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2022/11/19 21:00

連なる鳥居に宍道湖の眺め、そして出雲大社−−“映える”「ばたでん」歴史&美景散歩

【ばたでん旅が続く⑩】鉄道好きならば寄りたい旧大社駅だが……

今回の出雲への旅で、どうしても訪ねてみたいところがあった。旧国鉄大社線の終点、旧大社駅である。大社駅は1912(明治45)年6月1日、大社線の開通とともに開業した。その後1924(大正13)年2月13日に2代目駅舎が竣工した。現在残るのは98年前に建築された2代目駅舎で、出雲大社を模した寺社づくりとされる。賓客をもてなすために荘厳な造りの2代目が建てられたように思われる。1990(平成2)年4月1日に路線が廃線となった後に、駅はJR西日本から旧大社町に無償貸与された。2004(平成16)年には重要文化財に指定、また2009(平成21)年には近代化産業遺産に認定された。

 

2021(令和3)年2月1日からは保存修理(仮設・解体)工事を開始したと聞いていた。筆者は修理以前に訪れたことがあり、現在どのようになっているのか確かめておきかった。

 

旧大社駅は出雲大社前駅から神門通りを南へ約11分900mの距離にある。駅舎は全体がすっぽりとカバーに覆われていて、残念ながら中をみることができなかった。前回撮影した写真があるので掲載しておきたい。左右対称の寺社建築で、駅舎内も素晴らしい出来だった。保存修理工事は2025(令和7)年12月20日までかかるとされる。

↑重要文化財の指定を受けた駅舎は東京駅丸の内駅舎と門司港駅舎、そして旧大社駅のみ。現在は工事中で全体が覆われている(左上)

 

なお、駅舎部分のみ覆われているが裏の一部残されているホームと線路へは、裏手から立ち入ることができる。駅舎側のホームは工事が行われおり、見学の際には工事関係者の指示に従って欲しいとのことである。構内にはD51形774号機も保存されていた。このD51形も出雲市では駅の保存修理に合わせて大規模修繕を進める予定と発表している。

 

保存修理にはだいぶ時間を要するようだが、修理が終わったらぜひまた訪ねたいと思う。

↑旧大社駅駅舎は高い天井で漆喰壁、乗車券売り場など、大正期の駅の様子が残っている 2011(平成23)年8月1日撮影

 

この旧大社駅から出雲大社の勢溜の大鳥居まで16分、約1.2kmと距離がある。一畑電車の出雲大社前駅のように近いところになぜ駅を造らなかったのか疑問に感じるところだ。出雲大社からの遠さも大社線がいち早く廃止になった一因だったように思う。

 

最後に出雲路からの帰路の鉄道利用に関して、注意したいことがあるので触れておきたい。

 

電鉄出雲市駅に接続するJR山陰本線の出雲市駅だが、同駅では「みどりの窓口」が廃止された。近距離区間の券売機と新幹線・在来線特急・乗車券券売機と、みどりの窓口に代わり「みどりの券売機プラス」が設置されている。複雑な経路の乗車券の購入や券売機を扱い慣れない場合には「みどりの券売機プラス」を利用してのオペレーターとの会話が必要になる。(営業時間4時〜23時・オペレータ対応時間5時30分〜23時)。

 

「みどりの券売機プラス」を利用してスムーズに購入できれば良いが、混みあう時間帯は待たされることも多い。出雲市駅は特急「やくも」や特急「サンライズ出雲」といった長距離旅客列車の始発駅だけに「みどりの窓口」が必須と思われ、残念に思う。

 

筆者は出雲市駅から、やや複雑な行程をたどって東京へと考えていたので、旅程を変更して松江駅へ立ち寄り、こちらの「みどりの窓口」で購入をしたが、手間がかかった。事前に他の駅で購入しておくか、あらかじめJR西日本ネット予約「e5489」等で列車の予約しておき、受取だけを出雲市駅の券売機で済ませるなど、事前に対策をしておいたほうが良さそうに感じた。

 

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