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2023/6/24 20:00

大きいフィアットに魅力はある?「ドブロ」、兄弟車や国産ミニバンとの違いは?

フィアットから家族や仲間との遠出にピッタリなMPV『ドブロ』が日本デビューを果たしました。両側スライドドアを備えつつ、ボディは2列シート5人乗りの「ドブロ」と、3列7人乗りの「ドブロ・マキシ」をラインアップ。これまで日本でのフィアットは「500」や「500X」、「パンダ」など、コンパクトサイズの車両を展開していましたが、ドブロの登場でファミリー層にまで裾野を広げることとなったのです。

 

本記事では、ドブロの魅力をファーストインプレッションとしてお届けします。

 

■今回紹介するクルマ

フィアット/ドブロ

※試乗グレード:ドブロ・マキシ

価格:399万円〜429万円(税込)

 

ドブロはプジョー「リフター」、シトロエン「ベルランゴ」と兄弟車

フィアットのドブロは、同社が属するステランティス・グループのプジョー「リフター」、シトロエン「ベルランゴ」の兄弟車として誕生しています。それだけにボディサイズは5人乗りで全長4405×全幅1850×全高1850mm、7人乗りも全長4770×全幅1850×全高1870mmと、若干の差異はあるもののほかの2車種とほぼ同じサイズ。荷室容量も最大2693リッターと、ほぼ同じとなっていました。

 

では、このサイズはいったいどのぐらいに相当するのでしょうか。たとえばトヨタ「シエンタ」と比べると、5人乗りのドブロは145mm長く、7人乗りのドブロ・マキシになると510mm長くなります。少し大きいトヨタ「ノア」との比較では、ドブロが逆に290mm短くなり、ドブロ・マキシは75mm長いといった感じです。同じ7人乗りで比較すれば、ノア/ヴォクシーに近いサイズと考えていいと思います。

↑全長4770mmのドブロ・マキシは定員が7名。ボディカラーは、この「メディテラネオ ブルー」以外に、「ジェラート ホワイト」「マエストロ グレー」の3色を選べる

 

↑手前が7人乗りのドブロ・マキシで、奥が5人乗りのドブロ。ボディの長さが大きな違い

 

ドブロをフロントから見ると、リフターやベルランゴとはデザインで明らかにテイストが違うことがわかります。フロントグリルをキュッと細身にしたシンプルなデザインは、最近のミニバンに多いギラギラ感とは一線を画するものです。しかも、FIATのロゴマークを大きくして、存在を主張しています。これだけでもフィアットファンにはたまらない魅力となるのではないでしょうか。

↑5人乗りのドブロ。フロントの「FIAT」のロゴマークが存在感をアピール

 

↑ドブロ・マキシのホイールベースは、5人乗りドブロよりも190mm長い2975mm。タイヤは205/60R16

 

多彩なシートアレンジが高い居住性と広大なスペースを生み出す

車内もシンプルなブラックで統一されたインテリアが乗員を取り囲みます。中央を仕切るセンターコンソールには、ダイヤル式シフトやスライド式のリッド付きドリンクホルダーが配置されるのみ。メッキ類もほとんどなく、日本のミニバンに見慣れた人にとっては物足りなさを感じるかもしれません。

 

ですが、それを好まない人にとっては、そのシンプルさがかえって心地よく感じられるかもしれません。むしろ、統一されたシンプルさがあるからこそ、ステアリング中央にあしらわれた、真っ赤なFIATのエンブレムが際立つのです。これもフィアットファンには大きな魅力となるでしょう。

↑シンプルなブラックで統一されたインテリアは、日本のミニバンとは違ってメッキ類もほとんどなし

 

↑ダイヤル式シフトは慣れれば結構使いやすいものだ。パーキングブレーキが電動なのもうれしい

 

一方で収納力はリフターやベルランゴと同様、収納スペースを前席まわりに8か所配置するなど、充実しています。運転席周りは正面のメーターナセルの上にフタ付きのグローブボックスがあり、収容力はかなり大きめです。上を見上げればそこには左右一杯に広がる収納トレーを配置。左右ドアにあるドアポケットもかなり大きめで、使い勝手はよく考えられているようでした。

↑運転席の前にある巨大なグローブボックス。深さもそこそこあって容量はかなり大きめだ

 

リアシートの多彩なアレンジもドブロの魅力です。2列目は3座独立タイプで、それぞれが均等に座れるようになっており、たとえ真ん中に座ったとしても左右より窮屈だったり、居心地が悪かったりはしません。しかもシートはすべて床下に収納できてしまい、フロアがフラットになるのです。

↑3席が完全に独立しているセカンドシート。大人が十分余裕をもって座ることができる。写真は5人乗りのドブロ

 

7人乗りの場合は3列目シートが残りますが、シートそのものを取り外すことができ、それによって生まれる空間は巨大そのもの。独身世帯のちょっとした引っ越しなら十分対応できそうなレベルです。

↑7人乗りのドブロ・マキシでセカンドシートを床下へ収納した例。3列目シートの前に広大なスペースが再現できる

 

また、バックゲートはガラスハッチだけを開閉することもでき、狭い場所でも上から荷物を出し入れできます。車庫などに入れたときの荷物の出し入れに重宝することでしょう。

↑7人乗りのドブロ・マキシのカーゴスペース。脱着も可能な3列目シートを折りたたんでも、かなり広いスペースが生まれる

 

ただ、左右のスライドドア、バックドアともにパワー機構が備わっていません。どれも開け閉めには結構な力が必要で、軽自動車でもパワースライドドアが当たり前に装備されている感覚からすると、ちょっとツライかもしれません。

↑バックドアは自分で開閉。そのため、閉めるときは特に重さを感じるが、このロープが役立つ
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