カングーならではの圧倒的な収納力と使い勝手の良さ
そして、カングーならではの真骨頂が優れた収納力です。ダッシュボードのアッパーには開閉式の収納ボックスが用意され、ここにはUSB端子2基とシガーライターソケットを装備。また、おなじみのオーバーヘッドコンソールも引き継がれ、その手前には巨大なアシストグリップが装備されました。これまで親しまれてきたチャイルドミラーはくるりと回転すると現れるようになり、これまた使いやすさを高めています。
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一方で、後席用のオーバーヘッドコンソールはなくなり、代わりに前席背後に使い勝手が良い折り畳み式テーブルが装備されました。
ラゲッジスペースは当然の広さ。その容量は5名乗車時でも先代モデル比で115Lプラスとなる775Lを実現。後席は6:4分割で折りたたむことができ、すべてをたためば先代モデル比で132Lプラスの2800Lにもなります。しかもフロアは出っ張りがほとんどないフルフラット状態。フロアの地上高も低いために、重い荷物でも楽に積み込めそうです。
さらに、カングーの美点でもある観音開きのダブルバックドア。左右のドアは右が小さく、左が大きく左右非対称となっており、片方ずつ開いて荷物の出し入れができるのです。ドアの開閉は90度まで開き、必要ならロックを外すことで180度のフルオープンにすることもできます。状況に応じてさまざまなスタイルでドアの開閉ができるのは、いざというときに役立つでしょう。
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エンジンは2モデル用意。ガソリンモデルは走りが軽やかで、乗り心地も◎
最後に、新型カングーの走りを検証したいと思います。エンジンは従来の1.2リッターから1.3リッターへ排気量アップしたガソリンターボを搭載しています。インテンスではほかに1.5リッターのディーゼルターボも選択可能。トランスミッションはどちらも湿式7速となったデュアルクラッチを備えるEDC(エフィシエントデュアルクラッチ)を採用。従来の乾式6速より機能面も耐久性も大幅にアップしたということです。
ガソリンである試乗車は、想像以上に軽やかに発進し、そのまま滑らかに加速。ボディが大きくなったことなど、まるで感じさせない余裕を体感できます。高速域に入っても力不足を感じることはなく、安定した走りっぷりです。これなら定員乗車してたっぷり荷物を積んでも不満は感じないでしょう。
なかでも感心したのが市街地での走行フィールで、加減速が滑らかであるためにギクシャクする様子などまったく見せません。コーナリング中のロールもしっかりと抑えられており、これなら同乗者にも歓迎されるでしょう。
乗り心地も大幅に向上しました。これまでは道路の継ぎ目などをしっかり拾っていたものですが、新型ではそれを上手にいなしてくれ、高速走行時の安定した走りとも相まって格段に乗り心地がレベルアップしたことを実感させてくれます。静粛性も十分に高く、全ガラスの厚みを増したこともあり、同乗者の音声も1割ほど聞きやすくなったということです。そのためか、運転中は生い立ちが商用車であることなどすっかり忘れてしまうほど快適に走ることができました。
素晴らしい仕上がりを見せた、ACCなどの先進安全装備
また、さまざまな先進安全装備の搭載も見逃せないポイントです。
アダプティブクルーズコントロール(ACC)とレーンセンタリングアシストを組み合わせることで、ステアリングに手を添えているだけで高速道路のコーナーを曲がっていってくれます。渋滞で停止しても電動パーキングブレーキが停止を自動的にホールド。再発進はクルコンのスイッチを押すか、アクセルを軽く踏むだけで設定はすぐに復帰されます。この一連の使いやすさはカングー初の装備とは思えない素晴らしい仕上がりでした。
今回はディーゼル車の試乗は間に合いませんでしたが、低速域の力強さはガソリン車を上回るものがあると聞いています。ディーゼルということでノイズこそ高まる可能性はありますが、長距離を走ることが多い人ならこちらの選択を考えても良いのではないでしょうか。
とはいえ、前述したようにガソリン車でも走りで不満は感じません。新型は今までのカングーに愛着がある人も、乗用車的な使い方をしたかった人にとっても満足度が高い選択となることを実感した次第です。
SPEC【ルノー カングー インテンス(ガソリン)】●全長×全幅×全高:4490×1860×1810mm●車両重量:1560㎏●パワーユニット:1333Lターボチャージャー付き筒内直接噴射 直列4気筒 DOHC16バルブ●最高出力:131PS/5000rpm●最大トルク:240Nm/1600rpm●WLTCモード燃費:15.3km/L
撮影/松川 忍
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