雑貨・日用品
2018/1/26 10:00

みんな大好き東急ハンズの7つの「意外と知らない」――渋谷店の不思議な店内構造には理由があった

1976年に誕生し、日本人の暮らしを豊かにしてきたご存知、東急ハンズ。「ここは、ヒント・マーケット。」のスローガンにある通り、生活における様々なヒントを持つ商品が売られています。実は今年は渋谷店がオープンして40周年となる年でもあります。そこで今回は、東急ハンズにまつわる「意外と知らない」を聞いてみました。

 

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↑東急ハンズ広報グループの芳賀正晴さん。東急ハンズの売場はもちろん、さまざまな部署を経て現在は広報を担当

 

 

【意外と知らないその1】

東急ハンズは「東急百貨店」と同系列ではなく「東急不動産」の系列

――東急ハンズと言えば、渋谷店が有名です。一方、渋谷には東急百貨店という大きなデパートもあります。どんな関係があるのでしょうか?

 

芳賀正晴さん(以下:芳賀) 時々、東急百貨店の子会社なのかと尋ねられることがあります。もちろん東急百貨店とは同じ東急グループの企業ですが、東急ハンズは東急不動産系列の会社になります。もともとは現在の東急ハンズ渋谷店がある土地を東急不動産が取得した際、その有効利用を考える中で生まれた新規事業が、東急ハンズだったのです。

 

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↑渋谷の東急百貨店本店にほど近い、東急ハンズ渋谷店ですが、実は東急不動産の系列会社です

 

 

【意外と知らないその2】

東急ハンズ渋谷店がある場所は、元々教会が建っていた!

――その東急不動産が取得したという現・渋谷店の土地ですが、もともとは何があったのでしょうか?

 

芳賀 現在渋谷店がある場所には、もともと木造3階建ての聖パウロ教会がありました。教会は1951年に建てられたもので、老朽化したために移転し、仲介業者を通じて東急不動産がその土地を取得しました。当時はいまのように賑やかな場所ではなく、教会のほかには古い建物があるだけで、特に用事のない人が訪れる地域ではありませんでした。

 

その場所をどうやって有効利用するか、当時、東急不動産は模索しておりました。ホテル・飲食・物販の複合施設を作るという計画もあったようですが、ちょうど同じころに、DIYという概念がアメリカから伝わってきました。東急不動産では検討を重ねた上で「こういう新しいことを、この渋谷から発信したら良いだろう」と、東急ハンズの構想が考え出されたというわけです。

 

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↑東急ハンズ渋谷店がある場所には、かつて聖パウロ教会がありました。もちろん、当時の宇田川町界隈は、買い物に訪れるような場所ではありませんでした(「手の復権 ~東急ハンズ20年史~」より転載)

 

 

【意外と知らないその3】

東急ハンズ1号店は渋谷店ではない

――東急ハンズの資料を見ると、渋谷店よりも前に藤沢店というものが存在したようです。

 

芳賀 はい。渋谷店を作るにあたり、まず試験的に1976年に神奈川の藤沢に1号店を開店し、翌年には二子玉川にも開店しました(現在はどちらも閉店)。渋谷店のオープンはその後の1978年のことで、実際には3店目の店舗です。東急ハンズ店舗の運営方法などを藤沢店と二子玉川店で試行錯誤し、そして渋谷店の開店に至ったというわけです。

 

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↑東急ハンズのハンドロゴも、当初はいくつものプロト版が制作されたようです。このことからも、創業当初から綿密なコンセプト作りが行われていたことが伝わってきます(『手の復権 ~東急ハンズ20年史~』より転載)

 

 

【意外と知らないその4】

東急ハンズ渋谷店の不思議な構造にはこだわりの理由があった

――その渋谷店なのですが、何度行っても「今、何階のどこにいるのか」が一瞬わからなくなるような不思議な構造です。この理由はなんだったのですか?

