Slushは、2008年よりフィンランドで開催されている、テック系のスタートアップイベント。日本では2015年に初めて開催され、昨年は4000人の参加者を集めるなど急成長中です。3月29・30日に東京ビッグサイトで開催されたSlush Tokyo 2017には、日本だけでなく世界各国からスタートアップ企業が集まり、新たなテクノロジーや技術、製品などを展示。今回はその様子をリポートします。
国際色豊か……どころではなかった!
国際的なイベントとして、本当に世界各国からブースを出展している企業、団体が多いのが印象的です。なんていったって、ステージイベントや質疑応答のコーナーなどがすべて英語をベースに行われているほど。そんな状況において同時通訳などの設備はないというのだから、東京で開催しているものの、イベントとしては本当に国際イベントなのだと思い知らされました。まあ、本当に興味のある人、やる気のある人のみが来場するイベントなんでしょうね。なにせ、当日券だと一般が1万8000円、学生でも7500円もするんですから。
ということで、ここからは会場で筆者が気になったものを紹介していきましょう!
まずは、先日発表されたばかりの、Cerevo「TACHIKOMA 1/8scale」。これは「攻殻機動隊S.A.C.」に登場した多脚戦車「タチコマ」を再現したもので、AIによってコミュニケーションをとればとるほど会話が豊かになっていくとのことです。Cerevoはほかにも「PSYCHO-PASSサイコパス」に登場したドミネーターやプロジェクター搭載の可変型ホームロボットを展示していました。
続いて、DMMのブースへ。DMMはSlush Tokyoの公式パートナーとして全面協賛しており、数カ所にブースを出していました。なかでも目を引いたのはDMM,make Storeで販売している光る靴「Orphe」。9軸のモーションセンサーを搭載しており、動きに合わせてさまざまな光り方をしてくれます。さらに、スマホアプリと連携することで、音楽とあわせることも可能なんだとか。
ほかにも、横浜にあるDMM VR THEATERのミニチュアを展示していました。
次は仙台市のブース。仙台市は「日本一企業しやすいまち」を目指しており、その関連でSlushに参加をしています。展示していたのは、水槽内の魚の動きをコントロールできる生体制御水槽「Aqtrium」や、女川町から生まれたエレキギターの新ブランド・QUESTRELの第一弾モデル「SWOOD」、ARアプリなど。個人的には特にAqtriumが面白かったです。
今回、多くのブースで見かけたのがロボット関連のスタートアップ。以前当サイトでも紹介した、プロダクションI.Gの「攻殻機動隊 S.A.C. 1/2サイズ タチコマ リアライズプロジェクト」のほか、ATOMプロジェクトのコミュニケーション・ロボット「ATOM」やプレンプロジェクトの“会話せずにコミュニケーション”をコンセプトにした「PLEN CUBE」、NECのデリバリーロボット「Relay」などがありました。
ほかにも、尿などの排泄のタイミングを知らせる「D Free」やイベントの告知やチケット販売、領収書などを一手に引き受ける「EventRegist」など、おもしろそうな展示が数多くありました。
また、展示だけでなく、メインステージではひっきりなし講演が行われていました。筆者が参加したタイミングではAI企業であるAppierのCOO、ウィニー・リーさんが登壇し、アジア全域12都市にオフィスを擁する企業へと拡大した過程で学んだ5つの教訓について語っていました。
近年はクラウドファンディングなど、スタートアップ企業に投資する仕組みなどが確立しつつあり、さまざまなベンチャー企業が起業しやすくなってきています。本イベントでは、ともすれば大企業が失いがちな圧倒的な熱量を感じることができました。日本でもSlushが定着し、もっと多くのスタートアップ企業が生まれることを期待せずにはいられません。