日本では車内設置型のカーナビもよく見かけますが、ここロシアでは、車内に残すと盗まれる可能性が高いので、スマートフォンやタブレット内のカーナビアプリを使うのが一般的です。そんなロシアでとってもユニークな、大人気カーナビアプリが存在。遊び心溢れるサービスで、ロシア人の心をわし掴みしたカーナビアプリを紹介します。
戦車や戦闘機でドライブ
ユニークなアプリを提供しているのは、世界4位の検索件数を誇るロシアの大手検索エンジン・ポータルサイト「ヤンデックス」。そのヤンデックスが出している、「Яндекс.Навигатор(ヤンデックス・ナビゲーション)」というアプリが好評を博しているのです。
基本設定では、現在地を表すカーソルは矢印になっていますが、矢印をスポーツカーや戦車、戦闘機の表示に変更することが可能。自分のクルマが戦車となって、ナビ上を動く様子は運転しながらもワクワクしてしまいます。
有名人とドライブしているかのようなナビシステム
ヤンデックスナビはロシアで誰もが知る有名人の声をナビゲーターに起用し、まるでセレブと一緒にドライブしているかのように楽しくドライブをすることが可能。声の出演者は、日本でいう徳光さん的存在のワシリーをはじめ、ラッパーのバスタ(日本でいうZEEBRAさん)、ガーリク(くりぃむしちゅー上田さん)、ナギエフ(明石家さんまさん)、映画監督のフョードル(宮藤官九郎さん)、人気映画トランスフォーマーのコンボイの声、さらに、大手インターネット会社「ヤンデックス」の営業部長でキャリアウーマンの憧れアクサナです。
一人ひとりの話し方や誘導がとても特徴的で、どれを選んでもドライブが楽しくなること間違いなし! なかでも人気はコメディアンのガーリク。行き先を設定した途端「俺はいま飲んできちゃったから、お前が運転な!」と、なんだかガーリクを助手席に乗せたような気分にさせてくれます。曲がり角を間違えると「もー、ちゃんと見ろよなー」と愚痴をこぼされることも。コメディアンの彼らしく、ナビには至る所にユーモアが散りばめられています。
また、ロシア映画賞など複数の映画賞を受賞したフョードル監督では、行き先を設定すると、「さぁ、いまから俺が監督として導く! 一緒に新しいストーリーを創り出そう!」と言ってナビがスタート。フョードルは運転手を俳優に見立て、監督が指示するように目的地までナビしてくれます。
また「変わりネタ」として人気なのは、唯一女性として収録されているヤンデックスの敏腕営業部長アクサナです。ロシアメディアでも強気なキャラクターとして有名なのですが、ナビではそんな彼女にガンガン指示されます。「速度制限よ。私が言うのだから、必ず守りなさい」と、実際に彼女の部下になったような指示が。目的地に到着した暁には「あら、あなたでも到着できたじゃないの」と、お褒めの言葉をもらうことができます。
スターウォーズにオンラインゲーム! アップデートしたくなる仕掛け
本製品は2017年末にスターウォーズとのコラボレーションを発表。なんとヨーダかダース・ベイダーに道案内してもらえるのです。また、現在地を表す矢印もXウイングなどの宇宙船に変更が可能。
ひとつひとつの表現も期待通り、ユニークに仕上がっています。「ヨーダバージョン」では行き先を入れると「わしについてこい。若き者よ!」、オービスの前では「気をつけろ、帝国にスピードを見張られているぞ!」、道路工事については「シスたちが道を掘っているようだ」と言ってくれます。一方、ダース・ベイダーでは行き先を登録すると「ダース・ベイダーはお前を待っていたぞ」、「スーパースターデストロイヤーは軌道に乗った」という声が聞こえてきます。スターウォーズのファンにとってはたまらないでしょう。
最新のアップデートでは、戦車を扱った参加型オンラインゲーム「World of Tanks(ワールドオブタンクス)」とコラボレーション。現在地を表す矢印のカーソルの代わりにТ-34-85など、ゲーム上で人気の戦車5台が表示されます。道路工事に差しかかると「対戦車障害物を避けろ」オービスが近づくと「スナイパーに狙われているぞ! 気を付けろ!」など、ナビ上で「World of Tanks」の世界を楽しむことができます。
有名人やコメディアンの声を起用することだけでもユニークですが、それだけではなく、ひとつひとつの表現までもそのキャラクターや作品に合わせる徹底ぶりがユーザーを楽しませています。遊び心溢れるシステムアップデートもユーザーを飽きさせることはありません。オリジナリティ満載のアイデアで、ダウンロード数を着々と伸ばしています。