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2020/4/3 18:30

「新型コロナ感染者を追跡するアプリ」が海外で話題。プライバシーの犠牲も止むなしなのか?

新型コロナウイルスの感染が世界各地で拡大するなか、各国政府は最先端技術を使って感染拡大を抑えようとしています。本稿では「自宅隔離者向けのアプリ」を利用して話題となっているポーランドと韓国、シンガポールを取り上げ、このテクノロジーの機能や問題点について概説します。

 

ポーランド: 位置情報と顔認証システムで所在地を報告

↑アプリを使えば新型コロナウイルスの感染について手軽に情報が得られるが……

 

ポーランドでは3月15日から10日間国境を閉鎖し、ポーランド国民以外は入国できなくなる措置を講じました。海外からポーランドに戻ってきたポーランド人は、外部の人と接触しないように自宅などで14日間待機することが求められています。

 

この自宅待機者に利用されているのが、ポーランド当局が開発した「自宅隔離アプリ」。このアプリでは位置情報と顔認証システムを使って、自分の所在地を知らせ、当局側はその人物が自宅にいることを確認できるという仕組みです。アプリから自撮り写真を撮影するよう求められたとき、20分以内に応じないと、警察に通報される仕組みになっており、強い強制力があることがわかります。

 

韓国: 自宅隔離エリアから離れると担当職員へ警告

韓国でも同じような自宅隔離用のアプリが開発されました。同国では新型コロナウイルスの感染者と接触した人に対して、2週間の自宅隔離が義務付けられています。そのような自宅隔離者の監視用に韓国の政府機関が開発したのが「自主隔離安全性保護」というアプリ。

 

このアプリは、自宅隔離者があらかじめ指定された隔離エリアから離れたら、本人と担当職員の両方に警告メッセージが送信される仕組みになっています。また、アプリを通して症状を担当職員に報告し、体調に変化があったときにもすぐに連絡がつくようになっているのも特徴のひとつ。

 

韓国では、感染が確認された人物が宗教団体の集会に参加したことで、ほかの多くの参加者に感染を広げてしまいましたが、感染者や感染の可能性が高い人への監視に厳しい目を向けているようです。

 

シンガポール: 濃厚接触者を追跡

一方シンガポール政府が開発して無料配布を始めたアプリは、感染者と接触した人を追跡することができるというもの。アプリをダウンロードした人同士が近くにいると、電話番号を暗号化したデータがBluetoothで互いのスマートフォンに記録されるというもの。もし新たな感染者がわかったら、その人のスマホ上にあるデータを解析して、濃厚接触した人を洗い出すことができるのです。

 

感染が確認された人には、濃厚接触した人に関して聞き取り調査を行っていますが、感染者の記憶に頼ったもので漏れが生じてしまうこともあったそう。このアプリの利用は強制されませんが、多くの人が使うことで自分の身をいち早く守ることができると期待されています。

 

ビッグデータと監視社会

これらのアプリは自宅の所在地といった位置情報や、健康、顔写真といった個人情報を膨大に収集し分析しているため、プライバシーや監視社会への懸念も拭い切れません。新型コロナウイルスがパンデミックとなった現状では、プライバシーよりもウイルスの感染対策に重きが置かれるのは当然といえば当然かもしれませんが、海外では市民のプライバシーが危険にさらされることに関して識者の間で盛んに議論されています。これらのアプリは強制ではなく、利用するかどうかは個人の判断に委ねられています。あなただったらどうしますか?