雑貨・日用品
2016/10/29 12:00

シンプルなチェアが部屋のアクセントに! ビギナーでも楽しめる「DIY」のはじめかた

近頃流行りのDo It Yourself=DIYとは、家具やインテリアにこだわりたいときに既製品を買ってくるのではなく、自らの手作業で作ること。ひと昔前は“日曜大工”と呼ばれる、休日のパパのお仕事でした。しかし時代は変わり、今では老若男女問わず、特に女性の間でジワジワとファンが増えており、DIYでモノづくりを楽しむ文化はどんどん広まっています。

 

ビギナー向けにDIYのコツを伝授! 買ってきた椅子をペイントしてみた

今回は、DIYへのエントリーとしてお部屋で使える「チェアのペインティング」にチャレンジ。教えてくれるのは、DIYのアイデアやハウツー、感度の高いアイテム・ショップなどDIYにまつわるさまざまな情報が集まるウェブプラットフォーム「DIYer(s)」の編集長・古川彩子さんです。

 

「まず、ベースとなるモノ選びは大切です。どんな材質で作られているのかといったポイントを踏まえてセレクトします。今回選んだのは、インターネットで探した、パイン材を使ったチェア。DIYっていうと、安い家具を買ってDIYでリメイクすれば節約できる、というイメージを持たれる方も多いと思うんですが、大量生産の安価な家具は実は表面に紙の木目調シートが貼ってあって加工しにくかったりすることも。逆に、ちゃんと本物の木材でできた家具なら何度も塗ったり直したりしてずっと楽しめるんです。DIYをするようになると、モノの材質や作りをよく見るようになって、選び方が変わりますよ。ペンキを塗る場合は、木目がフェイクでないものを選ぶのがおすすめです!」(古川さん)

↑セールで、2脚で6,000円で入手したというパイン材のダイニングチェア。シンプルなデザインの方が、カラー次第でいろいろな表情になるのでオススメとか
↑セールで、2脚で6,000円で入手したというパイン材のダイニングチェア。シンプルなデザインの方が、カラー次第でいろいろな表情になるのでオススメとか

 

ではさっそくペインティングの工程を見ていきたいところですが、その前に今回使用する工具の紹介を。基本的にはペインティングなので筆と塗料が必要になりますが、それだけではありません。

↑(左上)水性塗料(左下)オイルステイン(真ん中上)スポンジ(真ん中下)ハケ✕2(右)電動ドリル&サンダー
↑(左上)水性塗料(左下)オイルステイン(真ん中上)スポンジ(真ん中下)ハケ✕2(右)電動ドリル&サンダー

 

STEP1

最初の工程は、買ってきた椅子を分解することから始まります。

 

「細かいところまで塗るためには、やはり一度バラバラにするのがいいですね。ラフに仕上げるならこのまま塗ってもいいのですが、どちらにしても木材の表面をサンディングすることからスタートしますので、一旦分解できるものならした方が作業がしやすいです」(古川さん)

 

というわけで、最初の工程は分解からの「サンディング」。これはサンダーという工具を使い、表面のコーティング剤を削り取る作業です。ツルツルのままだと塗料が密着せず、乾くと剥がれやすくなります。できるだけ丁寧に作業しましょう。

↑サンディングは今回で一番根気のいる、地味な作業。サンドペーパーでもいいけれど、面積が広い場合は電動の方がラク。初心者さんには、もう少しコンパクトなミニサンダーがおすすめです
↑サンディングは今回で一番根気のいる、地味な作業。サンドペーパーでもいいけれど、面積が広い場合は電動の方がラク。初心者さんには、もう少しコンパクトなミニサンダーがおすすめです

 

STEP2

キレイにサンディングができたら、お待ちかねのペインティング! 好きな色でどんどん塗っていきましょう。そして塗るときのコツを聞いてみましたが……。

 

「最近の塗料はとても伸びが良くてムラになりにくいので、特に注意することはありません! 部屋の壁などは隅から塗るのが基本ですが、あまり難しく考えなくて大丈夫です」とはうれしいお言葉。「今回はお部屋のアクセントになりつつ浮かない、落ち着いたブルーを選びました。次の工程であえてアンティークっぽく加工をするのですが、ベースが赤などビビッドなカラーだと同じ加工でもヨーロピアンというよりアメリカンな印象になります。雑誌や家具屋さん、ネットなどを見て、自分の好きな雰囲気のテイストをまず見つけて、お手本にしたいお部屋にある家具の色などを参考に色選びをするといいかもしれません」(古川さん)

