街中華の夏の風物詩といえば“冷やし中華はじめました”だろう。筆者の調べによるとゴールデンウィーク明けから秋口まで、というのが多くの店の常套パターンだが、この季節料理が名物となっている街中華がある。池尻大橋の「鶏舎」(チイシャ)だ。
ねぎを主役にしたエッジのある味がウマすぎる!
ただ同店の場合は冷やし中華ではなく「冷し葱そば」。もともとはおなじみの冷やし中華もあり、こちらも人気が高かったという。だが、独創的かつスピーディに提供できるものを。そんな想いで生まれたのが「冷し葱そば」なのだ。
錦糸卵などがのる冷やし中華より色味の華やかさには欠けるが、ねぎを主役にしたエッジのある味わいはインパクト大。いつしか「冷し葱そば」のほうが人気となり、冷涼麺は一本化することに。ただ提供スピードは上がったものの、人気のために仕込む量が増えた。たとえば1日に使う長ねぎの量は90本にもおよぶ。
「鶏舎」はランチから長蛇の列になるほど出数が多いため、もともと仕込み開始は早い。だが「冷し葱そば」の時季は早朝4時半から。真夏の繁忙期ともなれば、さらに1~2時間早くから準備をはじめることもあるという。
全体のおいしさをまとめ上げるのがタレだ。同店のトップシークレットということで詳しくは明かせないが、決め手となるのは自家製のねぎ油。しょうゆ、塩、豆板醤などを絶妙なバランスで配合することで、香り高くヤミツキになる味わいが生み出されるのだ。