米国ミネソタ州南部で、がんにかかる人が続出し、死亡する人まで出ている地域があります。「キャンサーロード(がんロード)」と呼ばれるこの場所で一体何が起きているのでしょうか?
ミネアポリスから南に約150km弱。がん患者が多いのは、わずか3kmほどの1本の道路沿いのエリア。ここでがんにかかったのは4世帯12人。7人は死に至っています。20歳の若さでがんになった人もいて、乳がん、大腸がん、血液のがんなど、かかったがんの種類もさまざまです。
この原因として住民が疑っているのが、この地域の農地で使われている化学肥料。そこに含まれる硝酸塩が、川や池、井戸などに流れ込んでいるのではないかと言われているのです。実際、乳がんや大腸がんなどは、これまでの研究で硝酸塩と関連があると指摘されています。
また、この地域があるミネソタ州の隣に位置するウィスコンシン州では、卵巣がん、直腸がん、膀胱がん、腎臓がんなどの298の症例について、飲料水に含まれる硝酸塩が原因であると示唆する研究結果も発表されています。
実際、ミネソタ州のキャンサーロード周辺にある井戸の飲料水では、硝酸塩の含有量が安全値を超えているのだそう。
米国では、1974年に「飲料水に含まれる硝酸塩の制限値を1リットルあたり10mgとする」法律が制定されていますが、新たな研究で、1リットルあたり5mgでもがんのリスクが増加することが明らかになりました。
これ以上の健康被害を出さないためにも、早急な分析と対応が求められているようです。
【主な参考記事】
New York Post. Life and death on ‘Cancer Road’: Why is ‘every family’ suffering on this 2-mile stretch? September 27 2023