いま、ポーランドのボリシェフ動物園で、ホワイトタイガーの4つ子が誕生したことが話題になっていることをご存知でしょうか。希少なホワイトタイガーの赤ちゃんが一気に4匹も生まれたのは史上初ということで、世界中で注目を集めているのです。
とはいえ、ポーランドは日本から遠く離れています。旅行先としてもまだマイナーであり、「ポーランドって何が有名なの?」と首をかしげる方もいるのではないでしょうか。しかし、ポーランド人に「日本といえば?」と聞いてみると予想外の答えが返ってくることがあります。
筆者はポーランドに住んで2年半年と経ちますが、日本人ということでポーランド人から日本語ジョークを聞かされることもしばしば……。ただ、そこから見えてくるポーランドにとっての日本は非常に面白いです。今回は、そんな日本にまつわるジョークや日本人に対する典型的なイメージをご紹介しましょう。
日本語に聞こえてしまう5つのポーランド語
まずは、日本にまつわるジョークから。ポーランド語のある文に対する受け答えが、なんとなく日本語に聞こえることがわりとよくあります。簡単に言うと、洋楽の歌詞が変な日本語に聞こえる、「タモリ倶楽部」の空耳アワーな言葉がいくつかあるのです。
しかし本当の日本語を言っているわけではないため、日本人が聞いてもまったく意味はわかりません。また、このタイプのジョークは受け答えが日本語に聞こえることだけを意識して作られたもので、答えはほとんど脈絡のないものです。
ただ、とにかくその受け答えが日本語のように聞こえ、またその日本語もどきがポーランド語としても成り立っているということが興味深いのです。代表的な表現は以下の5つ。ポーランド人にとって日本語に聞こえる部分は「」内の言葉になります。
【その1】jak jest to japoński złodziej mazaków?(ヤク イェスト ト ヤポンスキ ズウォヂェイ マザクフ?/マーカー盗みの日本人は誰ですか?)
→”Kosimazaki”「コシマザキ」/Kosi mazaki = 彼はマーカを盗みます
【その2】Jak jest po japońsku dyrygent?(ヤク イェスト ポ ヤポンスク デリゲント?/指揮者の名前は日本語で何ですか?)
→”Makijai macha「マキヤイ マハ」/Ma kijai macha = 彼は棒を持って振っていました
【その3】Pokój dyrektora(ポクイ ディレクトラ/部屋の管理者)
→”Jama Chama”「ヤマ ハマ」/洞窟の田舎者
【その4】Architekt(アルキテクト/建築家)
→”Nacomi Tachata”「ナツォミ タハタ」/Na co mi ta chata = なぜ私はこのコテージが必要なのか
【その5】Archeolog(アルヘオログ/考古学者)
→”Mamuta Szukała”「マムタ スズカワ」/彼女はマンモスを探しました
どれも完全な日本語ではないとしても確かに日本語の音に似ていますよね。センスはなかなかいいのではないでしょうか。
ポーランド人の考える「典型的な日本人の特徴」
この他にも、日本語の言葉遊びはたくさんあります。もし「ポーランド人ってどんな特徴?」と聞かれたら、あなたはどう答えますか? そもそもポーランド人が身近でない私たちにとっては答えようのない質問です。
しかし、ポーランド人に同じような質問をすると色んな答えが返ってきます。
例えば、ある人が写真をたくさん撮っている姿を見ると「日本人みたいだね」と言うことがあります。海外でよく見られる典型的な日本人の行動といえば、熱心に何かを撮影している姿。日本人はレストランの料理やお店の外観、おしゃれな看板などなんでも写真におさめてしまいます。
また、「日本人といえば?」と聞いてみると「ショパンが好き」「みんな空手ができる」「魚だけを食べている(肉はごくたまにしか食べない)」という答えが返ってくることも。 とくに日本人のショパン好きはかなり有名で、実際にショパンがきっかけでポーランドへ訪れる日本人は全体の半分を占めているのではないかと思うほどです。
ポーランド人が抱いている日本人のイメージ
他にもいくつか日本に関する表現があります。例えば、以下のような決まった受け答え。多くのポーランド人にとって、日本人は朝から夜までずっと働いているというイメージがあるようです。
そのため、「よりいい給料をもらうために日本人は何をする?」「もっと働くだけさ」「じゃあ、ポーランド人は何をする?」「ストライキ」なんてやりとりも。
また、ポーランドには “Japonka ma przechlapane, bo rano wstaje i znowu w kimono”(ヤポンカ マ プシェフラパネ, ボ ラノ フスタイエ イ ズヌフ ヴ キモノ)というジョークがあります。
これを訳すと「日本人女性はついていない。なぜなら、朝起きたらまた着物を着ないといけないから」という意味になります。
しかし、着物が何であるか知らないポーランド人に言うと「日本人女性はついてない。なぜなら、朝起きたらまた寝ないといけないから」という意味になるのです。なぜかというと、ポーランド語で “idę w kimono” は「寝ます」という意味のスラングとして使われているから。
この記事を読んで、ポーランドに対して親近感がわいた人も少なくないでしょう。ポーランドは親日国家として知られますが、このような日本に関するジョークや表現がたくさんあることを知るとなんとなくうれしくなりますね。この機会にポーランドをもっと身近に感じてもらえればと思います。