低回転域から発揮する高トルクが力強い走りを実現
ではいよいよ試乗開始です。パワーユニットは、ガソリンエンジン搭載車には1.2L 3気筒ガソリンターボエンジンを、PHEVには1.6L 4気筒ガソリンターボエンジンを採用。今回は残念ながら、試乗するはずだったPHEVにセキュリティ系のトラブルが発生し、代わりにガソリン車の408 GTに試乗することとなりました。
実は試乗するに際し、「ターボ付きとはいえ、1.2L エンジンでこの大きめなボディに対して、十分なパフォーマンスを発揮できるのか?」と、内心不安があったのも否定できません。そして確かにアクセルを踏み込んだ瞬間は、何となく動きににぶさを感じます。しかし、そんな不安もつかの間。走り出せばすぐに力強い走りを見せてくれたのです。
そのワケはこのエンジンが発揮する130ps/5500rpm、230Nm/1750rpmのスペックにありました。最大トルクはほぼ2.5リッターエンジンクラスで、しかも最大トルクは1750rpmという低回転で発生します。加えて、3気筒ならではのレスポンスの良さと、組み合わされる8ATとのマッチングも良好。これが、街中でのキビキビとした動きにつながっていたのは間違いありません。そのうえで、アクセルを踏み込めばターボらしい力強い加速で、一気に車体を高速域まで引っ張り上げてくれたのです。
ハンドリングも素晴しいです。交差点を通過するときも、狙ったラインを正確にトレースするので安心感が極めて高い印象。しかも、そのときのフィーリングもしっとりとして気持ちがいい。大径タイヤを履くと、どうしてもバネ下重量が気になる傾向にありますが、そんな心配も一切ありません。思わず408で峠道を楽しんでいる自分の姿を想像してしまったほどです。
SUVテイストを発揮しつつ十分なパフォーマンスを発揮
一方で乗り心地は多少、タイトな印象を受けました。サスペンションのストロークが十分にあるのはわかりましたが、車体の高剛性なプラットフォームが影響しているのか、一般道にありがちな段差を超えるときはショックが強めに出る傾向にあったのです。とはいえ、ショックのいなし方が巧みなので不快な印象はありません。むしろ、このハンドリングを踏まえれば、このぐらいの固さはキビキビとしたスポーティさに一役買っているように思いました。
人気のSUVテイストをしっかりと発揮しながら、プジョーならでは乗り味を堪能できる、十分なパフォーマンスを備えた新型プジョー408。価格が499万円(408 GT)と、このクラスのガソリン車としては高めの設定となりますが、装備そのものは輸入車の常でほぼフル装備に近い状態です。国産車は価格が高くなっているにも関わらず、オプションが多いのは相変わらず。その意味でも408 GTは満足度の高い選択となることでしょう。
SPEC【408 GT】●全長×全幅×全高:4700×1850×1500mm●車両重量:1430kg●パワーユニット:ターボチャージャー付き直列3気筒DOHC●エンジン最高出力:130ps/5500rpm●エンジン最大トルク:230Nm/1750rpm●WLTCモード燃費:17.1km/L
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撮影/松川 忍