乗り物
クルマ
2023/9/24 6:00

気持ちの良い「音」の秘密に衝撃! ホンダZR-Vのディテールをチェック【クルマの神は細部に宿る。】

ベテラン自動車ライターの永福ランプとフリーエディターの安ドが、深いような浅いようなクルマ談義をするクルマ連載。今回は、ホンダが北米から導入した新型SUV、 ZR-Vを取り上げる。特徴的な顔つきはカッコ良いのか悪いのか!?

※こちらは「GetNavi」 2023年10.5月号に掲載された記事を再編集したものです。

 

【PROFILE】

永福ランプ(清水草一)
日本中の貧乏フェラーリオーナーから絶大な人気を誇る大乗フェラーリ教の開祖。様々な自動車専門誌や一般誌、ウェブなどで、クルマを一刀両断しまくっている。初老となり運転支援装置の必然性を実感、クルマを評論する際に重要視するように。

安ド
元ゲットナビ編集部員で、現在ではフリーエディター。妻子を抱えても愛車はMTにこだわる。

 

【今月のGODカー】

HONDA
ZR-V

SPEC【e:HEV Z AWD】●全長×全幅×全高:4570×1840×1620mm●車両重量:1630kg●パワーユニット:1993cc直列4気筒エンジン+電気モーター●エンジン最高出力:141PS(104kW)/6000rpm●エンジン最大トルク:182Nm/4500rpm●WLTCモード燃費:21.5km/L

293万2600円〜410万3000円

 

エンジンがものすごく気持ち良いe:HEV

安ド「殿! 今回はホンダのSUV、ZR-Vです!」

永福「うむ。実質的なCR-Vの後継モデルだな」

安ド「えっ、そうだったんですか。CR-Vよりはコンパクトで、ちょうど良いサイズですね」

永福「CR-Vは世界で5番目くらいに売れているホンダの大ヒットモデルだが、日本ではサイズが大きすぎて売れず、消滅してしまった。そこでCR-Vより少し小さいSUVを、新たに投入したというわけだ」

安ド「クルマって、どんどんサイズが大きくなってきていますけど、海外ではもっと大きくなってるんですね!」

永福「実はこのクルマ、ホンダのメイン市場たる北米では、HR-Vの名前で売られている」

安ド「えっ! 以前日本でも販売されていた、あの小さくてオシャレだったHR-Vが、こんなに大きくなっていたんですか!」

永福「うむ。海外向けの先代HR-Vは、日本の先代ヴェゼルだったが、現行のヴェゼルは、北米では売られていない」

安ド「……何がなんだかわかりません!」

永福「私もだ。ヴェゼルのような日本で売れ筋のモデルは、北米では小さすぎて売れないので、車名が複雑なことになっているのだ」

安ド「とにかくZR-Vは、日本では新型車ですよね!」

永福「うむ。ベースはシビック。シビックのSUVバージョンと思えば良い」

安ド「今回の試乗車はe:HEVというハイブリッドシステムを搭載していますが、これもシビックと同じですね」

永福「だな。私はe:HEVが大好きなのだ。ハイブリッドだが、エンジンがものすごく気持ち良い」

安ド「スポーツモードにすると、エンジンがパワフルで音もスポーティで、たしかに良い感じでした!」

永福「実はその時、エンジンは発電しているだけで、実際にはモーターが駆動しているのだが、ものすごく気持ち良いだろう」

安ド「ええーーーーっ! あの良い音がしてる時、エンジンは発電機なんですか!?」

永福「私も聞いてビックリした。まるでF1マシンのような良い音がするのに、実際には電気だけで走っているんだからな」

安ド「衝撃です!」

永福「衝撃だな」

安ド「もうひとつ衝撃だったのは、顔のおちょぼ口です!」

永福「言われてみればおちょぼ口だな」

安ド「当初はなんだこりゃと思っていたのですが、見ているうちにだんだんマセラティみたいに思えて、好きになってきました!」

永福「言われてみれば、マセラティもおちょぼ口でカッコ良いな」

安ド「昔の価値観だと絶対カッコ悪いんですけど、不思議です!」

永福「ひょっとこのようなおちょぼ口がカッコ良く思えてくるんだから、たしかに不思議だな」

 

