加速は強力無比。気持ちよすぎてついアクセルを踏みたくなる
BMWの新たなフラッグシップだけに、XMのパワートレインは強力そのもの。新開発のPHEVシステム「Mハイブリッド」を搭載している。4.4L V型8気筒ツインターボエンジンに、電気モーターを組み合わせ、最大出力653PS、最大トルク800Nmを発生させる。
駆動方式は、PHEV専用の4WDシステム「M xDrive」。0~100km/hの加速が4.3秒というから、まさにスーパーカー級だ。しかもこのクルマ、車両重量が2.7トンもある。そんな重い物体をこれほど強力に加速するのだから、恐れ入るしかない。ただし、最高速は250km/h(リミッター作動)と控え目(?)だ。エコに配慮したのだろうか。オプションの「Mドライバーズパッケージ」を装備すれば、リミッターを270km/hに引き上げることもできる。日本では関係ない話ですが。
実際に走らせると、XMの加速は強力無比。ガソリンエンジンの伸びと、電気モーターのトルクのいいとこどりなのである。アクセルを踏めばスーパーEVのようにグワッと前に出るが、どこか温かみがあり、ムチ打ちにはならないギリギリの線に抑えてある。もちろん加速の伸びはV8ツインターボならでは。加速が気持ちよすぎて、ついアクセルを踏みたくなる。
ボディやサスペンションの仕上がりがまた凄い。基本的に超絶スポーティなのだが、超絶なボディの剛性感のおかげで、これだけ巨大なサイズでありながら、引き締まって小さく感じる。全幅2mを超えているのに5ナンバーサイズみたい……と言ったらおおげさだが、とにかくいっさいブレずにゴーカートにように走ってくれるので、そのぶん小さく感じるのは確かだ。
ちなみに搭載されているリチウムイオンバッテリーは、容量29.5kWh(正味容量25.7kWh)。EVモードでは、最大88km(WLTPサイクル)走行できるが、ドライブモードを「スポーツ」や「スポーツ+」に切り替えると、エコなんか一切忘れて加速レスポンスに徹することになる。さすがBMWのM専用モデルだ。
ナイトドライブはさらにゴージャス(と想像)
インテリアも豪華そのもの。オラオラしつつも、適度に上品にまとめられているのはエクステリアと同じだ。驚かされるのは天井部の造形で、音響室のように凸凹している。これはいったい何が目的か? と訝ったが、サウンドを美しく聞かせようというわけではなく、夜、ルーフサイドにあしらわれたアンビエントライトで、凸凹を怪しく浮かび上がらせる目的らしい。
今後もしXMに乗る機会があれば、ぜひナイトドライブを体験してみたい。昼間よりもさらにゴージャスに突っ走るに違いなかろうて。
SPEC【XM】●全長×全幅×全高:5110×2005×1755mm●車両重量:2710kg●パワーユニット:4394ccV型8気筒エンジン+電気モーター●システムトータル最高出力:653PS(480kW)●システムトータル最大トルク:800Nm●WLTCモード燃費:8.5km/L
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撮影/清水草一