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2022/10/21 20:45

マツダ新型「CX-60」に試乗! 期待のラージアーキテクチャー第一弾の実力はいかに?

マツダはかねてよりラージ商品群の登場を示唆していましたが、ついにその第一弾が姿を現しました。それが縦置きエンジン+後輪駆動の新プラットフォームを採用した「CX-60」です。今回はその主力となる3.3L直6ディーゼルターボに48Vマイルドハイブリッドを組み合わせた「XDハイブリッド」の試乗レポートをお届けします。

 

【今回紹介するクルマ】

マツダ/CX-60

※試乗グレード:XD-HYBRID Premium Modern

価格:299万2000円~626万4500円(税込)

↑マツダが「ラージ商品群」と呼ぶSUVの第1弾モデル「CX-60」

 

全4タイプのパワーユニットから3.3L直6ディーゼルターボが登場

CX-60は新開発された、マツダのラージアーキテクチャーを採用する新世代プラットフォームです。そのラインナップはとても幅広く、パワーユニットは全4タイプ、グレードは8タイプを用意し、すべてが組み合わせ可能ではないものの、多彩なニーズに応えられるラインナップになっています。

↑直6ディーゼルターボを搭載した「CX-60」の「プレミアムモダン」。リアバンパーコーナーパーツのボディおよびその下のエグゾーストガーニッシュに採用しているメタルの質感がスポーティさを感じさせる

 

中でもパワーユニットは、48Vマイルドハイブリッド機構を組み合わせた3.3L直6ディーゼルターボ核として、よりカジュアルな2.5L直4ガソリン、3.3L直6ディーゼルを用意。さらに2.5L直4ガソリンにプラグインハイブリッドを組み合わせたものも遅れて登場します。そのため、価格も299万円から626万円と倍以上の価格差を生まれるラインナップとなりました。

↑新開発3.3L直6ディーゼルターボを縦置きにし、駆動方式はFR。48Vマイルドハイブリッドを組み合わせた

 

つまり、CX-60は、これまでのCX-5から乗り換える人にも対応するだけでなく、新たにプレミアなユーザー層も取り込んでいく。そんなラインナップ構成となりました。

 

そんな中で試乗した3.3L直6ディーゼルターボの「XDハイブリッド」のグレードは、「エクスクルーシブスポーツ」と「エクスクルーシブモダン」、「プレミアムスポーツ」と「プレミアムモダン」の4タイプ。価格はエクスクルーシブスポーツとエクスクルーシブモダンが505万4500円(税込)、プレミアムスポーツとプレミアムモダンが547万2500円(税込)です。

 

試乗したプレミアムスポーツとプレミアムモダンの違いは、前者は全体に黒を基調としたスポーティな雰囲気を演出したものに対し、後者がメッキ類を多用し内装もホワイトを基本としたラグジュアリーな雰囲気にしたもので、あくまでデザインコンセプトの違いとなっています。

 

スタイリッシュなプロポーションに高品質なインテリア

CX-60を前にして感じた印象は、とてもスタイリッシュであることです。フロントは極端に短いオーバーハングを持ったロングノーズとなっていて、ボディサイドも波打つような筋肉質を感じさせる見事なプロポーション。全長4740mm×全幅1890mm×全高1685mmの大きめのボディサイズだからこそ実現できたデザインと言えるかもしれません。

 

インテリアの仕上がりにも相当こだわったようです。マツダによれば“マツダ車史上最上”としており、それだけCX-60がかつてないプレミアムゾーンを狙っていることは容易に推察できます。手に触れられるすべてがソフトパッドに覆われ、見た目にも触れた印象でも欧州車のハイグレードモデルと比べてまったく引けをとりません。個人的には、もはやそれを超えたといっても差し支えないと思っています。

↑プレミアムモダンのインテリア。欧州車のハイグレードモデルを超える高品質ぶりは満足度が高い

 

↑プレミアムスポーツのタン仕様はオプションとして用意されている

 

↑プレミアムモダンの前席。前席にはヒーターとベンチレーター機能が備わる

 

↑プレミアムモダンの後席。ピュアホワイトのナッパレザーにチタン色のアクセントラインが入る

 