【GOD PARTS 神】パワーユニット

ハイブリッドでも速くて気持ち良い

ハイブリッドモデルは、2.0L直噴エンジンに2モーター内蔵電気式CVTを組み合わせた「スポーツe:HEV」を搭載。ドライブモードを「SPORTモード」にすれば、まるで自然吸気式レーシングエンジンのような力強い加速を味わえます。「ECONモード」にしても、街中であれば走りにまったく不満は感じません。1.5L VTECターボエンジン仕様もあります。

 

【GOD PARTS 1】フロントグリル

顔の中央に位置する枠なし個性派デザイン

水平に並んだヘッドライトの間にはグリルが配置されています。グリル自体には枠がなく、内部は11本の縦ラインで仕切られています。フロントまわりの中央に位置していて、なんだかひょっとこ顔ですが、インパクトはかなり強いです。

 

【GOD PARTS 2】ボディカラー

艶っぽさが感じられる上質なボディ色

取材車両のボディカラーは、新色の「プレミアムクリスタルガーネット・メタリック」でした。言葉で表現するのが難しいカラーで、赤かと思いきや紫だったり、マルーンのようにも見えたり、光の状態では茶色っぽくも見えます。ZR-Vらしい艶っぽさが感じられますね。

 

【GOD PARTS 3】ドアハンドル

ムキムキイメージを共通化

顔も個性的ですが、インテリアでも個性を発揮しています。直線的でシンプルだったヴェゼルと比べて、抑揚のある筋肉質な雰囲気です。ドア内側の握る部分も、このようにムキムキな感じで、後述するセンターコンソールと共通イメージになっています。

 

【GOD PARTS 4】車名

 

スタンダード派か個性派か?

かつてホンダのSUVといえば、1990年代にヒットした「CR-V」でした。その後、HR-Vやエレメント、MDXなど個性的SUVを経て、ヴェゼルが大人気に。このZR-VのZには「究極の」といった意味があるそうで、ホンダのSUVここに極まれりという感じでしょうか。

 

【GOD PARTS 5】ハイデッキセンターコンソール

 

上質さと使い勝手の良さを兼ね備えたインテリアはマッチョ系

筋肉質で立体的な造形となったセンターコンソールは、デッキが2層になっていて、下段のトレイには小物を入れることができます。さらに下段の両サイドには、USB端子(Type-AとType-C)を備え、スマホの充電がしやすかったです。

 

【GOD PARTS 6】ラゲッジルーム

必要にして十分な荷室スペース

ミドルクラスのシビックがベースということで、ボディサイズに合わせて荷室もかなり使えるサイズ。リアシートを畳めば床面はほぼフラットになりますし、床下アンダーボックスもあります。荷室内にスポット照明も複数設けられていて便利です。

 

【GOD PARTS 7】シフトセレクター

ホンダの新しいスタンダード?

ボタン式のシフトセレクターが採用されています。クルマのATシフトは、時代ごと、メーカーごとにさまざまに形を変えてきましたが、ホンダはこのボタン式をスタンダードにしていこうと考えているのかもしれません。

 

【GOD PARTS 8】パワーテールゲート

上級車の装備も全モデル標準搭載

荷室のトビラはボタンひとつで開閉できますが、この電動式トビラがZR-Vでは全モデル標準装備になっています。高級車やラージサイズのモデルに多いパワーテールゲートですが、ZR-Vも高ランクのクルマということですね。

 

【GOD PARTS 9】ステアリングヒーター

押しやすいところに配置されたボタン

寒い日に重宝するステアリングヒーターは、パワーテールゲート同様、高級車によく搭載される装備です。ZR-Vでは、ステアリングの手前側、目立つところに設置されていて、すぐにステアリングの持つところを温かくできます。

 

【フォトギャラリー(画像をタップすると拡大表示されます)】