 

芳賀 取得した土地がL字型でしかも傾斜地でしたが、そこを有効的に利用したい。しかも買いまわりの良いフロア構成にしたいというのが大きな理由でした。各階をA、B、Cのエリアに分けそれぞれに高低差をつけて、上りの場合1階A→B→C→2階A・・・と、エレベータを中心にらせん状に店内をグルグル回っていただくというイメージで作られています。

 

スキップフロアという概念なのですが、フロアの構成をらせん状にすることで店内の上から下までを容易に見ていただくことができます。

 

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↑東急ハンズ渋谷店のスキップフロアも、当時としてはかなり斬新な試みでもありました

 

 

【意外と知らないその5】

東急ハンズは出張版店舗がある

――その渋谷店の成功は言うに及びませんが、以降、全国各地に店舗を増やし、現在は海外にも東急ハンズがあるそうですね。

 

芳賀 現在はシンガポールに3店舗の東急ハンズがあります。シンガポール人は親日家が多く、日本製の商品はとても好まれており、特に文具・キッチン用品などは好評です。

 

――また、日本国内で見ると、街の商業施設に小さな東急ハンズが出現することもあります。これは何なのでしょうか?

 

芳賀 トラックマーケットといいます。東急ハンズで人気の商品をセレクトし、各商業施設のイベントスペースなどに期間限定で出店するフレキシブルなものです。お客さまにとってみれば突然東急ハンズがその商業施設に現れて、突然いなくなるので不思議がられることも結構あるようです。

 

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↑シンガポール店の様子。東急ハンズがセレクトしたキッチン用品とステーショナリーが人気のようです

 

 

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↑商業施設に期間限定で出現する、“出張・東急ハンズ”とも言うべきトラックマーケット。去っていくときは「このまま東急ハンズ、続いてくれないの?」と言われることもよくあるそうです

 

 

【意外と知らないその6】

東急ハンズには専門知識を伝承する養成所がある!

――東急ハンズの人気の一つは、やはり充実した品揃えにありますが、数多くの商品の知識をスタッフの方はどのようにして得られるのでしょうか。

 

芳賀 今では世代交代で入れ替わっていますが、開業当初は専門職の方が転職で東急ハンズに入社されることが多かったので、各分野の知識が豊富でした。現在では、先輩スタッフからも伝承はされていますが、もっと確実に基礎知識が得られるように、東京、大阪、博多に「ヒントハウス」という研修施設があります。

 

例えばキッチン用品、さまざまな種類の鍋がある中で、どうやって使い分けるか、材質の違いが料理にどう影響するのかなど、実際にスタッフが使い比べて実体験で知識を得るというものです。そうすれば、お客さまからお尋ねいただいた際、「私も使ったことがあるのですが、そういう場合は、こちらの鍋のほうが・・・」と実体験を交えて説明する事ができます。

 

この研修を何度か重ねていくことで、商品の知識が積み重なっていきます。この知識はお客様へご説明するためだけでなく、本人の自信にもつながっています。

 

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↑スタッフはヒントハウスで各商品の機能などを実体験で覚えていくそうです。もちろん研修した以外の商品も自分で勉強しているので、「わからないことがあれば、お気軽にスタッフにお声がけ下さい」とは芳賀さんの弁

 

 

【意外と知らないその7】

東急ハンズでは年に1度、全店でセールを実施している!

――東急ハンズではセールもあるそうですが。

 

芳賀 「ハンズメッセ」というセールですね。アパレルのセールとはタイミングが違うので東急ハンズはセールをやらないイメージが強いかもしれませんが、年に一度、かなりのお値打ち商品を販売するセールがあります。今年はまだ決まっていませんが、例年で言うと8月ごろになります。目利きバイヤーの知識を基に、掘り出し物、お値打ち物などをご用意し、店舗によっては大きな催事場を借り切ったり、売場の通常品スペースを大きく割いてセールを実施します。会社を挙げてのセールなので、毎年お祭り騒ぎのようです。

 

――まさに至れりつくせりの東急ハンズですが、最後に東急ハンズがよくお客さんから間違えられることってどんなことでしょうか?

 

芳賀 これは地方店舗で特によくあることなのですが、東京から進出した企業というイメージのためか、「東京ハンズ」と言い間違えられることはすごく多いです。あと、電話口で「東京飯店」と聞き間違えられることもあります(笑)。

 

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↑年に一度のセール「ハンズメッセ」は、東急ハンズならではの「良い品をお値打ちの価格で!」買える大チャンス。実施時期は例年で言えば8月ごろのようなので、今後の東急ハンズの情報を細かくチェックしてみてください

 

渋谷店の開店から実に40年、常に生活に密着し、各分野の優れた商品を展開する東急ハンズの裏側には、こんな「意外と知らない」がありました。これからもさらに進化し続けるという東急ハンズに注目していきましょう。