2016年、およそ半世紀ぶりに文民政権が誕生したミャンマー。民主化により様々な分野に外資が流入し、経済が飛躍的に発展。都市部で中流層が成長するなか、18年で特に目に付いたのはサービス産業の発展でした。
1:アパートの1室を改造したミニジムがブームに
ここ数年、ミャンマーのヒット商品、サービスに共通するポイントのひとつがヘルスケア。朝の公園でウォーキングする市民が増え、塩分や脂分を控えた飲食店が勢力を広げつつあります。特に目立ったのが小規模フィットネスジム。15年ごろまでは在住外国人や富裕層をターゲットとする月会費100ドル以上の高級ジムが中心でしたが、最近では住宅密集地に建つアパートの1室を改造したミニジムが増えています。
現在のヤンゴンでは1ブロックに1軒ジムがあるといってよいほどです。ミニジムは機器がせいぜい5〜10台くらいまで。シャワールームはないか、あっても1室。しかも温水がないことも少なくありません。それでも月会費は10ドル程度~と庶民も手が届く設定。運営も若い企業家が多く、共同出資した若者たちがタイで機器を買い付け、陸路で運ぶなど経費削減の工夫をしているようです。
庶民向けジムのヒットの理由には、雨季の雨があるかもしれません。東南アジアの雨季といえば、毎日数時間のスコールが一般的ですが、ミャンマーでは激しい雨が1日中降る日も多く、その状況が1年の半分近くを占めるのです。そのため、屋内運動できるジムの需要が高いと言えます。
2:アルコールを販売する24/7のコンビニ
ミャンマー経済の大きな変化の一つとして「コンビニエンスストア」の急増も外せません。欧州商工会議所が分析した18年のミャンマー消費者動向ガイドもコンビニの急増に言及しています。ヤンゴンに最初のコンビニが誕生したのは2011年。毎年、店舗数を増やしていましたが、18年に激増。大通りでは数メートル間隔で各チェーンのコンビニが軒を競うエリアもあります。
ミャンマーのコンビニは小店舗が多いことが特徴。細い棚を真ん中に設置し、人がすれ違えないほどの細い通路が棚の左右にあるだけの店も結構あります。取り扱われているものはドリンク、パン、菓子、インスタント食品、洗面道具など。惣菜類は少ないのですが、たいていの店にアルコールがあります。ミャンマーには昔からコンビニと同じくらいの広さと品揃えの「町の雑貨屋さん」が多かったのですが、24時間営業で店内が整理されたコンビニは、その発展系とも言えます。ただし、雑貨店の多くは販売ライセンスの取得が難しいアルコールは扱っていませんでした。コンビニの増加はアルコールが買いやすくなったことを意味します。
仏教徒は戒律上、お酒を飲めません。敬虔な仏教徒が多いタイではアルコールの販売時間を制限し飲酒を規制しているほど。ミャンマーはタイ以上に仏教への帰依度が高く敬虔さゆえ、飲酒人口も少なく規制の必要がなかったと言えます。しかし、コンビニの激増で買いやすくなり、酒が起因のトラブルも増えつつあるようです。数年内にタイ並みの規制が敷かれるかもしれません。
3:ウェディング撮影に遠方へ旅行。いずれ海外へも?
ミャンマーではここ数年、国内旅行ブームが続いています。そんななかヒットしたのが「ウェディング写真の撮影旅行」。ミャンマーの結婚式は、式前に撮影した写真を披露宴会場入口に飾る習慣があります。これまでも公園やお洒落なレストランなどで、タレント顔負けに作りこんだ撮影を行ってきました。それをカローやピンルーウィンといったロマンチックな観光地で撮影隊と出向き撮影するのが流行しています。
海外旅行できる層はまだ限られますが、ここ数年、富裕層ではウェディング写真を海外で撮る人たちも出てきています。タイやシンガポールの高層ビル群を背景にすることが特に人気の様子。18年には中流層の一部でもこの動きが出てきており、数年以内にブームになるかもしれません。
まとめ
2018年のヒット商品・サービスでであるコンビニとウェディング撮影旅行は、周辺諸国でも以前に流行ったものです。ミャンマーは、周辺諸国から数年遅れで流行が入ってきますが、ミニジムヒットはこの国特有の事情がもたらしました。日本のジムがミャンマーに進出する日は来るのでしょうか?