↑各部を塗り終えたら、風通しの良い場所などで乾燥。塗料にもよるけれど、目安は晴れの日で1〜2時間。塗料が完全に乾ききったら次の工程へ
↑各部を塗り終えたら、風通しの良い場所などで乾燥。塗料にもよるけれど、目安は晴れの日で1〜2時間。塗料が完全に乾ききったら次の工程へ

 

STEP3

そしてペイントから乾かしまで終われば完了……ではなく、むしろここからがDIYの本領発揮! 一番楽しく、やりがいのあるパートです。

 

「ベースカラーが乾いたら、サンドペーパーで角や使っていて人がよく触れるであろう部分の塗料を薄く削ります。なぜこんなことをするかと言うと、エイジング加工と言って、使い古したような雰囲気を出すためです。お部屋のテイストや好みにもよりますが、この一手間でもともと家にある古い家具などともなじみが良くなったり、最近の“シャビーシック”ブームの影響もあって、人気の手法なんです」(古川さん)

↑削り取る面積が大きいほどラフに、少ないほど上品に仕上がるので、好みで加減して!
↑削り取る面積が大きいほどラフに、少ないほど上品に仕上がるので、好みで加減して!

 

STEP4

さてさて、ここまでくれば工程はあと少しです。でも古川さん、また何かを塗り始めました。ちょっと! それって黒くなっているような……。

 

「これは『オイルステイン』といって、ペイントとは違い木目を強調したり色に深みを出せる塗料です。ダークな色味を重ねることで、より雰囲気が出ます。塗りやすいのは刷毛ですが、よりラフに仕上げたい場合は、いい感じにムラができる家庭用のスポンジがオススメ。私は塗りやすいサイズに切り分けて使っています。塗り終わったら、乾く前に布で拭き取ってください。あとは、一日しっかり乾かしたら完成です!」(古川さん)

↑ちょっと汚れた感じに見えるオイルステイン。乾くまでが待ち遠しい
↑ちょっと汚れた感じに見えるオイルステイン。乾くまでが待ち遠しい

 

STEP5

オイルステインが乾いたら、いよいよ最後の組み立てに入りましょう。分解するときに部品をなくしたりしていませんか? ネジがなくなると大変なので、あらかじめ箱などにしまっておきましょう。古川さん曰く、コンパクトな電動ドライバーが1本があれば大分DIYが楽になるとのこと。確かに、いちいち手動でネジ回しをするのは骨が折れますからね。

↑解体した時と逆の順番に、元どおりに組み立てましょう
↑解体した時と逆の順番に、元どおりに組み立てましょう

 

完成

できました!最初の画像と見比べてみてください。全く印象の違うアンティーク風の家具に大変身です。最後に、なぜこんなにもDIYが流行っているのか古川さんに聞くと、「高級なものや最新のものが最上ではなく、自分が自分らしく、心地よく暮らせることの方が豊かだと考える人が増えている気がします。DIYは、それを叶えるための知恵であり、手段の一つ。モノが多すぎるからこそ、愛着を持てるものだけを側に置きたい、という時代の気分もあるのかもしれませんね」

↑全体の仕上がりを明るいところで入念にチェックする。楽しみながらも頑張った時間が報われる瞬間。既製品では味わえない感覚です
↑全体の仕上がりを明るいところで入念にチェックする。楽しみながらも頑張った時間が報われる瞬間。既製品では味わえない感覚です

 

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Point!

今回使用した工具の中で、電動ドライバーは古川さんが特にオススメするツール。「これひとつあれば、組み立て・分解といった基本的な作業ができるので、DIYをするなら一台持っておくと便利ですよ。これは女性でも扱いやすくて、4000円ほど。今回はよりパワーのある『インパクトドライバー』を使いましたが、最初はそこまでいりません」。インパクトドライバーはさらに強力で、前後に振動して硬い素材にも打撃力を発揮するとのこと。DIY初心者のうちは電動ドライバーで腕を磨きましょう!

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取材・文=三宅隆 撮影=下城英悟

 

Profile

企画に協力してくれたのは、DIY好きのためのウェブサイト「DIYer(s)」編集長の古川彩子さん。その名の通り、「DIYする人たち」が暮らしをより豊かにすることを目的とし、情報発信の傍ら、工具片手に自らもDIYを楽しむ“未来の暮らしの提案者”です。

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「DIYer(s)」 -ディーアイワイヤーズ-
http://diyers.co.jp/

 

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