バイクに近いような構造を採用
フレームはアルミ製ですが、かなりがっしりした作り。バッテリーを内蔵する部分だけでなく、リアホイールを保持する部分も太くて強力な駆動力をしっかりと受け止める設計となっています。リアキャリアまで一体となった作りで、従来の自転車からエンジン付きのバイクに近づいていっているように感じます。
また、バッテリーから給電されるライトもフレームに内蔵。フロントだけでなく、リアのライトも内蔵されていて、夜間の走行での安心感を高めています。
e-Bikeの中でも先進性を感じさせる乗り味
「E-OMNIA」T-TYPEの重量は約32kg。この種のe-Bikeの中でもかなりの重量級です。いくらパワフルなドライブユニットを搭載しているとはいえ、走りにどう影響するのか? と試乗前は危惧していました。ただ、実際に走ってみると車体の重さは全く感じません。アシストは強力ですが、ガツンと車体が押し出されるような唐突感は皆無。スムーズに速度が乗っていきます。
坂道での登坂能力を確認するため、角度のある登り坂も走ってみました。e-MTBにも採用されるドライブユニットなので、あまり不安は持っていませんでしたが、実際に登ってみて感じたのはアシストのフィーリングが自然なこと。グイグイ登って行くというより、ペダルを回していると勝手に登って行ってくれるような感覚です。
もう1つ感じたのはコーナーリングでの安定感。29インチで太めのタイヤを装備していることもありますが、ここでは車体の重さとフレームの剛性が効いているようです。クロスバイクにありがちな細身のタイヤと違い、タイヤがしっかりと路面を掴んでくれているような感覚。重量がある車体であることも関係していますが、バイクでのコーナーリングに近いようなフィーリングです。この辺はほかのe-Bikeではあまり感じたことのないものでした。
筆者は、それなりに多くの種類のe-Bikeを乗ってきましたが、「E-OMNIA」の走行フィーリングはなかなか似ているものが思いつかないものでした。これまでのe-Bikeは自転車にアシストをプラスしたような感覚のものが多かったのですが、「E-OMNIA」ははじめから重いドライブユニットやバッテリーありきで設計されているように感じます。見るからに剛性の高いフレームも、人力で走る自転車では重すぎるでしょうが、その重みも逆に利用して安定感を高めているような乗り味。e-Bikeのステージをさらに進めるような先進性を感じました。
必要な装備が“全部入り”と言えるような装備の充実度と、先進的な乗り味。使い勝手や快適性も高いことを考えると、高価な車両価格も納得できるような完成度でした。購入できる人は限られるかもしれませんが、その乗り味は一度味わっておいて損はないものだと思います。
撮影/松川 忍
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