品川駅と並び、山手線における城南エリアの要所といえる大崎駅。周辺には様々な大企業がオフィスを構え近代化の様相を呈しているが、その一方で昭和の面影を色濃く残す街中華が存在する。「平和軒」だ。
妥協が一切ないお手本のようなラーメン
店の場所は東急池上線の「大崎広小路駅」寄りで、立正大学からすぐ。入口前の道路脇から延びる階段、この先にうっすらと見える「中華料理 平和軒」の看板が目印だ。車が通れない細い通路沿いで、迷う人もいるという。だが、たどり着けばそこには絶品で格安の料理が待っている。
メニューは麺類と、チャーハンや丼系のワンプレートもの、そして中華定食という構成。種類は豊富で迷うほどあるが、そんなときはシンプルな「ラーメン」がイチオシだ。なんといっても税込で470円という破格な設定に驚かされる。もちろん出来合いのスープなどは使わず、しかも麺は自家製。
この安さで、チャーシューは食べごたえある厚さの肩ロース肉がしっかり2枚。スープは豚の背ガラと鶏ガラを中心に、長ねぎの青い部分や玉ねぎといった香味野菜を加えてじっくり煮込む。聞けば、朝8時ごろからオープンまでの仕込みで1日ぶんを丁寧にとっているとか。
自家製麺は、独特のテクスチャーが特徴。高温多湿な夏と低温で乾燥する冬とでは水分の配合量を変えるが、一般的なものよりも加水率は高め。さらに2~3日低温熟成させることで、プツっとツルっとした豊かな弾力と適度なコシを生み出している。
なお、麺類には+360円で半チャーハンを付けられる。これは同店の米飯類で人気の、「五目チャーハン」(660円)のハーフサイズだ。最小限の具と味付けで炒められたチャーハンは、主張しすぎないラーメンと抜群のコンビネーションを誇る。
このチャーハンの具は、チャーシュー、玉ねぎ、なるとからなる、引き算の美学的な逸品。味付けは塩をベースに、色と香り付けでしょうゆを少々加える。なお、玉子が入るタイプには「玉子チャーハン」(660円)があり、こちらはそのぶんチャーシューが入らない。
オリジナルのちゃんぽんや具材の豪華なうま煮丼も絶品
麺類ではほかに、店名を冠した「平和チャンポン」や具が豪華な「チャーシューワンタンメン」(ともに710円)も人気だ。前者は一般的な長崎ちゃんぽんとは違い、クリーミーな豚骨スープではなく魚介の具も入らない。ただ、野菜をたっぷり使うことでその甘みがスープに溶け出し、多彩な食感とともに奥深い味わいを生み出している。
丼ものでガッツリ楽しむなら、「五目ウマニ丼」を。こちらも近しいメニューに「中華丼」(660円)があるが、それ以上に豚肉、たけのこ、なると、きくらげなどがたっぷり入り、その数はなんと9種類。ご飯が隠れるほどのボリュームもさることながら、具のカットも大きくて食べごたえ満点だ。