豪の海岸で160頭のクジラが打ち上げられる。地元住民が救出作戦決行

ink_pen 2024/4/26
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豪の海岸で160頭のクジラが打ち上げられる。地元住民が救出作戦決行
佐藤まきこ
さとうまきこ
佐藤まきこ

大学時代に細胞培養の研究を専攻した後、メディア・広告の世界へ。雑誌編集者や広告のプランナー、コピーライターとして長年経験を積み、フリーランスのプランナー、エディターとして活動中。ハワイ、オアフ島在住。Instagram: @hawaii_milestone

まるで網にかかった魚の群れのように、何頭ものクジラが重なるように波打ち際に集まった……。そんな異様な光景が先日、オーストラリアで見られました。

↑波打ち際に打ち上げられたゴンドウクジラ(画像提供/ABC News/YouTube)

 

西オーストラリア州パースの南部にある海沿いの街、ダンズボロー。その海岸に、数多くのゴンドウクジラが打ち上げられていたのです。その数は、なんと160頭。

 

波打ち際に連なるように何頭もクジラが集まり、沖に戻ろうと必死に尾を水面に打ち付けるものもいれば、体力が奪われてしまったのか、大人しくただ横たわるものもいたり……。目撃した住民は「本当に圧倒的だった。そして混乱してしまった」などと語っています。

 

クジラが陸上で生き延びられるのは、6時間ほどだそう。それまでにクジラを海に戻さなければなりません。そこで、州の公園野生動物局が出動。地域の住民も加わって、クジラを海に戻す救出作戦が決行されたのです。

 

クレーンを使って、クジラを吊り上げて運び海に戻したり、まだ波打ち際にいるクジラは住民がクジラの身体を押して沖の方へ促したり。クジラの鼻の穴(噴気孔)をきれいに保ち水をかけるとダメージが少ないそうで、子どもが一生懸命に噴気孔に水をかけてあげたり。大人も子どもも、女性も男性も、たくさんの人が集まって、クジラの救出を行ったのです。

 

その結果、少なくとも28頭は残念ながら死んでしまいましたが、130頭は海に戻されたそうです。

↑打ち上げられたゴンドウクジラを救出する地元住民(画像提供/ABC News/YouTube)

 

しかし気になるのは、なぜこのクジラが集団で打ち上げられてしまったかということ。救助活動にも加わった海洋環境研究グループのメンバーは、ゴンドウクジラの社会性が関係しているとみています。というのも、ゴンドウクジラは群れの仲間が病気やケガになったときに、互いに気配りをみせることがよくあるそう。

 

今回打ち上げられたクジラのなかには生まれたばかりの赤ちゃんがまぎれていたそうで、この赤ちゃんクジラが海岸近くでなんらかの危機に見舞われ、それを助けようと仲間のクジラも集まって、こんな事態に発展してしまったのかもしれないと言います。

 

過去に、スコットランドで50頭以上のゴンドウクジラが打ち上げられたことがありましたが、その際は多くのクジラを助けることができませんでした。西オーストラリア当局では、今回海に戻したクジラが再び浜に打ち上げられないか、しばらく監視していくとのことです。

 

【主な参考記事】

CNN. ‘The final result was good’: 130 whales rescued from mass beach stranding in Western Australia. April 25 2024

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