めとなっている。

 

山中の路線で、利用するのは地元高校生が多く、今後の路線維持を危ぶむ声が早くも出てきている。

 

ちなみに今泉駅〜萩生駅(はぎゅうえき)間は、山形鉄道フラワー長井線の路線と共用しているが、同区間には被害が出ておらず、山形鉄道は通常通りの運行が行われている。

 

【8月の大雨災害⑥】磐越西線も長期の不通を余儀なくされる

◇磐越西線・喜多方駅(きたかたえき)〜山都駅(やまとえき)間が不通

磐越西線は福島県の郡山駅と、新潟県の新津駅を結ぶ175.6kmの長大な路線。そのうち、喜多方駅と新津駅間が非電化区間となっている。不通となっているのは喜多方駅〜山都駅間といずれの駅も喜多方市内で、この一駅区間のみが被害を受け、喜多方駅〜野沢駅間で代行バスの運行が行われている。

 

大雨により喜多方駅〜山都駅間の阿賀川の支流・濁川橋梁が倒壊してしまった。詳細調査中で当分の間は運転見合わせすることが発表されている。

↑不通となった喜多方駅〜山都駅間を走る「SLばんえつ物語」。この線路の先に倒壊した濁川橋梁が架かる

 

磐越西線といえば、「SLばんえつ物語」といった観光列車や、豪華寝台クルーズ列車「TRAIN SUITE四季島」の定番ルートにもなっている。11年前のことながら東日本大震災の際には、不通になった東北本線の石油タンク輸送の迂回ルートにも活用された。いわば準幹線にもあたるような路線でもある。

 

福島県〜新潟県の県境区間の野沢駅〜津川駅間の平均通過人員は69人と少なめながら、被害を受けた橋梁が1か所ということもあって、時間がかかっても復旧されると思われる。

↑不通になった喜多方駅〜山都駅間を走るJR東日本の「TRAIN SUITE四季島」。早朝に同区間を通過して喜多方駅到着となる

 

この夏の大雨の被害のため不通になった区間を見てきた。いかに長雨が被害を大きくするかがよく分かる。

 

ここからは過去に自然災害にあい、不通となっていた区間のその後を見ていこう。災害が路線廃止のきっかけになりそうな路線もあれば、さまざまな延命方法を探ったことにより、路線復旧が適った路線もある。

 

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