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2020/6/4 18:30

もはや新たな福利厚生! 「メンタルヘルスアプリ」が英国企業で大人気

昨今、世界中で流行しているマインドフルネス。日々の生活に瞑想やヨガなどを取り入れているビジネスパーソンもいるでしょう。イギリスでは現在、新型コロナウイルスに最前線で戦う医療従事者のメンタル面をサポートするアプリが注目されています。そこで本稿では、イギリスのメンタルヘルス・ベンチャーを紹介しましょう。

↑イギリスで人気のメンタルヘルスアプリの1つ「Unmind」(写真提供: Unmind)

メンタルヘルス・ベンチャーとは「ウェルネス×テクノロジー」を軸に、個人や企業にサービスを提供するベンチャー企業のこと。インストラクターが企業を訪れてワークショップを行う訪問型やセミナーは以前からありましたが、最近ではスマートフォンアプリを利用した、より手軽なサービスに注目が集まっています。

 

メンタルヘルスアプリは、時間や場所を気にせずに隙間時間を活用しながら、自分のコンディションや進歩の度合いを見える化してくれる点が特徴。1度やったら終わりではなく、自分が強化したい部分を繰り返しトレーニングできることも大きなメリットです。このような特徴を持つメンタルヘルスアプリは個人と企業の両方のパフォーマンスを向上させることから、新しい福利厚生として注目を集めています。

 

例えば、マインドフルネス・アプリの大手である「Headspace(ヘッドスペース)」は、脳科学に基づき開発されたビジネスパーソン向けの瞑想アプリです。これは無料動画配信サービスのTEDトークでも有名な元僧侶のアンディ・プディコム氏らが2010年に立ち上げました。

 

このアプリでは、人間関係やパフォーマンスの改善など目的別に瞑想を学びます。ユーザーは可愛いキャラクターに案内されながら、ゲーム感覚でステージをクリアしていく仕組み。無料で始めることができ、気に入ればサブスクリプション。すでに世界中で6500万ダウンロードを達成し、世界中で600社以上が取り入れているそうです。

 

このようなアプリに共通しているのは、ストレスに負けず心を鍛えるメンタルジム的な側面が強いこと。2020年初めに800万ポンドの資金調達が報じられた企業向けアプリ「Unmind(アンマインド)」は、心のコンディショニングを打ち出しています。このアプリでは、筋トレや栄養管理と同等にメンタルを扱い、さまざまな状況に対して柔軟に立ち向かうためのマインドを身につけることを目指します。睡眠の質・幸福度・穏やかさ・つながりといった項目が数値化されるのも新鮮。John Lewis(ジョン・ルイス)やMADE.com(メイド・ドットコム)など、イギリスの大企業をクライアントに抱えており、世界50か国以上で利用されるようになりました。

 

医療従事者のメンタルサポート

↑Unmindの創業者たち(写真提供: Unmind)

 

また英国では、新型コロナウイルス感染者のサポートに日々奮闘中の医療従事者向けに、政府がメンタルヘルス・アプリを無料提供するというニュースが報じられたばかりです。未曾有の状況下、政府は最前線で奮闘する医療従事者にマインドフルネス・メンタルトレーニング・睡眠改善・不安と緊張対策という4つのポイントを押さえた「Headspace」「Unmind」など4社のアプリ・サービスの無料提供を開始しました。

 

多くの医療従事者はストレスの高い環境での激務が続き、睡眠もろくにとれず、精神的に辛くてもカウンセリングを受ける時間もありません。そんな人たちの負担を少しでも軽くするための措置として、国がこれらのサービス導入に踏み切ったことは注目に値するのではないでしょうか?

 

プライバシーも大丈夫

しかし、ここで気になってしまうのが個人情報保護の問題です。組織で利用する場合、ストレスを吐き出したくても社内に知れてしまうかしれないと思うと、なかなか正直になれないかもしれませんよね。睡眠時間やその日の気分といったデータが共有されてしまうことに、抵抗を感じる社員も少なくないと思います。

 

こういった不安を取り除くため、アプリ開発では匿名性を重視。企業側にユーザー情報が漏れないシステムを徹底させています。このような仕組みは英国で現在注目されている10代向けメンタル・ヘルスアプリにも見られ、若者向けの使い勝手のよさに加え、名前を知られることなくお互いをサポートし、専門家に悩みを相談できることが最大のポイントとなっています。

 

テレワークやオンライン学習など、通常であれば今後10年はかかると思われた職場や学校などの環境変化が現在、急速なペースで進んでいます。癒しやセルフケアから1歩進んだメンタルケア・アプリを活用した企業ぐるみのケアは、変化が進む新たな時代のビジネス界において必須サービスになるかもしれません。誰もが日々の空き時間の多くをスマホに費やしているのであれば、社員が1日のうち数分でもメンタルケアを体験できるように、企業が導入を検討するのも一案ではないでしょうか?

 

執筆/ネモ・ロバーツ

 

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