3:中国
中国産業信息網によると、同国都市部の粉ミルク利用率は8割以上となっています。女性の社会進出率が増えているうえ、産休が短めなので、中国はミルクの利用率が高いのです。
中国では2008年に起きた「メラミン混入粉ミルク事件」をきっかけに国産品の信頼が著しく下がり、現在でも依然として海外製品の人気が高くなっています。中国産業信息網によれば、市場シェアはドイツ製の「Aptamil」がトップで12%。その次は「Nutrilon」が6%を占めています。国内系でトップ10に入っているのは「貝因美」と「伊利」の2つ。
18年1月からは粉ミルクに関する規制を設け、登録証の取得がない企業は粉ミルクの生産、販売、輸入が禁止されました。これまで2000以上のブランドが販売されていましたが、この規制によって今年以降は500~600程度にまで減少すると予想されています。
中国では「羊の乳」から作られた粉ミルクが販売されています(写真上)。羊乳は新生児・乳児消化管アレルギーなどの原因とされる、牛乳由来ミルク(まれに母乳)に含まれるタンパク質(カゼインなど)の含有率が1~3%程度と極めて少ないため、アレルギーを起こす可能性が低いと言われており、アレルギー反応を示す赤ちゃんへの代用ミルクとして使用する人もいます。
4:アメリカ
ベビー用品メーカーのピジョンによると、アメリカにおける粉ミルクの利用率は47%。それに加えて液体ミルクの利用者もいます。しかし、合理主義のイメージが強いアメリカでも最近は母乳が推奨されつつあり、「母乳育児」の傾向が高まっているのです。
米国のミルクの種類は主に次の3つに分けられます。
1)お湯で溶かすタイプの一般的な粉ミルク
2)調乳の必要がない、ふたを開ければすぐに飲める液体ミルク
3)濃縮還元の水溶けミルク
粉と液体ミルクの代表的なメーカーは「Similac(シミラック)」と「Enfamil(エンファミル)」。1つのメーカーから「あらゆる種類のミルク」が販売され、「吐き戻ししやすい」、「お腹が弱い」、「ミルクアレルギーがある」など、赤ちゃんの状態や特性に応じてミルクが選べるようになっています。
液体ミルク(写真下)も、便利さと衛生面で支持されていますが、価格がややネック。新生児用の量で1本59mlのものが約1ドル、1歳前後の1本237mlのものが約2ドルとなっており、粉ミルクの倍のコストがかかります。
しかし、液体ミルクは割高な一方で、外出時に利用する方をよく見かけます。アメリカでは生後数週間の赤ちゃんでも親と一緒に外出することが普通に行われるため、開けて飲ませるだけという利便性が人々に気に入られています。