文房具
2025/5/12 20:00

最強では?オートロックとねじロックを1本でこなす現場仕様カッター「パワーカッター」を家にも常備すべき理由

一般的に多くの人に馴染みのある、細身のカッターナイフ(S刃/A刃)は、スライダーを動かすだけで刃の出し入れができる、いわゆる「オートロックタイプ」と呼ばれるものが主流だ。スライダーを前後にスッと動かすだけで自動的に「カチッ」と止まり、そのまま作業に入れる手軽さが最大の特徴。いまやS刃カッターのほとんどがこの方式になっている。

 

L刃以上の大型カッターには、ロック方式の選択が必要

対してL刃以上の大型カッターナイフは、オートロック式とねじロック式に分かれている。

↑刃をロックする機構が異なるオートロック式(上)と、ねじロック式(下)。

 

オートロックは手軽だが、強い力を加えたときにロックが緩み、刃がズルズルと引き出されてしまう(=刃滑り)ことがある。力を込めて切っている最中に刃が動くとは、明らかに危険だろう。一方のねじロックは、ネジを締めて刃をガッチリと固定する方式で刃滑りを防げるが、使うたびにネジを開け閉めするのはやはり面倒だ。

 

であれば、1本でオートロックとねじロックの両方を1本で切り替えて使えるカッターがあれば便利なのではないか?

 

手軽&がっちり固定を使い分けるダブルロック・カッターナイフ

それぞれにメリットデメリットがあるため、実際、現場でカッターを使用する職人の中には、オートロック式とねじロック式を使い分けるために2本のカッターを持ち歩く人も多いという。通常はオートロックで手軽に、力作業のときはネジで頑強に、という使い分けだ。

 

しかし、同じようなカッターナイフを2本まとめて持ち歩くのが最適解か? と問われると微妙なところ。正直、面倒なのではないだろうか。そこで試してみてほしいのが、1本でオートロックとねじロックどちらでも使える「パワーカッター」である。

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ちなみに刃のサイズはL刃(刃幅18mm・刃厚0.5mm)よりも一回り大きいH刃/X刃(刃幅25mm・刃厚0.7mm)という特大刃。HとXとはメーカーごとに呼び方が異なるだけで、規格は同等。いずれもL刃と比べて剛性が非常に高く、まさに現場仕様の「ガチ」カッターである。

↑H刃/X刃とL刃の比較。刃厚は約1.4倍で剛性が段違い。

 

ねじロックに見えて、オートロック。独自スライダー機構を搭載

↑一見するとねじロックっぽいが、実はオートロックとしても使える特殊なスライダーを搭載している。

 

使用時はまず、親指でスライダーを前に押し出す。するとカチカチと軽快なクリック感とともに刃が出てくるが、これは通常のオートロック式と同様の操作感だ。

 

もちろんカチッと刃が止まったところで自動的にロックがかかるので、そのままスムーズにカット作業に入ることができる。

↑オートロックなので、単にスライダーを動かすだけで刃がロックされる。ごく普通のカッターナイフという感じ。

 

↑ダンボールを切るぐらいなら、オートロックで十分。

 

ただし普通のオートロックということは、硬いものを切る際にズルズルと刃滑りを起こす可能性もあり、少々危ない。

 

ダイヤルを回すだけで、より強固なねじロックへ変身

そういった刃滑りが気になる場面では、スライダー上部にあるダイヤル型のネジを使ってねじロックを有効化することができる。操作は非常に簡単で、ネジを時計回りに2回転ほど回すだけ。すると、スライダーの裏側から金属製のピンが出てきて、刃ホルダー底部にあらかじめ開けられた穴に「ガチッ」とはまり、強力に刃を固定してくれる。

 

この仕組みは、一般的なねじロック式カッターの「ホルダーを突っ張って固定する」構造とは異なり、穴に物理的にピンを差し込んでロックするため、固定力が格段に高い。オートロックでは不安な力作業にも安心して使えるのだ。

↑刃をしっかり固定したい場合は、ダイヤル型のネジをカリカリと回す。

 

↑スライダー底部から伸びたピンが穴に刺さることで、ねじロックよりもさらに強固に刃をホールド。

 

↑ねじロックがかかれば、木材にザクザク切り込んでも刃が取られる心配がなく快適だ。

 

メーカー公称値としてロック機構の耐荷重はなんと50kg。実際に試してみたところ、腕の力で刃を押し込もうとしたぐらいではビクともしないレベルである。これだけの剛性があれば、なるほど石膏ボードや木板ぐらいは刃滑りの心配なく切り込んでいけるだろう。

 

力作業に最適化された、握りやすい特大ボディ

特大サイズの刃を搭載するだけあって、本体サイズも大型。刃を装填した状態での重量は約148gと、一般的なL刃カッター(約80g)のほぼ倍にあたり、握るとズッシリとした重さが伝わり、力を込めやすい。それでいて重量感があるぶん操作性が悪いかというと、むしろ逆だ。

 

本体のグリップ部には広範囲にわたってゴム引きされているので、軍手をしていても滑ることなく、グリップ感は良好だ。片手でボディを握ったままでのスライダー操作も安定してやりやすい。

↑ゴム引きの面積が大きいため、軍手で握ってもしっかりグリップする。

 

ネジの回しやすさも優秀だ。片手親指でスライダーを操作するだけでなく、ねじロックの開け閉め操作までも片手でできるのだ。一般的なねじロック式カッターでは、開ける操作は片手でできても、締めるときには両手が必要になるケースが多い。ネジの回しやすさも含めて非常によくできたボディと言えるだろう。

↑ダイヤル部分が軽く回るため、片手でのねじロック操作も簡単。

 

替え刃は「本体内ストック」がマスト

もうひとつ重要なポイントが、このボディの後端に替え刃の収納スペースがあること。ここには予備の刃を1枚格納できる構造になっており、必ず1枚入れておくことをおすすめしたい。

 

というのも、H刃/X刃の替え刃なんてほとんどの文房具店で扱っていない(当然、コンビニにもあるはずがない)ので、外出先で替え刃が必要なシーンで予備がないと、簡単に詰んでしまうのである。そして、この予備刃を使ったら、忘れないうちにちゃんと補充しておこう。大型カッターを運用する上で大事な心得なのだ。

↑スライダー脱落防止パーツを引き抜くと、中に替え刃が収納されている。

 

ただ実際のところ、「パワーカッター」を使うのであれば、刃の補充以外でサイズを意識する必要はほとんど必要ないはずだ。スライダーで簡単に刃を出し入れできる手軽さもあって、L刃に慣れている人なら簡単に使いこなせるだろう。

 

スクレイパーとしてガリガリと塗装を剥いだり、石膏ボードや木板を切るなどのハードな使い方をするときは、ネジを回せば確実なロックが効いて安心感もアップ。このあたりの使い勝手の良さは他になく、DIYをするなら1本持っておけば、間違いなく活躍してくれるだろう。