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2023/4/9 11:00

乗り味はロールス・ロイス「ファントム」超えだな! BMW「7シリーズ」と「i7」の試乗報告

1970年代からBMWのフラッグシップサルーンとして君臨してきた「7シリーズ」も、電気の時代を迎えたことで、シリーズとしては初のEVモデル「i7」を新たにラインナップ。最高級車としての実力は、ライバルブランドと比較してどうか? またエンジンモデルとEVモデルでどのような違いが味わえるのでしょうか?

 

■今回紹介するクルマ

BMW/7シリーズ & i7

※試乗グレード:740i Mスポーツ(7シリーズ)、xDrive60エクセレンス(i7)

価格:(7シリーズ)1460万円~1501万円、(i7)1670万円~

↑写真左から740i Mスポーツ(7シリーズ)、xDrive60エクセレンス(i7)

 

ロールス・ロイスを意識したデザインで、見た目の威厳的にすごくアリ

みなさんは、ロールス・ロイスを知ってますよね。恐らく「世界一の高級車」という認識だと思います。実はいまロールス・ロイスは、BMW傘下にあるのですね。ロールス・ロイスのラインナップの頂点に君臨するのが「ファントム」。その見た目は、「とにかく高そう」で「すごく怖そう」で、「ひたすら威厳のカタマリ」です。そしてロールス・ロイスのデザインを象徴するのが、フロントグリル。「パンテオン・グリル」と呼ばれており、円柱が並ぶローマ神殿を模しています。

 

実は私、アレは「パルテノン・グリル」だと思い込んでいました。パンテオンはローマの神殿で、パルテノンはアテネの神殿。円柱が並ぶ形状は同じですが、パンテオンのほうは、その上に三角形が乗っかってる(残ってる)。そっちがロールス・ロイスのグリルの元ネタだったわけです。知らなかった!

 

一方、BMWのグリルは「キドニー・グリル」です。キドニーとは腎臓のこと。楕円形が2個並んだ姿が腎臓に似ているので、この名が付きました。新型7シリーズでは、そのキドニー・グリルが左右合体して、まるでパンテオン・グリルみたいになりました! これ、どう見てもロールス・ロイスを意識してるだろ!

↑xDrive60エクセレンス。グリルだけでなく、全体のフォルムも、ものすごく古典的に角張ったセダン型で、ロールス・ロイスを意識したかのようです

 

BMWの最高級セダンである7シリーズは、従来、メルセデス・ベンツのSクラスに対して常にスポーティであり、デザインもその文法に則っていましたが、新型は逆張りで、ロールス・ロイスに寄せてきたわけです。ライバルのメルセデス・ベンツEQSが、スポーティな「謎の円盤」にリボーンしたのと正反対! お互いに逆張りしたことで、ポジショニングが完全に逆転しました。

 

しかしこの、ロールスみたいな7シリーズのデザイン、意外と悪くないです。これまでの7シリーズは、「しょせんSクラスにはまるでかなわない万年2位」でしたが、新型はなにしろロールス風味。見た目の威厳に関しては、EQSをはるかに凌駕しています。こういう最高級セダンに乗る方々は、たぶん最大限の威厳を求めているでしょうから、すごく「アリ」だと思います!

↑サイズは全長5390×全幅1950×全高1545mm。カラーは13色をそろえています

 

乗り心地はフワッフワ! それでいて超ダイレクトなハンドリングで新鮮

ところで新型7シリーズには、エンジンモデルとEV(電気自動車)とが併存しています。エンジンモデルは3.0L直6のガソリン/ディーゼルですが、今回はガソリンの740i Mスポーツに試乗しました。従来7シリーズと言えば、V8やV12の巨大なエンジンを積んでいましたが、ダウンサイジングの流れにより、3.0L直6に統一されております。

↑740i Mスポーツ。サイドには流れるようなラインが施され、軽やかさが感じられます

 

BMWの3.0L直6と言えば、「シルキー6」と呼ばれ、カーマニア垂涎の的ですが、7シリーズは2tを超える重量級。さすがにパワーが足りないのでは? と思ったのですが、450Nm(先代)から520Nmへと増強されたぶっといトルクが、低い回転からグイグイと車体を前に押し出します。回転も超なめらかでスバラシイ! BMW3.0L直6はここまで進化したのか!

