家で犬を飼っている人に共通することは何でしょう? 犬が好きということはもちろんですが、それ以外にどうやら「犬を飼う」ことに関係する遺伝子が存在するようなのです。人が「犬を飼いたい」と思う心は、遺伝子の働きによるものなのかもしれません。
2人とも犬を飼っている双子は一卵性双生児が多い!?
人が家畜として犬を飼うようになってから、およそ1万5000年が経つと言われており、従順な犬は人にとって最も身近な動物のひとつです。そんな犬について、犬を飼うことと遺伝子の関係性について着目したのが、スウェーデンのウプサラ大学やイギリスの科学者たち。彼らは双子が登録されている世界最大の機関であるスウェーデン双子レジストリーのデータを使用して、双子の遺伝子の関係と犬を飼っているかどうかを調査しました。双子については、2006年時点で生存している1926年から1996年生まれの人を対象にデータを収集。さらに国の飼い犬登録制度で2001年から2016年に登録されたデータと参照しました。
その結果、8万5542人の双子のうち犬を飼っている人は8503人でした。そのなかで一卵性の双子は二卵性の双子に比べて、双子のどちらも犬を飼っている確率が高いこともわかったのです。
二卵性双生児は2つの別々の受精卵が子宮の中で育つため、遺伝子は50%が共通すると言われている一方、1つの受精卵が2つに分かれた一卵性双生児については、ほぼ100%同じ遺伝子を持っていると言われています。
つまり、 遺伝子が共通する一卵性双生児のほうが2人とも犬を飼っているケースが多いということは、犬を飼うことに関連する遺伝子の存在があるのではないか、ということなのです。
人はなぜ動物を飼うのか?
研究チームでさえも驚いたというこの結果。海外メディアでも話題になっています。ある特定の遺伝子が、犬をかわいがって犬のお世話をするという人間の特性に影響を与えているのかもしれません。今回の調査では、具体的にどの遺伝子が犬を飼うことに関連しているのかは不明。そのため、研究者たちの次の目標は犬を飼うことに影響を及ぼしている遺伝子を特定することだそう。
どのようにして、そしてなぜ人は動物を飼うようになったのか? 動物を飼うことに関する最も根本的で、まだわからないことだらけの問題が少しずつ解明されようとしています。
Tove Fall, Ralf Kuja-Halkola, Keith Dobney, Carri Westgarth & Patrik K. E. Magnusson. Evidence of large genetic influences on dog ownership in the Swedish Twin Registry has implications for understanding domestication and health associations. Scientific Reports