2023年以降、テクノロジーはさまざまな分野でどのように発展にするのでしょうか? 世界のエリートたちが出席するダボス会議を運営する世界経済フォーラムがまとめたレポート(※)を抜粋しながら、未来の姿を探ります。
※ Saemoon Yoon. 17 ways technology could change the world by 2027. World Economic Forum. 10 May 2022. https://www.weforum.org/agenda/2022/05/17-ways-technology-could-change-the-world-by-2027/
Web3.0の時代へ
1990年代、インターネットが普及し始めた初期にあたるWeb1.0は、発信する側と受信する側が固定された限られた人でした。それから、高速で通信できるようになり、2000年代半ばころから誰もが自分で発信できるようになっていったのが、Web2.0 と呼ばれる時代です。しかし、現在の主流のかたちであるWeb2.0は、利用するのに個人情報の入力の必要がありましたが、分散型インターネットと呼ばれるWeb3.0ではブロックチェーンなどの技術を活用して情報を分散管理するため、個人情報漏洩のリスクが低くなりセキュリティが向上すると考えられます。オンラインでの各種取引が一般的になってきた現代では、Web3.0がスタンダードになっていくと考えられます。
AIによって教育が劇的に変わる
インターネットの普及によって、遠方に暮らす子どもがオンラインで教師とつながることも可能になった現代。ここにAIの技術が加わることで、教育そのものに対する考えが一新されると言われています。例えば、子どもが学習している内容を基に、理解しているコンテンツや興味を持っている分野に合わせて、次の学習内容を提示。子どもたちはより効率的に学習できるようになるかもしれません。
また、教師や保護者にとってもAIは良い影響をもたらすと言われています。AIのアドバイスをもとに、子どもへ的確に学習のサポートを行い、煩雑なタスクを機械に任せることで、より子どもと向き合う時間を捻出することが可能になるでしょう。学校や家庭での教育のあり方も、これまでの常識とは変わっていくかもしれません。
アパレル製品の製造期間を劇的に短縮
イノベーションはアパレル業界にも大きな変革をもたらすと考えられます。これまでアパレル業界で課題だったのが、過剰な生産による大量の廃棄・返品が生まれていること。製品が余るとセールで値下げして、利益率が低下することになり、メーカーにとってうれしいことではありません。これを解決するためには、オンデマンドで必要な分だけを生産できれば良いのですが、現在の製造モデルでは、注文から実際に製品ができあがって販売するまでに数か月の時間がかかるうえ、近年ではサプライチェーンの混乱も問題に。しかし、これからは実際のサンプルを制作する必要がない3Dモデリングや、パターン(型紙)を作る工程が不要な3Dプリンターの導入など、アパレル製品の製造にデジタルテクノロジーを活用すれば、数か月かかっていた製造の期間を大幅に短縮できると考えられています。必要な分だけを短期間で製造することで、不要な廃棄を減らし、サプライチェーンでの温室効果ガス排出量の削減などにもつながると期待できます。
不妊治療にAIを活用
さまざまな分野で活用が始まっているAIは、不妊治療にも活用されていく模様。2030年までに不妊に悩まされいる人は、世界で10億人以上に上っていると予測されています。そして、不妊治療で一般的に行われる体外受精は、コストが高いうえ、何度も試みることになると、治療を受けるカップルにとって大きな負担となります。そんな体外受精へ進むときの意思決定が、医師の判断に依存しているなか、AIの力を借りようというのです。さまざまな条件から、どのような治療法が最適なのかをAIが判断しアドバイスすることで、より成功率が高まり、治療を受けるカップルの負担を減らせる可能性があるのです。
先進国はもちろん、途上国の経済発展にも欠かせないこれらのテクノロジー。ひと昔前にはインターネットが存在しなかったのに、今日ではスマートフォンを使って、誰もがいつでもネットにアクセスできるようになり、生活スタイルが一変しました。それと同じように、今後も各種のテクノロジーが私たちの生活を大きく変えていくことになるのは間違いないでしょう。