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2019/3/18 18:00

頭が冴えない人はご用心! 「音楽と集中力」の不都合な真実

仕事中の音楽についてどう思いますか? 大方の意見は「音楽があったほうが捗る」と「音楽は気が散る」とに分かれるでしょう。では、どちらの方が本当にパフォーマンスは上がるのでしょうか? イギリスとスウェーデンの研究者たちが発表した最新の論文によると、音楽はクリエイティビティを高めるという「常識」は疑ったほうがよさそうです。

 

耳慣れた歌詞は耳障り

イギリスのランカスター大学とセントラル・ランカシャー大学、スウェーデンのイエブレ大学の心理学者たちが共同で行った人間のパフォーマンスとバックグラウンド・ミュージックの影響について調べる実験についてご紹介します。

 

実験では、外国語の歌詞がある音楽と、歌詞のないメロディーだけの音楽、耳慣れた歌詞付きの音楽の3種類で実施。被験者たちには音楽がかかっている環境のなかで3つの単語が提示され、それらにある1つのワードを付け加えて、別の単語として成立させるというテストを受けてもらいました。例えば、「dress、dial、flower」という3つの単語が提示された場合、答えは「sun」。もとの3つの単語は、「sundress(サンドレス)、sundial(日時計)、sunflower(ひまわり)」となります。

 

この実験の結果、音楽が一切ない静かな環境下に比べて、音楽がかかっているとテストの結果が悪いことがわかりました。特に耳慣れた歌詞付きの音楽については、クリエイティビティを著しく害するとわかったのです。言語性ワーキングメモリが、音楽によって阻害されると考えられるわけです。

 

ちなみに、音楽なしの静かな環境と、図書館で聞こえる物音については、この実験では違いが見られませんでした。

 

音楽よりもマインドフルネス

確かに何かに集中しているとき、日本語の歌詞がメロディーで流れてきたり、ラジオで日本語の会話が耳に入ったりすると、思考が邪魔されるように感じる方もいるかもしれません。

 

この実験結果から言えるのは、仕事中に音楽をかけるのは必ずしも有効ではないということ。もし音楽をかけるなら、外国語の歌詞の音楽か歌詞のないメロディーだけの曲の方がいいでしょう。集中する必要があるのなら、本当に静かな環境がベストだと言えます。

 

BGMやラジオをかけているオフィスとそうでないオフィス、ヘッドホンやイヤホンで個々に音楽を聴いてもよいオフィスなど、様々な職場環境があるでしょう。しかし、音楽を聴いているのに頭が冴えないという方は一度反省してみたほうがいいかもしれません。自分のパフォーマンスが最大になるにはどんな環境がいいのか、音楽の種類を変えるなどしながら、いろいろと試してみてくださいね。