中でも印象的なのが左右のシートに挟まれた中央のコンソールです。全体に高い位置にあり、それが否応なくCX-60がFR車であることを訴えています。しかも幅が広くその存在感は抜群です。左右両開きのコンソールボックスも深さこそないものの、幅が広い分だけ少しかさばるモノも対応できるでしょう。内部にはUSB-C端子が2つ備わっており、スマホの映像を映し出すのに使うHDMI端子もここにありました。

↑シフトノブ操作は一見スタンダードに見えるが、パーキングだけは右にシフトして使う

 

↑後席用に用意されたUSB-C端子とAC100W/150Wのコンセント

 

↑12.3インチのディスプレイを採用したマツダコネクト採用。スマホで設定した目的地の転送もできる。地図データは3年間無料更新付き

 

↑カウルサイドのウーファーボックス容量を4.8Lに拡大。プレミアムモダン、プレミアムスポーツはボーズ仕様が標準となる

 

一般道では突き上げ感を感じるも、高速での安定性は抜群

試乗は御殿場を起点に東名高速と、乙女峠を抜けた箱根界隈の峠道で試してみました。まず試乗会場から東名高速へと進むと、8速ATが小気味よくステップアップして速度を上げていきます。このトランスミッションは、スタート用クラッチに湿式多板ユニットを組み合わせたトルコンレスという特徴的な構造を採用していますが、従来のATと比べても違和感はまったくありません。その上、低負荷領域をモーターでアシストしているため、発進時の動きはとても身軽で、とても2t近いボディを動かしているとは思えないほどです。

 

高速での走行は車重の重さも手伝ってか、どっしりとした安定感があります。ICからICまでの一区間でしかありませんでしたが、走り始めに感じたコツコツとした突き上げ感も速度が上がるにつれて収まっていき、ステアリングの直進性の良さとも相まって気持ちの良いクルージングを楽しむことができました。

 

ただ、乙女峠方面に進むと再び突き上げの大きさが気になるようになりました。一般道にありがちな路面の凹凸をそのまま伝え、時にそれが大きめに感じるときがあったのです。一方でコーナリングのトレース性は極めて高く、狙った方向へ確実にハンドリングしてくれます。車体のブレも最小限に抑えられているようで、安定したポジションで峠道を右から左へとハンドルを切ることができたのです。ブレーキのタッチも良好で、少しハイスピードでコーナーに入っても不安感はほとんどなく通過できました。

 

試乗したグレードの価格帯は500万円を超えており、一般的に言っても十分にプレミアムカーの領域にあると思います。クルマとしての造りこそ、それに見合うものを持っていました。高速での走りはともかく、一般道での突き上げ感はもう少しいなしてくれる気遣いが欲しかったようにも思います。とはいえ、パワーユニットが多岐にわたるCX-60では、組み合わせによってまた違った印象を与えてくれるかもしれません。

↑CX-60には「ドライバー異常時対応システム(DEA)」を採用。このSOSボタンを押すか、エアバッグの作動で自動対応できる

 

直6ディーゼル+FRを気軽に楽しみたいなら「XD」もオススメ

そこで別のグレードを選んだ場合を考えてみました。その結果、直6ディーゼルを搭載したもっとも身近なグレードが「XD」であることがわかりました。2WDの価格は323万9500円(税込)。アダプティブヘッドランプやパワーシートといったプレミアムな装備はないものの、18インチアルミホイールは装備されます。写真で見る限り、見た目にもそれほど見劣り感がないのもいいと思います。手軽に直6ディーゼル+FRの基本スペックを楽しむのに「XD」はピッタリのグレードかもしれません。

 

SPEC【XD-HYBRID Premium Modern】●全長×全幅×全高:4740×1890×1685㎜●車両重量:1940㎏●パワーユニット:3283㏄水冷直列6気筒DOHCターボエンジン●最高出力:エンジン254PS/3750rpm[モーター16.3PS/900rpm]●最大トルク:エンジン550Nm/1500〜2400rpm[モーター15.3PS/200rpm]●WLTCモード燃費:21.1㎞/L

 

 

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