8割以上のユーザーが女性
2019年に独立調査機関が同アプリのユーザーを対象に実施したユーザー属性調査では、回答者611名のうち女性が85%、男性が13%でした。平均年齢は49.5歳。このようなユーザーたちが個人同士で使用体験や関連情報を共有することで、ブランドロイヤルティが高まるだけでなく、情報発信に熱心なユーザーはToo Good To Goを口コミで広めるというブランドアンバサダー的な役割も果たしています。
公式サイトは利用対象の14か国それぞれの言語に対応し、各国のお国柄に合わせて異なる内容を配信。消費者目線で、「食材を無駄にせず料理するコツ」などといった営業要素のない、食品ロス関連のコンテンツをブログやビデオ、ポッドキャストといった幅広い媒体で発信しています。
消費者に寄り添ったマーケティングが奏功してか、Too Good To Goは各国で飲食関連アプリランキングの上位を飾り、イギリス国内だけでも、競合アプリの「Karma」や「Olio」「FoodCloud」などに対して利用者数で大きく差をつけています。
共同創始者でCEOのMette Lykke氏は、デンマーク出身の38歳の女性。昨年、同国で開催されたWorld Food Summitでは「問題を発見したら解決策を突き止め、世界中に広めることに一生を捧げるのが起業家だ」と語りました。事実、同社の広報・営業活動は、食品ロスを解消するという目的で終始一貫。2020年には「7万5000社の提携企業、5000万人のユーザー数、500の教育機関に関わり、食品生産・流通に関する政策や規制を5か国で変える」という野心的な目標を掲げており、Too Good To Goの勢いは止まるところを知りません。
売れ残り食品と消費者をつなげるというコンセプトのサービスは日本にも存在し、最近では食品ロスの削減の推進に関する法律が施行されるなど、徐々に市民権を得つつあります。南イタリアでも食品ロス撲滅のために若者が中心となってムーブメントを起こしていますが、世界の食糧事情を変えようとしている若い起業家たちの活動からは今後も目が離せません。
執筆者/ 広田 理晶