雑貨・日用品
2018/3/29 16:30

まだスマホでも勝てない、「万歩計」の今と最前線。

 

歩数を計る際のスマホの盲点とは?

――長きにわたって万歩計の開発をされてこられたわけですが、万歩計自体もデジタル化が進み、近年ではスマホなども登場し、販売において苦戦されることはなかったですか?

 

山田 万歩計のデジタル化は1987年から取り組んできましたが、やがて2006年に3D加速度センサーというものを弊社の万歩計にも取り入れました。

前後・左右・上下どの方向からでも下を見て計れるし、センサー自体もすごく小さい。これを元に万歩計からさらに派生させて、活動量計という商品も販売しました。たとえば「家事をしていた」「デスクに座っていた」といった歩いていない状態であっても、総消費カロリーが計れるという画期的な商品でした。

しかし、この3D加速度センサーは同時にスマホやタブレットなどにも組み込まれていまして、特にウェアラブルによって、計数機能がすべてこういったデバイスに集約されていくのではないかと弊社も危惧したところがありましたが、現状では影響がなく、むしろ改めて万歩計はもちろん弊社の計数機の支持が高まっている状況です。

 

――どうしてでしょうか?

 

山田 やはり一番健康に気を配る高齢者の方にとって「スマホは使いずらい」ということが一番ですね。あと、たとえばスマホやスマートウォッチで歩数を計る機能があっても、従来の万歩計に比べて、正確に計れないこともあります。

さきほど言った四足歩行の動物は正確な歩数を計ることが出来ないのと同じで、近未来はまだわかりませんが、現状のスマホやスマートウォッチでの歩数機能は、歩くこととは別の振動でもカウントしてしまうことがあります。

その点は弊社が最もこだわりを持ち開発をしているところですので、現状ではスマホやスマートウォッチよりも正確な歩数を計ることが出来るのです。

あと、若い世代の方であっても、健康のために歩くとなったときにスマホやスマートウォッチを持つのは意外と大変です。女性の方ですと、スカートにはポケットがないですから、スマホを手に持って歩かないといけないわけですから。そういう意味で、従来の万歩計の支持が改めて高まっているのだと思います。

いま、弊社でヒットしているのがウォッチ万歩計という商品ですが、必ず左手首上面につけていただくことで、正確な歩数を計ることが出来ます。約30グラムと軽いですし、これはウォーキングには最も適している商品だと自負しています。

 

↑男性用、女性用とあるウォッチ万歩計。スマートウォッチでも勝てなかった、長きに渡る万歩計の知見が反映されたヒット作!

 

 

 

1日8000歩・速歩き20分でだいたいの病気は予防できる?

――山佐時計計器が推奨する「歩き方」はどんなものですか?

 

山田 弊社では東京都健康長寿医療センター研究所の青栁幸利先生監修の万歩計を販売していますが、この青柳先生が世界で初めて「1日8000歩、その中に速歩きを20分すると、だいたいの病気の予防ができます」というエビデンスを取り、発表しています。

それまではだいたいザックリと「1日1万歩歩けば良い」と言っていましたが、こういった識者の方の提唱を弊社でも採用させていただき、推奨しています。

 

――速歩きでないとダメなんですね。

 

山田 大股で速く、力強く歩くことで、心拍数が上がって体に良いわけですね。

 

――マラソンと比べてみると、どうでしょうか?

 

山田 マラソンは若い方にとっては良い運動と思いますが、高齢者の方には怪我のリスクがあります。それよりは一番安全に出来る運動……歩くこと、ウォーキングを習慣付けることで、病気予防をし、健康を保っていただくほうが良いのではないかと思っています。

 

↑青柳幸利先生が監修した最新万歩計

 

↑都内の環状八号線沿いにある山佐時計計器本社の外壁には、スローガン「歩きを楽しく」が大きく書かれていました

 

健康志向が高まる今、再注目される万歩計。その世界は奥深く、また日進月歩で進化していることがわかりました。明日からの健康管理に改めて万歩計を加えてみてはいかがでしょうか?

 

山佐時計計器公式サイト

http://www.yamasa-tokei.co.jp/

 

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