ユーミンの名曲「中央フリーウェイ」に登場する“ビール工場”といえば、「サントリー〈天然水のビール工場〉東京・武蔵野」のこと。この武蔵野のビール工場のほか、同社では京都と熊本・阿蘇でも工場見学を実施しています。うち京都工場はしばらくの間、リニューアルに向けて工事中でしたが、いよいよ改装を終え、4月15日から一般公開を再開しました。そこで筆者は京都工場を訪問。今回は見学内容の一部を紹介するとともに、東京や熊本の工場にはない、ここだけの体験もお伝えします。

この記事でわかること
所要時間約90分の工場見学ツアーに参加
京都工場へのアクセスは、阪急京都線「西山天王山駅」から徒歩で約10分。またはJR京都線「長岡京駅」からの無料シャトルバスに乗っても約10分で着きます。

工場見学の名称は、「ザ・プレミアム・モルツ おいしさ発見ツアー」。所要時間は約90分となります。到着したら、まずは見学受付の建物で10分弱のウェルカムムービーを視聴。こちらも今回リニューアルされたポイントで、“仕込”に使われる天然水を育む地元のロケーションや、工場でビールづくりに励むつくり手の思いなどが映像のメインテーマとなっています。

「つくり手等身大モニター」は京都だけのコンテンツ
次は実際の仕込みなどが行われている巨大な工場へ移動し、ビールの素材についてパネルとモニターの映像を見ながら学んでいきます。全行程には案内係のガイドが付き添い、質問などにも答えてくれます。

パネルには実際に醸造で使われている麦芽とホップも展示され、ホップは香りをかぐことができます。ちなみに、「ザ・プレミアム・モルツ」で使われているのは、欧州産の希少で硬い「ダイヤモンド麦芽」と、チェコ・ザーツ産の香り高い「ファインアロマホップ」です。

次はパネルのすぐ先にある、横幅約7.5メートルの大型モニターの前へ移動。これも新設されたものとなっており、“仕込”工程についてのムービーを視聴します。なお、製造工程の説明に加えて、つくり手が映像で登場するのもポイント。こちらは京都工場だけの見どころのひとつとなっています。これは「つくり手等身大モニター」と呼ばれ、ビールづくり細部へのこだわりを、つくり手の等身大映像を使ってリアルに伝えるもの。

「つくり手等身大モニター」は、工程別で6か所に設置。つくり手は各所3名、合計18名からランダムで登場するので、参加するたびに異なる話を聞くことができます。

“仕込”からパッケージングまで、工場ならではの臨場感を体験
大型モニターのすぐ後ろには巨大なガラス張りの仕込室があり、ここで実際の仕込に使われるタンクを見学。天然水と麦芽を混ぜ合わせ、でんぷんから糖へ分解して麦汁の素をつくる「仕込層(マッシュタン)」、麦汁のもとを煮出してビールの味に厚みをつける「仕込釜(マッシュケトル)」、麦芽の殻を取り除く「濾(ろ)過槽(ロイタータン)」、煮沸してホップ由来の香りや苦みを付与する「煮沸釜(ワートケトル)」、煮沸が終わった麦汁のなかの不要物を取り除く「沈殿槽(ワールプール)」がそれぞれ配置されています。

「仕込」の次は、「発酵」と「貯酒」。この大きな建物に隣接するようにそびえ立つ巨大な筒は、実は発酵タンクとなっており、そのサイズは1本直径6メートル、高さ20メートル。3階建てのビルが約12メートルなので、そのスケールの大きさに驚かされます。

ろ過はその名の通りですが、発酵と貯酒を経て熟成を終えたビールから、オリ(沈殿物)を取り除き、役目を終えた酵母を除去する工程。こちらは窓から室内をのぞく見学となりますが、タンクがたくさんのパイプでつながれている様子は、「いかにも工場」といった光景で、心が躍ります。

その後は新しく加わった品質管理についての紹介を見学。醸造されたビールは缶と業務用の樽に詰められ、缶は箱へと梱包されていきます(パッケージング)。ここでは三面からなる横長の大型スクリーンで流れを詳しく学び、その後は実際にフィラー(充填機)などが稼働している部屋を見学できます。


お待ちかねの試飲! 注ぎたての“神泡”プレモルを3杯まで
製造現場の見学終了後は、受付をした建物内のゲストルームへ。そう、お待ちかねの試飲です! ここでは「ザ・プレミアム・モルツ」自慢の“神泡”をじっくり体験できるのがポイント。

飲める銘柄は「ザ・プレミアム・モルツ」「同 〈ジャパニーズエール〉香るエール」「同 マスターズドリーム」が計3杯まで。なお、20歳未満の人には「サントリー緑茶 伊右衛門」や「なっちゃん」などのソフトドリンクが用意されています。

京都工場ならではのおもてなしとしては、オリジナルデザインが描かれたグラスや、京野菜を使ったおつまみ「京都 堀川ごぼうチップス」などを用意しているのがポイント。また、特別な機械で泡の表面に描かれる「神泡アート」も、独自のデザインが用意されています。

試飲に加え、ぜひ体験しておきたいのが「神泡セルフサーブ」。こちらはスタッフのレクチャーを受けながら、実際にサーバーからビールを注がせてもらえるコンテンツです。“神泡”品質でつくられたビール、それを丁寧にメンテナンスされたサーバーで注ぐとあって失敗の可能性は少ないですが、やはり極上の一杯が注げたときの感動はひとしおです。

受付やゲストルームがある建物には、入口すぐの場所に「ブルワリーショップ」が併設されているので、お土産はここでゲットしましょう。京都工場にしかないロゴグラスや、タオル、アパレルなど、限定品もたくさんあります。

ちなみに、同工場と「サントリー山崎蒸溜所」の距離は近いので(JR「長岡京駅」の隣が「山崎駅」)、運よく両方が予約できればハシゴで見学も可能です。キンキンに冷えたビールがおいしい季節も到来し、万博で関西が激アツないま、サントリーの工場見学は要チェックですよ。
【DATA】
サントリー〈天然水のビール工場〉京都
住所:京都府長岡京市調子3-1-1
アクセス:阪急京都線「西山天王山駅」徒歩約10分、JR京都線「長岡京駅」西口より無料シャトルバスで約10分
営業時間:9:30~17:00(ショップは11:00~16:45)
定休日:年末年始、工場休業日(臨時休業あり)
「ザ・プレミアム・モルツ」おいしさ発見ツアー(要予約)
所要時間:90分
参加費:1000円 ※ファミリー向けコースを選択した場合、20歳未満は無料
※ツアー詳細は、ホームページをご確認ください。