 

「しかも乗り心地が凄い! とろけるようにフワッフワ! この感覚はまさにロールス・ロイスに近いっ!」

 

ロールス・ロイスの名前や形は知っていても、乗ったことのある方は少ないと思います。いったいどんな乗り心地なのかと言うと、「雲の上」です。雲の上のクルマだけに雲の上。そのまんまやないけ! ですが、運転していてもステアリングインフォメーション、つまりハンドルから伝わる路面情報がまったくゼロ! 本当に浮かんでるんじゃないか? って感じなのです。新型740i Mスポーツも、その感覚に近く、浮かんでいるかのような体験でした。

 

ただ、BMWだけに、ステアリング・インフォメーションはそれなりにあり、電子制御エアサスの恩恵で、ハンドルを切ってもまったく車体が傾かず、そのままズバーンとカートみたいに曲がります。フワッフワなのに超ダイレクトなハンドリングがものすごく新鮮! このクルマ、どーなってんの?

↑コックピットには、12.3インチの情報ディスプレイと14.9インチのコントロール・ディスプレイで構成されるBMW カーブド・ディスプレイを搭載

 

振動が完全にゼロ、加速はウルトラケタ外れ! もうロールス・ロイス超えだろ

ここまででもビックリですが、新型7シリーズのEV版であるi7のxDrive60エクセレンスは、さらにケタ外れでした。まずもって、パワーユニットの滑らかさが段違い。ガソリン直6でもウルトラスムーズなのに、さすが電気モーターだけあって、振動が完全にゼロ! 日産「サクラ」も振動ゼロのはずだけど、まったく感覚が違います。そんなのあるのか? いやいや、上には上がいるのですね。

↑「740i」のパワーユニットは3リッター直6ガソリンターボエンジンと48Vのマイルドハイブリッドシステムの組み合わせ

 

乗り心地もさらにフワッフワ! ガソリンモデルより車体が600kgくらい重いぶん、フワッフワさがものすごく荘重! 荘重なフワフワなんてあるのか? と思われるでしょうが、あるんですね。ビックリです。

 

加速もウルトラケタ外れ! 前後に2個搭載されたモーターは、合計745Nmのトルクを生み出し、アクセルを踏み込めば、宇宙船のように加速します。740i Mスポーツがお子様用に思えてしまうほどの、強烈な加速の差! こんなに速くてどうするの! って感じですが、「物凄いものに乗っている」感はハンパないです。もちろんコーナーでは、ロールせずにカキーンと直角に曲がります。そうか、電気自動車って、こんなにも高級車向きだったのか……。

↑xDrive60エクセレンスは静止状態から100km/hまでを4.7秒(ヨーロッパ仕様車値)で駆け抜けます

 

i7の乗り味は、ロールス・ロイス ファントムを超えたと言ってもいいでしょう。6.8L V12ターボ(BMW製ですが)でも、i7のモーターのパワーや滑らかさにはかなわない。ロールス・ロイス ファントムのお値段は、6050万円から。たったの1670万円で買えるBMWのi7は、猛烈にコスパが高いと思います! 以上報告終わり!

↑受注生産オプションの「エグゼクティブ・ラウンジシート」。そして、Amazon Fire TVを搭載した31.3インチのBMWシアター・スクリーン(オプション)は快適空間じゃ!

 

SPEC【740i Mスポーツ】●全長×全幅×全高:5390×1950×1545mm●車両重量:2395kg●パワーユニット:2997cc直列6気筒ガソリンエンジン●最高出力:381PS(280kW)/5500rpm●最大トルク:520Nm/1850-5000●WLTCモード燃費:12.8km/L

 

SPEC【xDrive60エクセレンス】●全長×全幅×全高:5390×1950×1545mm●車両重量:2965kg●パワーユニット:電気モーター●最高出力:前258+後313PS/前後8000rpm●最大トルク:前365+後380Nm /前0-5000+後0-6000rpm●WLTCモード一充電走行距離:650km

 

撮影/池之平昌信

 

 

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