毎年3月、オランダの首都アムステルダムでは「The Amsterdam Coffee Festival」というコーヒー業界のトレンドを発信するイベントが開かれます。バリスタの技を競う催しや、ロースターによる豆の実演販売、最新のコーヒー関連グッズの販売などが行われ、カフェ経営者やコーヒーにうるさい大人たちがヨーロッパ中から集結。オランダ在住の筆者も最新のコーヒー事情を知るために、このイベントを取材してきました。現在いち押しのコーヒー豆から最新ドリンクボトル、カプチーノ用の変わり種ミルク、アルコールとのマリアージュがうれしいエスプレッソを使ったカクテルまで一挙ご紹介します。
The Amsterdam Coffee Festivalはアムステルダム中央駅からバスで10分ほどの広大な公園にあるイベントの聖地 「westergasfabriek(ウェスターガスファブリック)」で開催されます。なぜオランダで開催されるかというと、議論の余地はありますが、この国は近年、世界有数のコーヒー消費大国だからです(2012年にEuromonitorが行った調査では一人当たりのコーヒー消費量が世界1位)。オランダには外出先や職場での一杯はもちろん、自宅での「おうちカフェ」にこだわる人もたくさんいます。ヨーロッパではドリップコーヒーよりも「エスプレッソ」のほうが伝統的に飲まれており、オランダでもNespressoやSenseoなどのエスプレッソマシーンが広く普及しています。
また、オランダのなかでも特にコーヒーを大切にしているのがアムステルダム。おいしいカフェを知っていることと、おいしいコーヒーを家で淹れられることは、この町の男性にとって最も重要なスキルの1つです。そのマナーは歴史的に説明することがある程度可能。17~18世紀の大航海時代、東インド会社、西インド会社を有するオランダは、砂糖、カカオ、コーヒーなどを求め世界中を船で巡りオランダ海洋帝国とその名を世界に馳せました。大航海時代から各地のコーヒーを味わい続けたためか、オランダ人は味に妥協しなくなり、お気に入りの一杯で一息つくというのが大人の嗜みとなったのです。そのようなわけで、アムステルダムはコーヒーのレベルが高いんですね。
それでは、今年のThe Amsterdam Coffee Festivalで著者が発見したことを6つ紹介させていただきます。
1: シングルオリジンはもはや常識に
今回のイベントで目立ったのが、単一産地の豆のみを使用するシングルオリジンのコーヒーのブース。現在のコーヒー業界の主流と言っても過言ではありません。コーヒーの最高峰と呼ばれるエチオピアのイルガチェフをはじめ、産地と生産年度にもこだわったコーヒー豆が試飲販売されていました。
2:マイタンブラーの発展
タンブラーにも面白いアイテムがありました。イギリスの「ecoffee cup」(写真上)の素材は、生育が早く、生物分解されるバンブー(竹)を原料としたプラスティック。使い捨て紙コップの消費を減らそうというエコなこのブランドは、コーヒーもおいしく飲めると評判です。
「stojo」(写真上)はシリコン製タンブラーで、飲み終わったらコンパクトにたたんでポケットにしまえるのが特徴。食器洗い機や電子レンジに対応しており、2017年にイギリスの「Excellence in Housewares awards」で入賞しています。