海といえば、誰もが群青色やコバルトブルーに輝く「青色」を想像するもの。しかし、そんな海の色も変わるかもしれないと科学者が論文を発表したのです。その理由は地球規模で進む気候変動。いったい、将来の海は何色になってしまうのでしょうか?
そもそも、海が青色に見えるのは、水分子が青以外の光を吸収するから。そして海が時折エメラルドグリーンに輝いて見えるのは、海中にいる植物プラントンによるものです。植物プランクトンは緑色の色素である葉緑素を持っているため、緑色に見えるのです。だから、海面近くの植物プランクトンが多い海はより緑っぽく輝き、植物プランクトンが少ない海は青く見えるのです。
2100年までに海洋の50%以上で色が変わる可能性
植物プランクトンは海水温度によって増えたり減ったりするため、これまでの様々な研究でも海水温度の上昇により植物プランクトンが増えてきていることが報告されていました。そこで、マサチューセッツ工科大学の研究者たちは、気候変動が海中の植物プランクトンの量に変化をもたらすとして、その分布が将来どのように変化するかを調査しました。
植物プランクトンが光を吸収・反射する仕方なども総合的に判断した結果、亜熱帯地域では温暖化によって植物プランクトンのエサが減少するため、植物プランクトンが少なくなる一方、北極や南極地域では植物プラントンのエサが温暖化によって増えるので、植物プランクトンの量も増えると見られるのです。このような理由で、亜熱帯地域はより青色に、北極や南極周辺の海域はより緑色になると予想できることがわかりました。海水の温度が2100年までに3度上昇するなら、海洋の50%以上で色が変わるとも研究者たちは述べています。
研究者たちは、この変化が海の生態系にかなり深刻な影響を与える可能性があると警鐘を鳴らしています。ただし、この海の色の変化は人間が目で見て気付くほどではないそう。とは言え、宇宙飛行士ガガーリンが「地球は青かった」と表現したような地球の姿が、もしかしたら遠い将来には変わってしまうとしたら……。気候変動の影響を少しでも軽減できる努力を続けていきたいと思わずにはいられません。