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2023/9/13 20:00

クーペ+SUVなプジョー「408」、ベストグレードはPHEVではなく…

プジョーの中核を担うモデルでもある408が、フルモデルチェンジでスタイリングを一新した。新型モデルはSUV! 昨年、国産車ではクラウンのSUVが登場して大きな話題となったが、奇しくもプジョー408もセダンからSUVヘと変貌を遂げていた。スタイリッシュなニュースタイルとなったフレンチミドルモデルを、プジョー車オーナーでもある清水草一はどう評価するか?

 

■今回紹介するクルマ

プジョー 408

車両価格:Allure/受注生産 429万円〜、GT 499万円〜、GT HYBRID 629万円〜、408 GT HYBRID First Edition 669万円〜(今回試乗)

 

SUVだが圧倒的に低い全高

世界的なSUVブームにより、現在、全世界で販売されている乗用車の約半分はSUVになった。日本では軽やミニバン(どちらも日本独自のカテゴリー)が強いのでまだ3割程度だが、海外ではSUVが乗用車の絶対的スタンダード。SUVの枠のなかで、さまざまなボディタイプが生まれている。

 

今年日本への導入が始まったプジョー408は、SUVのスポーツクーペ、つまりクーペSUVだ。408のデザイン上の最大の特徴は、全高が1500mmしかなく、SUVとしては非常に低いこと。クーペは重心を低くするために全高が低いものだが、その文法に完璧に沿っているのである。1500mmという全高は、BMWのクーペSUVであるX4(1620mm)に比べても格段に低い。408は、SUVとしては世界で最も背の低い部類に入る。そのぶんスポーティで、古典的にカッコよく見える。

↑機械式駐車場にも入る全高1500mm

 

現在ヨーロッパでは、クーペSUVがかなりの人気を集めている。本物のスポーツクーペは室内がだいぶ窮屈だが、SUVならそれなりの広さを確保できて、実用性とカッコよさを、いい具合にバランスさせることができるからだろう。

↑408 GT HYBRID First Editionの場合、荷室容量は454L。2列目を倒した状態では1528Lになる

 

↑リアシート。リアのニースペースは188mmでゆったりと座れる空間が用意されている

 

408のベースになったのは、ハッチバックの308だが、コロンとしたフォルムの308とは、見た目の印象がまったく異なる。408はカッコを優先したシャープなスタイリングで、若い頃からスポーツクーペに憧れ続けてきた中高年世代としては、「こんなSUVを待っていた!」と言いたくなる。ちなみに全長×全幅×全高は4700mm×1850mm×1500mm、ホイールベースは2790mm。全高に比して全長が長いので、自然とフォルムはシュッとするわけだ。

↑最低地上高は170mm

 

パワートレーンは、1.2L直3ガソリンターボと1.6L直4ガソリンターボ+PHEVの2種類。前者の最高出力130psに対して、後者はシステム最高出力225psと、大きな差がある。前者は3気筒1.2Lゆえに、SUVとしては軽量(1430kg)なのに対して、後者は12.4kWhのリチウムイオンバッテリーを搭載しており、車両重量は1730kgとかなりの重量級。見た目はほとんど同じだが、中身はまるで違うのだ。

 

価格も3気筒ガソリンの「GT」が499万円なのに対して、PHEVの「GT HYBRID」は629万円。この2台は別のモデルと考えてもいいくらいだ。今回試乗したのは、高いほうの「GT HYBRID」の、さらにお高い「ファーストエディション(669万円)」である。

 

508のPHEVは期待ハズレだったが…

正直なところ、プジョーのPHEVにはあまりいい印象を抱いていなかった。508のPHEVはやたらと車体が重い印象で、加速は重ったるく、本来の軽快な操縦性も損なわれていた。

 

ところが408のPHEVはまったく違っていた。モーターだけでもスルスルと軽やかに加速するし、コーナリングもシャープでスポーティ。どうやら以前試乗した508のPHEVは、初期ロットゆえの熟成不足か、あるいは「ハズレ個体」だったらしい。

 

ちなみに私は現在、508のディーゼルモデルを所有しているが、そちらと比べても408 GT HYBRIDは動きが軽く、直進安定性も操縦安定性も高かった。エンジンがかかった状態でも、驚くほど静かで快適なのだから恐れ入る。

 

ただ、プジョーのPHEVは、ハイブリッドと言うよりもEV+エンジンに近く、バッテリーが残っている間は基本的にモーターで走行し、バッテリーをほぼ消耗し尽くしたらエンジン主体にバトンタッチする単純なシステムだ。

↑満充電までの時間は普通充電器(200V 3kW)で約5時間

 

WLTC燃費は17.1km/Lにとどまり、国産ハイブリッドカーに比べるとかなり見劣りする。スポーツモードにするとエンジンがかかりっぱなしになって、そのぶんパワフルになるが、その状態もあまり魅力的とは言えない。そこを考えると、「やっぱりハイブリッドカーは国産だな」と言わざるを得ない。

 

インテリアは308とほぼ同じだが、質感は十分高く、オシャレでステキなクルマに乗っている感がある。プジョーの定番である小径の楕円ステアリングや、ステアリングの上側から見るメーターなどのインターフェイスは、408のカッコマンなスタイリングとよくマッチしている。

インパネは削り出したような造形が特徴的。インフォテイメントは「i-Connect Advanced」搭載でコネクテッドにも対応

 

408 GT HYBRIDは、見ても乗っても非常に気持ちのいいクルマだが、価格も含めて考えると、3気筒1.2Lガソリンエンジンの「GT」がオススメだろう。プジョーの3気筒ガソリンターボは、1.2Lとは思えない低速トルクがあり、日常域のドライバビリティが素晴らしくイイ。1430kgくらいの車両重量は問題なく走らせるはずだ。そちらに試乗した同業者は、「軽々と走ったよ!」とベタホメだった。WLTC燃費は16.7km/Lなので、GT HYBRIDとほとんど変わらない。

 

ちなみにディーゼルエンジンは、408には本国でも用意されていない。ヨーロッパの乗用車は、ガソリンエンジンより先に、まずディーゼルエンジンと決別する決意を固めているのだ。ディーゼルファンとしては残念だが、今後ディーゼルモデルが追加される可能性がないと聞けば、「ならガソリンだな」と割り切りやすいかもしれない。

 

SPEC【GT HYBRID】●全長×全幅×全高:4700×1850×1500㎜●車両重量:1740㎏●パワーユニット:1598cc直列4気筒ターボエンジン+電気モーター●エンジン最高出力:180PS(132kW)/6000rpm●エンジン最大トルク:250Nm/1750rpm●モーター最高出力:110PS(81kW)/2500rpm●モーター最大トルク:320Nm/500-2500rpm●WLTCモード燃費:17.1㎞/L●一充電EV走行距離:65km

 

文・撮影/清水草一