「間」にこそ美がある
――ARUNAiとは、「ありやなしや」「有無」といった意味からのネーミングなのでしょうか?
内藤 よく初対面の方には「南アルプス市の内藤家具インテリア工業の略で『アル内』です」なんて答えることもあります。覚えていただきやすいので(笑)。しかし本当のところは、解答を導き出すための“おまじない”みたいなものなんです。世の中は黒と白にだけ分かれているわけでありません。むしろ、その間のグレー部分にこそ物事の本質や人の感情があるじゃないですか? 例えば、クラシック音楽にジョン・ケージの「4分33秒」という曲がありますが、これは無音なんですね。初めて聴く人はビックリしますが、聴衆は自分なりにいろいろ考えるわけです。つまり、答えは自分の中にあるんです。
それと同じように、ブランド名には「探す楽しさ」「悩む楽しさ」「決めていく楽しさ」を一緒にお手伝いしていければという想いを込めました。お客様の心のなかに「ある」イメージを、何も「ない」スペースに創出していく。そんなコンセプトなんです。
――抽象的なお話ですが、ARUNAiの物質的な特徴は?
内藤 弊社はすべて企画から設計、製造から施工までを山梨の工場において一気通貫で行なっています。ご注文いただいてから丁寧に製作に取り掛かり、先述の通り、生産工程はリアルタイムに進捗管理し、部材類は基本0.5mm以内の精度で仕上げていきます。
また、ARUNAiは木目を通しており、壁収納の扉などには突板(つきいた)をメインに使用していることも特徴。突板は世界中で大昔からある部材で、天然木の丸太をダイコンのかつら剥きのように0.2mm~0.6mmに薄くスライスしたもの。海外のアンティーク家具などでも使われており、無垢の木材同様に木の手触りを感じられ、年を経るごとに味が出て風合いも増してきます。しかも無垢の一枚板に比べれば、お手ごろな価格です。
――ARUNAiはセミオーダーシステムなのでしょうか?
内藤 完全なオーダーメイドというより、セミオーダーと表現したほうが当たっています。無限の組み合わせができるわけではありませんが、「スタイル」「デザイン」「機能」のステージがあって、スタイルの中に「素材」「色彩」「質感」「形」「光」「動き」といった6つの造形要素を組み合わせることができますから、その方なりの個性を演出できるものと自負しております。
――ARUNAiの将来について教えてください。
内藤 これまで私どもでは、その時代ごとの「モダン」を追求してきました。現在、日本のインテリアのトレンドは、イタリアで開催される「ミラノサローネ国際家具見本市」に影響されがちなのですが、日本人なりのモノづくりのよさを提案し続け、できれば日本独自のインテリアというものを確立していきたいと思っています。実際、いまはカスタマイズされる方が多数を占めており、例えば、キッチンは奥様が、書斎はご主人が徹底してカスタマイズしたいとか、こだわりを持ったお客様がめずらしくありません。ステレオタイプに決めつけることなく、自由な発想で令和の時代のインテリアをご提案していければと計画しています。そして、将来的にはトータルコーディネートや総合的な空間デザインなども行なっていければと考えています。
内藤大二朗氏
1973(昭和48)年、山梨県生まれ。2004年、内藤家具インテリア工業株式会社に入社。在庫管理や商品出荷などを担う。2006年、父・内藤悦次氏(現会長)の跡を継ぎ、5代目社長に就任。経営と生産のIT化を精力的に推し進め、2010年、ARUNAiブランドを立ち上げ。最新技術と職人技を機能的に融合させ、“オンリーワンの感動品質”を目指す。
[ショールーム情報]
ARUNAi 東京
所在地:東京都新宿区西新宿3-7-1 新宿パークタワー リビングデザインセンターOZONE 5F
TEL:03-5322-3767 FAX:03-6279-0708
営業時間:10時30分~19時
定休日:毎週水曜日(祝日は除く)・夏期・年末年始
ARUNAi 横浜
所在地:神奈川県横浜市西区みなとみらい2-3-1 クイーンズタワー A棟 7階 711号室
TEL:045-263-6207 FAX:045-263-6208
営業時間:10時~18時
定休日:毎週火・水曜日(祝日は除く)・夏期・年末年始
ARUNAi 山梨
所在地:山梨県南アルプス市戸田字中戸田189-11
TEL:055-284-2955 FAX:055-284-2957
営業時間:10時~17時
定休日:日曜・祝日(土曜隔週)・夏期・年末年始
※お立ち寄りの際は、必ずお電話で確認をお願いします。