米ニューヨーク市警(NYPD)が、数年前に運用を中止した犬型ロボット「デジドッグ(Digidog)」を再導入することが明らかとなりました。
ニューヨーク市長のエリック・アダムス氏は、火曜日の記者会見でこのニュースを発表し、市内でデジドッグを使うことで「命を救える」と述べています。
デジドッグ(通称Spot)は米ボストン・ダイナミクス社製のリモート操作ロボットです。人間にとって危険な状況での作業を想定しており、すでに工事現場での見回りにも役立っています。しかし、2020年末にNYPDがレンタルして立てこもり事件などに投入したところ、市民から警察の軍事化が進むなど批判を浴びることに。もともと契約期限は2021年8月でしたが、4月には前倒しで契約が打ち切られていました。
ニューヨーク市の非営利組織「監視技術監視プロジェクト(Surveillance Technology Oversight Project)」は、「NYPDは悪いSFをひどい監視に変えた」と批判。デジドッグを「模造品のロボコップ」と呼び、公金をムダ遣いして市民のプライバシーを侵害するものだと述べています。
かたやニューヨーク市当局は、NYPDが総額75万ドルで2匹のロボット犬を運用し、爆弾事件など命に関わる状況の時のみ使うと声明を出しています。
市民団体らがデジドッグに反発しているのは、カメラ付きロボットがプライバシーと公共の安全に悪影響を与えるかもしれないとの懸念からのようです。デジドッグが武装された例はまだなく、仮にそうするとボストン・ダイナミクス社の利用規約に反することになります。
そうした懸念を受けて、NYPD本部長はデジドッグを「透明性かつ一貫性をもって、常に我々が奉仕する人々との協力のもとで」運用すると述べました。さらに、顔認識技術を使うこともないと付け加えています。
どうやら市民がデジドッグに拒否反応を示した理由の一部は、犬とは似ても似つかないルックスにもあるようです。とはいえ、警官の命を危険に晒さず、事件現場の情報を集める必要もあるはずであり、プライバシー保護とのバランスが守られるよう祈りたいところです。
Source:The New York Times